静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

勝利のみが求められる理由 vs MIOびわこ滋賀

来年度、J3を目指すアスルクラロ沼津。その参入条件のひとつに、「年間順位4位以上」というものがある。前期・後期のいずれかで優勝すれば、その条件はクリアとなるが、そうでない場合は年間での勝点で順位が決まる。過去3年間のJFL4位のチームの成績(と試合数)を鑑みると、「勝点45」が必要だと予想される。残り試合数は16(今節含む)で、現在の勝点は10なので、あと35の勝点を上積みしないとならない。つまりチームには、10勝5分1負あるいは11勝3分2負という成績以上のものが求められている。

今季2度目となるスコアレスドロー

第7節以来となる先発復帰を果たした木暮郁哉は、この日チーム最多となる5本のシュートを打つなど、気持ちの入ったプレーで攻撃をけん引した。
 
「ゴール、もしくはアシストという目に見える結果を出すしかない。いい形で攻撃ができても、結果がすべてですから」
 
彼が試合後にそう語ってくれたように、この日のアスルクラロはゴールが決まらない。試合の主導権を握っていたのにもかかわらず、試合終了のホイッスルまでMIOびわこ滋賀のゴールを割ることはできなかった。
 
センターバックの東間勇気と西村竜馬、そしてゴールキーパーの石田良輔の体を張った守備で失点こそなかったものの、度重なる決定機を決めきれずにスコアレスドロー。前節の栃木ウーヴァFC戦に続き悔やまれる引き分け。
 
「前節、そして今節と引き分け。つまり勝点4を取り損なったということ」と右サイドバックの尾崎瑛一郎も厳しい表情を見せた。

チャンスは生まれるも、ゴールに結びつかず

「前節、途中出場した小暮がひじょうにアグレッシブな動きをしていたので、今日は先発で使いました。何かしてやろうという気持ちが伝わってくるプレーが見られて、悪くなかった」と望月一仁監督が試合後の会見で話したように、フォワードとして先発メンバーに戻ってきた小暮を中心に、アスルクラロは前半からチャンスを作る。
 
前半25分。ここ数試合、持ち前のスピードを活かした躍動感あるプレーで、チームに流れを引き寄せている左サイドハーフの村上聖弥からゴール前で待つ小暮に縦パスが入る。素早い反転で相手を振り切ると左足でシュート。しかし、相手ゴールキーパー桑水流拓也の好セーブで、惜しくも得点には至らず。
 
32分には、左サイドを駆け上がった左サイドバックの犬塚友輔のパスを受けた小暮がシュートを放つも、枠を外してしまう。
 
すると前半40分。ショートコーナーで上げたセンタリングが短くなり、MIOびわこ滋賀のカウンターを受けてしまう。しかし、ここは前節の2失点を人一倍悔やんでいた石田良輔が好セーブ。
 
前半を0-0で折り返す。
 

最後まで集中を切らさなかった守備陣

「特にディフェンスラインの組み立てに関しては、ダイレクトで叩いてしまうなど前線に入れ急いでしまった。もっと相手の中に潜り込んでいくような工夫したプレーがないと、今日のように中盤のところで潰されてしまうのかなと思います」
 
試合後、望月一仁監督が話してくれたように、後半に入るとアスルクラロらしさが影を潜める。得点への焦る気持ちがあったのか、パスを入れるタイミングが早く、ボールポゼッションが上がらない。徐々に、攻め込まれるシーンが多くなる。
 
その中でも、後半21分、30分と立て続けに右サイドからセンタリングが上がる。しかし、上手く合わせることができない。
 
「ニアに飛び込む、ファーで待つ、マイナスで受けるなどの工夫も枚数も必要」と尾崎。「サイドからセンタリングという形が、一番ゴールをイメージできる」と岡庭和輝。右サイドに入った両選手が話してくれたように、あとはセンタリングをいかに中で合わせるかが問われてくる。
 
途中交代した3選手は、真野亮二こそ良い中央突破があったものの、安藤大介と緑悟は、チャンスに絡むことができなかった。「チームが主導権を握れない中で、途中交代した選手は難しい状況だった。それでも、ダイナミックなアクションを起こさないと」と望月監督が語ったように、途中出場で流れを変えられる選手が出てこないと、拮抗した試合を制するのはなかなか難しいだろう。
 
しかし成長も見られた。後半37分。相手の素早いカウンターを東間がスライディングで阻止。抜ければ決定的なシーンだっただけに、素晴らしいプレーだった。同じくスコアレスのまま試合終盤に入ったFCマルヤス岡崎戦も鹿児島ユナイテッドFC戦も隙を突かれて失点してしまったが、この日のアスルクラロの守備陣は最後まで集中を欠かさなかった。
 
結果は、そのままスコアレスドロー。
 
J3参入を目指すアスルクラロにとって、“負けられない試合”はもうない。あとは“勝たなければならない試合”しかない。チーム状態は成績ほど悪くないので、強い気持ちで結果を引き寄せてほしい。

PICK UP

サイド攻撃をけん引する岡庭和輝

「実は、JFLは2度目なんです。高校生のときに、ジェフリザーブズとして出場しました。今思えば、当時は何もできませんでしたけど」
 
そう語るのは、尾崎瑛一郎とともにアスルクラロの右サイド攻撃を担う岡庭和輝(22歳)。ジェフユナイテッド市原・千葉の下部組織に在籍していた時、高校生として唯一JFLの舞台を踏んだ。しかし、何も考えずにプレーしていた当時は、結果に繋がらなかったという。
 
「チャンスをもらいながらも結果が出せず、トップチームに上がれなかったので、大学に進学しました。そこで1年生の時からレギュラーで出させてもらいました」
 
大学時代には、特にチームプレーを学んだという。
 
「感覚でプレーするのではなく頭を使ってサッカーをすることができるようになりました。ワンツーでの突破など、今の自分に活きています」
 
自然が多い沼津という土地は自分に合っていると笑顔で話してくれた岡庭。
 
「チームがオフの時は、千本浜公園を走ったりしています。釣りも好きなんで、沼津いいですよね。このアスルクラロでプレーする中で、“サイド突破”という武器がもう少しで自分のものになりそうなんです。あとはチームで結果を出して、Jリーグへとステップアップしていきたいです」
 
右サイドからゴールを狙う岡庭に注目したい。

DATA

試合結果

ファーストステージ第11節(会場:愛鷹広域公園多目的競技場)
アスルクラロ沼津(0-0)MIOびわこ滋賀
メンバー)
GK 30.石田良輔 DF 31.尾崎瑛一郎 2.東間勇気 3.西村竜馬 8.犬塚友輔 MF 17.岡庭和輝(→11.緑悟[後半39分]) 7.村上聖弥 20.高野光司 16.中野翔太 FW 14.柳澤隼(→6.真野亮二[後半21分]) 10.木暮郁哉(→13.安藤大介[後半44分])
 

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