静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

今季最大のサポーターの前でvsHonda FC

-JFLセカンド・ステージ第7節(2014.09.21)-

共に静岡県に籍を置くアスルクラロ沼津とHonda FC。3月30日に行われたファースト・ステージでの対戦は、荒天のもとスコアレスドロー。6月22日の天皇杯県予選は、雨の中1点差でHondaが勝利。そして9月21日、JFLの“静岡ダービー”は3度目の戦いを迎えた。JFL最多優勝を誇る格上とも言えるHondaを相手に、これまでアスルクラロ沼津は互角に近い戦いを見せてきたが、いずれの試合も天候が優れなかった。つまり今回が初めて青空のもとで戦われる静岡ダービーなのだ。その注目度の高さは、今季最多となる2,968人という観客数にも現れている。

静岡ダービー初勝利ならず

6月の天皇杯予選でもアスルクラロのゴールを奪った香川大樹が2得点をあげるなど、4点を取ったHondaの圧勝とも言える内容に終わった今節。
 
セカンド・ステージに限って言えば、アスルクラロとHondaの勝ち点差は1であるが、やはりJFL在籍15年を誇り、リーグ4度の優勝経験を持つHondaの攻撃力は目を見張るものがあった。
 
Hondaの井幡博康監督は、試合後の記者会見でこう話す。
 
「ファースト・ステージは結果を求めましたが、セカンド・ステージは強化ということに焦点当ててきたので、今の結果は問題ないと思っています。その中で、今日の試合と次の佐川印刷京都との試合で勝てば、優勝争いも可能だと考えていました」
 
対して、“勝たなければいけない”アスルクラロの望月一仁監督は次のように話した。
 
「多くのサポーターの方が駆けつけてくれた中、力を出しきれずに終わってしまったというのは非常に残念です」
 
ファースト・ステージで優勝しているHondaの選手たちよりも、アスルクラロの選手たちのほうが、肩に力が入っていたのかもしれない。もちろん実力の差もあるのかもしれないが、それ以上にチャンスでの、シュート精度に差が出ていたように思える。それはプレッシャーの大きさによるところもあるだろう。
 
結果として、0-4という大差のつく試合となった。

2点ビハインドで前半を折り返す

キックオフ直後から運動量を上げるアスルクラロ。普段は右サイドハーフに入る岡庭和輝だが、この日のキックオフ直後は左サイドの村上聖弥とポジションチェンジ。
 
前半10分には、左サイドを突破した岡庭がセンタリングを上げるも、中央で待つ2試合連続で先発に起用された真野直紀が合わせきれない。
 
対するHondaも、15分には中央を強引に突破した栗本広輝が左足でミドルシュート。これはアスルクラロのゴールキーパー石田良輔の正面へ。
 
その直後には、セカンド・ステージに入って迫力が増しているアスルクラロのカウンターが炸裂。ボールキープ力のある柳澤隼が繋ぎ、スペースへ飛び出した岡庭へ。さらにサイドを駆け上がった真野直紀にボールが出ると、躊躇なく左足でシュート。しかしこれはHondaのゴールキーパー清水谷侑樹が正面でキャッチ。
 
一進一退の攻防が続く中、徐々にHondaが試合のペースを掴み始める。
 
すると24分、中央をドリブル突破した香川大樹が、右足を振りぬく。この30メートル近いミドルシュートが、見事にアスルクラロのゴールへ突き刺さる。
 
1点ビハインドとなったアスルクラロは28分、木暮郁哉のフリーキックをボランチのペ・フミンが粘り最後はディフェンダーの西村竜馬がシュート。これもキーパー正面で、難なく止められてしまう。
 
30分には、相手のラフプレーを受けた高野光司が負傷交代。バランス感覚に優れた“守備の要”を失ったアスルクラロは、44分にも失点。前半を2点ビハインドで折り返す。
 

チャンスは作るも相手ゴールの枠を捉えきれない

「前半は、前線から守備にいけないときは、ある程度ラインを下げて守ろうと話していたのですが、後半は2点ビハインドということで、前からいこうと指示しました」
 
望月監督の言葉通り、後半に入るとアスルクラロは積極的に前線からプレッシングにいく。
 
それが功を奏する。後半5分には、相手ボールを奪った岡庭と高野の代わりに入った緑悟の連携から良い流れの攻撃が生まれた。
 
さらに8分には、村上が出したロングパスに反応した岡庭がセンタリング。そのパスが再び村上のもとへ。ダイレクトで合わせるも、この右足のシュートはゴールを大きく越えていった。
 
