静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

乗り越えなければならない相手 vsFCマルヤス岡崎

-JFLセカンド・ステージ第6節(2014.08.30)-

今回で、同連載も13回を数える。毎回少し煩いほどにJ昇格の条件について言及してきた。「Jに上がることより、長期的なチーム作りのほうが大切だ」という声も少なからずある。しかし、アスルクラロ沼津は所属選手の大半がアマチュアの4部(JFL)に位置するチームだ。そのことを考慮すると、結果が出ないと、有能な選手はチームを離れていくし、たくさんのサポーターが定着することもない。昇格や昇格争いをすることで、より魅力的なサッカーという興行をお客さんに見せることができるようになる。さらには、昇格は所属選手たちのモチベーションの維持やクラブを支えるサポーターの獲得にも繋がる。つまりチームは昇格にこだわらないといけないのだ。「東部からJ」というスローガンを掲げた2014年の彼らが見せる諦めない姿勢を、最後まで見守っていきたい。

試合内容、決定機ともに相手を上回るも引き分けに終わる

8月最後の相手は、FCマルヤス岡崎。前期の敗戦を覚えている人もいるだろう。試合内容では勝るも、決定機に欠け、まさかとも言えるロスタイムでの失点で負けを喫した相手である。
 
東海社会人リーグ時代から数えると3連敗中という鬼門とも言える相手との対戦だったが、今節は1-1の引き分けという結果に終わった。
 
これを良い結果と捉えるか、否か。
 
会場を訪れたサポーターであれば、後者を選ぶであろう。なぜなら試合内容、決定機ともに、アスルクラロは相手を凌駕していたからだ。

新加入ペ・フミンとキム・ヨンギが奮闘する

西村竜馬の出場停止や東間勇気の負傷離脱、裴厚民(ペ・フミン)と金龍起(キム・ヨンギ)の加入などで前節からチームの布陣は替わったが、キックオフ直後のアスルクラロは、良いリズムで攻撃をしていた。
 
前半4分には、この日センターバックに入ったキム・ヨンギが、激しいタックルで相手の攻撃を食い止める。
すると、6分には右サイドバックの尾崎瑛一郎のセンタリングにフォワードの蔵田岬平が得意の左足でボレーシュート、7分には同じくフォワードに入った真野亮二が、得意の強引な突破を仕掛けた。
 
しかし16分、マルヤス岡崎のフォワード熊澤圭祐がアスルクラロ守備陣の一瞬のスキを突き、左サイドで待つ杉山博規へ。杉山がドリブル突破し、中央で待つキャプテンの濱崎滋昌が左足でうまく合わせてゴール左隅に決まる。
 
そこからマルヤス岡崎は、徹底して守備に専念する。
 
なんとか固く閉ざされたゴールをこじ開けようと攻め立てるアスルクラロ。
 
前半28分には、新加入のペ・フミンがミドルシュートを放つも、ボールは惜しくもゴールバーに弾き返されてしまう。さらにそのこぼれ球は蔵田の下へ。冷静に左サイドでフリーだった村上聖弥にパスを出すと、村上は得意の左足で一閃。しかし、このシュートも右ゴールポストに弾き返されてしまう。
 
33分には、ペ・フミンがゴールまで約25メートルの位置でFKを獲得すると、木暮郁哉が直接狙う。しかしわずかに右に外れてしまう。
 
「サイドから攻めようというのを、(村上)聖弥くんと意識しながらやっていました」
 
そう話す右サイドハーフの岡庭和輝が話すように、状況を打開しようと、両サイドの岡庭と村上がポディションチェンジをするも、ゴールが奪えないまま前半終了のホイッスルが鳴る。

村上聖弥の今季3ゴール目で同点に

「西村が出場停止でセンターバックがいなかったので、急ですがキム・ヨンギを先発で使いました。時間のない中で、ある程度うまくやってくれたと思います。ボランチで使ったペ・フミンも、ヘディングや対人で強いので、機能していたと思います。木暮とのボランチのバランスや距離感は悪くなかったです」
 
そう話す望月監督の通り、新加入の2人が守備で機能していた。特に後半は、相手の攻撃陣にほとんど何もさせなかった。実際、相手にシュート数は1本のみだ(前半は3本)。
 
後半になっても試合の流れはアスルクラロにあった。そして後半23分。ようやくゴールをこじ開けることができた。
 
馬場将大のスローインを受けた左サイドハーフの村上聖弥がドリブル突破を仕掛けると、こぼれ球が中央で待つ途中交代で入った緑悟の下へ。緑が相手と競り合い、なんとかボールを相手ペナルティエリア内に留めると、村上がそのボールに飛び込み右足でシュート。
 
このシュートがゴール左上に決まり、ようやく同点に。
 
勢い付くアスルクラロだったが、なかなかいい形でフィニッシュまでもっていくことができない。
 
それでも後半42分には、コーナーキックに飛び込んだペ・フミンがヘディンシュートを放つ。しかし相手ディフェンスの必死の守りに阻まれてしまう。
 
そして1-1のまま試合終了となった。

引き分けに終わった原因とは?

試合序盤に失った1点を後半になって返すも、逆転には至らなかった。それはなぜなのだろうか。
 
引いて守ってくる相手に対してどう戦うかというのは、どんなに強いチームであっても課題となるところなのかもしれない。望月監督は言う。
 
「相手が引いて守ってきた。特に岡崎は最初に点を入れたことで、自陣深くまで引いてブロックを作ってきたので、もっともっと選手たちが連動した動きの中で、相手を崩していかないといけなかった」
 
試合を支配すれば、イコール勝利ではないということだろう。ミスを恐れずに勇気をもってゴールへ向かっていくプレーが、少し足りなかったのかもしれない。望月監督は続ける。
 
「少しパスを意識しすぎたかもしれません。マルヤス岡崎が、自陣深くに人数をかけて壁を作ってきた。それをこじ開けるには、攻撃に時間がかかりすぎてしまったのかもしれません」
 
この日、センターバックに入った高野光司も言う。
 
「もうちょっと頭を使ってプレーしないと相手のブロックを崩せないのかなと思います。裏へ裏へという動きばかりだった。そうではなくて、動き直したり、中盤まで落ちてきたりといった連動性のあるプレーが足りなかった」
 
相手が引いて守ってくれば、パスを回せるのは当然だ。そんな時には、どう崩していくかということに頭を切り替えないといけない。グランドの中でそれを体現できなかったということなのだろう。
 
しかし選手たちは、すぐに切り替えて、意識は次節へと向いている。岡庭は言う。
 
「試合が終わった瞬間から次のMIOびわこ滋賀戦の話をしました。次節まで2週間空きます。課題はわかっているので、そこを修正してまた頑張りたいと思います」
 

DATA

試合結果

セカンド・ステージ第6節(会場:豊田市運動公園陸上競技場)
FCマルヤス岡崎(1-1)アスルクラロ沼津
メンバー)
GK 30.石田良輔 DF 31.尾崎瑛一郎 20.高野光司 33.金龍起(キム・ヨンギ) 25.馬場将大 MF 34. 裴厚民(ペ・フミン) 10.木暮郁哉 17.岡庭和輝(→27.真野直紀[後半37分]) 7.村上聖弥 FW 14. 6.真野亮二(→11.緑悟[後半21分])32.蔵田岬平
 

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