静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

意味のない敗戦は存在しない vs FCマルヤス岡崎

2014年から“J3”というカテゴリーが新設され、JFL(実質4部リーグ)の11チームがJリーグへと昇格。そうしたなかでJFLに参入したのが、アスルクラロ沼津をはじめとした地域リーグにいた6チーム。FCマルヤス岡崎もそのなかの1つだ。2013年に東海社会人リーグを初制覇し、今年からJFLに参戦することになったマルヤスは、アスルクラロが昨年の同リーグにおいて2-3、0-2と苦杯をなめた相手でもある

チームの成長のために必要なこと

「やりたいサッカーをすることも大切だけど、もっと泥臭くてもいいからゴールに向かう姿勢も必要。上に行く、優勝するというのはそういうチームですから」
 
試合後にそう語ったのは、この日も右サイドバックを務めた尾崎瑛一郎。経験豊かな彼だからこそ、人一倍この日の“敗戦の重み”を感じているように見えた。
 
“1勝1敗1引分け”というアスルクラロに対し、マルヤスは開幕からいまだ勝ち星なしの3連敗。今季の成績だけ見れば前者に分がありそうだが、先述のように、アスルクラロのマルヤスに対する相性は悪い。
 
「Hondaにも佐川にも試合の入りから良いプレーができていたので、今日も前半から試合を決めるつもりでやれと言いました」
 
試合後の会見で望月一仁監督が語ったように、前半の随所に見られたリズムある攻撃。その形自体は悪くなかったが、実際にシュートまでいったシーンは少なかった。
 
後半に入ると、風下になったこともあり、押し込まれるシーンが増えた。結果的に、試合終了直前のコーナーキックでの失点によって負けてしまった。

シュートを打たないとゴールは生まれない

スタジアムに設置された看板が吹き飛ぶほどの強風のなか、ホーム第2戦を迎えたアスルクラロ。この日は、ホーム開幕戦よりもさらに多い2402人のソシオ(サポーター)が駆けつけた。
 
試合開始直後から、風上に陣取ったアスルクラロの攻勢がつづく。前節に負傷交代した馬場将大に代わって左サイドバックに入った西田翼と前に向かう積極性が持ち味の真野亮二が左サイドからリズムをつくる。
 
前半26分には、左サイドから生まれたチャンスに真野がシュート。このシュートは惜しくも枠を捉えきれなかったが、幾度となくマルヤスのゴール前まで攻め込む。しかし、なかなかゴールを割ることができない。
 
「フォワードに関しては、シュートのイメージをつける練習をしたんですが、今日もなかなか打てなかった。やはりシュートを打たないと点は入らない」
 
望月監督がコメントしたように、一にも二にもシュートを打たないとゴールは生まれない。前半、攻め込むシーンが多かったにもかかわらず、フォワード緑悟と畑直樹の2人にシュートが一本もなかったことが象徴的だ。
 
結局、追い風というアドバンテージを活かせぬまま、前半終了のホイッスルを聞くことになってしまった。

終了間際の失点で敗戦

「後半は相手が風上。ボールを放り込んでくることはわかっていたので、球際を強くいこうと話しました」
 
風下になる後半に向け、ハーフタイムに気を引き締め直したと話すキャプテンの高野光司。しかし、試合を組み立てたい選手とゴールに急ぎたい選手の間で、チグハグな攻撃になってしまった。
 
「後半は、相手のコートで試合をすることができました」と選手兼監督である山村泰弘が話すように、後半の流れはどちらかと言うとマルヤスにあった。
 
アディショナルタイムにマルヤスが獲得したコーナーキック。マルヤスの10番を背負う日下大資が蹴ったキックは、アスルクラロの選手の頭に触れ、そのまま風に流されるようにしてゴールネットを揺らした。
 
0-1というスコアのまま試合終了のホイッスル。
 
望月監督自身「自分たちのサッカーをしないと勝てないということですね」と語ったように、点が取れないなかでも我慢して自分たちのサッカーをしないといけない。フォワードに関しては、もっと泥臭くゴールを狙っていかないといけない。
 
この敗戦を糧にして、そういった課題をひとつひとつクリアして進んでいく。それ以外にチームが上昇気流に乗る方法はないだろう。
平均年齢23歳(今節時点)という若いアスルクラロにあって、敗戦をいかにチームの成長に繋げるか、それが上位進出へのカギとなるからだ。
 
アウェイ2連戦、そしてソシオが大きな声援で後押ししてくれる4月27日のホーム鹿児島ユナイテッドFC戦で、選手たちが躍動する姿を期待したい。
 
 

PICK UP

ディフェンダー陣のリーダーを担う東間勇気

「東部にJを目指すチームがあったのは意外でした」
 
そう語るのは、アスルクラロ沼津のディフェンスラインを統率する東間勇気。今年で27歳になった静岡県浜松市出身の彼は、これまでにヴァンフォーレ甲府、FC岐阜SECOND、FC刈谷と3チームを渡り歩いてきた。
 
「昨年までいた東海リーグのチームでは、サポーターは数十人でした。今日は2000人超えですよね。期待に応えないと」
 
若い選手が多いアスルクラロのなかで、自分の位置づけはわかっている。
 
「怪我などを乗り越えてきた経験を若い選手たちに教えていきたいですね」
 
実際、望月監督からの信頼も厚い東間だが、どんなプレーをソシオに見せたいのか聞いてみると、「前線へのフィード(ロングパス)とヘディングを見てほしいです。目指しているのはバルセロナのピケのようなプレーですね」と恥ずかしそうに語ってくれた。
 
「沼津での生活ですか? そろそろ慣れてきましたよ。よく『かつ銀』でご飯を食べています(笑)」
 
かつてヴァンフォーレ甲府にも所属した好青年は、アスルクラロや沼津の街とともに再びJリーグの舞台を目指している。

DATA

試合結果

ファーストステージ第3節(会場:愛鷹広域公園多目的競技場)
アスルクラロ沼津(0-1)FCマルヤス岡崎
メンバー)
GK 30.石田良輔 DF 4.西田翼 2.東間勇気 3.西村竜馬 MF 17.岡庭和輝 14.柳澤隼 20.高野光司 6.真野亮二 FW 11.緑悟 9.畑直樹(→7.村上聖弥[後半25分])

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