12分には、ボランチのペ・フミンが相手ボールを奪うと、緑がパスを繋ぎ中央で待つ木暮郁哉へ。しかしこのミドルシュートも、ゴールの枠を越えてしまう。
 
「あの時間帯で点が取れなかったのが、痛かった」という望月監督の言葉通り、数度のチャンスをモノに出来なかったアスルクラロは、Hondaの逆襲にあう。
 
22分、横パスをダイレクトで合わせた細貝竜太のシュートがゴール左隅に。37分、フリーキックのこぼれ球を途中交代で入った村松知輝が繋ぎ、フリーの香川大樹が冷静にゴールへとシュートを蹴りこみ、4点リード。
 
残り10分で4点差を跳ね返す余力は残っておらず、そのまま0-4。アスルクラロの「静岡ダービー初勝利」は、叶わなかった。
 
試合後、センターバックの西村竜馬は話す。
 
「HondaはJFLのほかのチームより実力が上だと思います。だけど、Jを目指す僕らは今日の相手を基準に考えなければいけない」
 
結果が伴っていないかもしれないが、内容自体は相手を凌駕することも多いアスルクラロ。それらの相手を基準に考えてしまうと、より上を目指すことは出来ないのかもしれない。
 
そんなことを今日の敗戦から学ぶことができれば、この大敗も意味を成してくるに違いない。
 
 

PICK UP

地元・静岡県東部出身の真野直紀が抱く熱き思い

地元・静岡県東部出身で、東海リーグ時代からアスルクラロに所属する真野直紀。沼津にある加藤学園暁秀高校時代には、1年生ながら選手権予選に出場し、2007年の新人戦では準優勝も経験している。
 
「“地元出身”というものは、あまり意識しすぎないようにしています。ただ、やっぱり昨年までいた東海リーグ時代を知っている選手は少ないので、自分みたいな選手が頑張らないといけないなと思っています」
 
──責任感というものを持っているということでしょうか?
 
「責任感というようなものはあります。昨年からガラッとチームが変わった中で、残った僕が試合に出る姿を見せないと、彼らに対しても示しがつかないというか……元チームメートとかも、連絡をくれたり、応援に来てくれたりするんで、とにかく頑張っている姿を見せたいですね。そのためには試合に出なくてはいけないということです」
 
これまで、ほとんど試合出場に恵まれてこなかった彼だが、前節アウェイでのMIOびわこ滋賀戦で初先発を飾った。
この日のHonda戦でも先発に名を連ね、フル出場を果たした。
 
「監督やチームから求められているのは、攻撃でも守備でもとにかく前線で動き回ることです。自分でも、ゴールに向かうスピードや裏に抜ける動き、最後まで諦めない走りが武器だと思っているので、そこを出してチームに貢献したいですね」
 
──出場機会が少ないこともあって、今季のゴールは未だありませんが。
 
「第一はチームが勝つこと。だけどやっぱり自分も得点がほしい。まずは1点取りたいですね。自分は、足元で受けて技術で勝負するような器用なプレーヤーではないので、ゴールに突撃するような気持ちで得点を狙いたいですし、そういったプレーを地元のサポーターのみなさんにお見せしたいと思います」
 
東海リーグより高いレベルのJFLでは、戸惑うことも多かったという真野だが、徐々にそのスピード感にも慣れてきた。あとは地元のサポーターにゴールを披露するだけだ。数年後、彼がアスルクラロ沼津の顔となっていることを期待したい。

DATA

試合結果

セカンド・ステージ第7節(会場:愛鷹広域公園多目的競技場)
アスルクラロ沼津(0-4)Honda FC
メンバー)
GK 30.石田良輔 DF 20.高野光司(→11.緑悟[前半30分]) 33.金龍起(キム・ヨンギ) 3.西村竜馬 25.馬場将大 MF 34.裴厚民(ペ・フミン) 10.木暮郁哉 17.岡庭和輝(→6.真野亮二[後半33分]) 7.村上聖弥 FW 14.柳澤隼(→32.蔵田岬平[後半13分]) 27.真野直紀
 

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