静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

"アスル旋風"を巻き起こす! vs 横河武蔵野FC

アスルクラロ沼津にとってJFL初挑戦となるシーズンも、いよいよ折り返し地点。今季のJFLは2ステージ制を採用しているため、6月8日に行われた裾野市運動公園陸上競技場での横河武蔵野FCとの第13節がファーストステージの最終戦となるのだ。前節のアウェイ戦では、九州に乗り込んだアスルクラロ。ヴェルスパ大分に対して第7節以来の敗北を喫した。前回の記事でも触れたように、J3を目指すにはもう負けは許されない。もちろん、ここで言うまでもなく、選手たちが一番わかっていることだろう。セカンドステージに向けて弾みをつけるためにも、勝利を目指すイレブンに注目だ!

全員で掴んだ今季3勝目!

「畑から良いボールが来たんで、自分はボールに飛び込むだけでした」
 
後半20分から左サイドハーフとして交代出場した緑悟。積極的に裏のスペースを狙い、ボールを呼び込み続けた結果、ついに今季初となるゴールを決めることができた。
 
それは残り時間10分を切った時だった。右サイドを駆け上がった岡庭和輝からパスを受けた畑直樹がセンタリングを上げる。そのボールに反応した緑がゴール左隅にヘディングシュート。ここまで好セーブを見せていた横河武蔵野FCのゴールキーパー飯塚歩も反応できず、待望の先制点。
 
これが決勝点となり、アスルクラロはファーストステージ最終戦を勝利で飾ることができた。
 
「後半は攻め込むことができました。得点の場面も自分たちのやりたい攻撃でした。点を取り、結果を出すために、後半からは攻撃的な選手を入れた。それが実って良かったと思います」
 
試合後、望月一仁監督も語ったように、こう着状態が続いた前半とは打って変わって、持ち前の攻撃が光ったアスルクラロ。この戦いを続けることができれば、きっとセカンドステージは“アスル旋風”がリーグに吹き荒れるに違いない。
 
今日の試合でも感じたがソシオ(サポーター)の声援が、選手たちにとっては大きな後押しになる。本当に負けられない戦いが続くのはこれからだ。ぜひとも多くのソシオで会場を埋めつくしたい。

“ボランチ”小暮郁哉がチームを機能させる

「ゴールキーパーから繋いでくることはわかっていたので、前から守備をするように選手には伝えました」
 
現役時代には清水エスパルスでも活躍をした横河武蔵野FCの吉田康弘監督が試合後に語ったように、前半は横河の前線からの守備が利いていた。
 
その中で、両チームともなかなか自分たちのサッカーに持ち込むことができない。
 
「前節の大分戦では、守備が破綻してしまいました。試合前、まずはそこを立て直そうと選手たちに伝えました」
 
何度か決定的なチャンスを作られた前半だったが、望月監督が先のように語ったように、しっかりと集中して守備をすることができた。際どいプレーも体を張ってブロックした。
 
お互いに得点の奪えないまま後半に突入すると、流れはアスルクラロにやって来る。相手の前線からの守備が緩くなり、持ち前の繋ぐサッカーが本領を発揮。特に、後半からボランチにポディションを下げた木暮郁哉のプレーが光った。
 
「自分がボールを受けてパスをさばけば、チームが機能すると思っていました」
 
小暮自身も話すように、彼のところでボールが収まり、アスルクラロのボールポゼッション率が格段に上がる。
 
さらに、途中交代の選手がチームに勢いをもたらす。後半22分には、途中交代で前線に入った畑からのセンタリングに反応した緑がヘディングシュートを打つなど、決定的なシーンが何度も生まれた。
 
 

会場が一体となった歓喜の瞬間

待望のゴールは、残り10分を切った時に生まれた。この日も精力的な動きで攻撃をけん引した岡庭和輝が作ったチャンスから、畑がセンタリング。2度目は外せないとばかりに、緑がきっちりとゴール左隅にヘディングシュート。
 
スタッフ、ベンチメンバー、会場に訪れたソシオ、全員で喜びを分かち合った。
 
「相手が裏のスペースに蹴りこんでくることはわかっていたので、なるべくディフェンスラインを下げて弾き返すようにしました。最後はちょっと危なかったですけど」
 
そう語った東間勇気を筆頭に、西村竜馬の負傷によりセンターバックに入った馬場将大、左サイドバックに入った中野翔太がきっちりと役割をこなし、相手の攻撃をゼロに抑えたまま試合終了のホイッスル。
 
リーグ後半戦に繋がる今季3勝目となる勝利を手にした。

PICK UP

JFL初参戦のアスルクラロを統率する望月一仁監督が目指すもの

「より上を目指すには、アスルクラロが自分たちのサッカーというものを作っていかないといけないと思います。結果が出ない中、ある意味では、開き直って守備重視のサッカーをすればもっと勝ち点が取れたかもしれません。でも5年、10年、100年という長い目で見ると、アスルの色を作らないといけない。それは早ければ早いほどいい。僕はそのお手伝いができればと思って取り組んでいます」
 
単にJリーグに上がることだけを目指しているわけではないと語るのは、今季からアスルクラロ沼津の指揮を執る望月一仁監督。かつて愛媛FCをJリーグに導いた実績を持つ望月監督は、アスルクラロが持つ特徴を活かすべきだと感じている。
 
「育成年代の指導がしっかりしているこのチームは、高い技術を持った子どもたちがたくさんいます。そういったアスルの代表である山本浩義さんたちが、この東部地区で育んできた土台を大切にしていきたいです。そのためには、攻撃的なサッカーで結果を出していきたいですね」
 
ファーストステージの結果は、3勝5分5敗(得点11、失点14)で7位という結果だった。Jに上がるためには、セカンドステージは厳しい戦いになる。望月監督は語る。
 
「セカンドステージは、結果を出さないといけません。目標は10勝3分です。得点は、1試合平均2点は欲しいので26。失点は10点以下に抑えたいと思っています」
 
順位も大切だが、Jリーグに上がるためには観客動員数というハードルもある。
 
「ただ勝てばいいだけじゃないことはわかっています。特に静岡には目が肥えた人がたくさんいますからね。質の良いサッカーをお見せする。そして勝利も勝ち取る。もちろん先ほど挙げた目標は、夢物語かもしれません。でも諦めたらおしまいですよね。とにかく諦めずに最後まで戦い抜きたいと思います」
 
望月監督の人の良さを感じさせる柔らかい口調の奥には、燃えたぎる情熱がかいま見えた。
7月21日に開幕するセカンドステージは、きっとリーグに旋風を巻き起こしてくれるに違いない。
 

DATA

試合結果

ファーストステージ第13節(会場:裾野市運動公園陸上競技場)
アスルクラロ沼津(1-0)横河武蔵野FCメンバー)
GK 30.石田良輔 DF 31.尾崎瑛一郎 2.東間勇気 3.西村竜馬(→9.畑直樹[後半0分]) 25.馬場将大 MF 17.岡庭和輝(→5.小場石朗[後半49分]) 7.村上聖弥(→緑悟[後半20分])16.中野翔太 FW 6.真野亮二 10.木暮郁哉

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