静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

村上と蔵田の2試合連続ゴールで2連勝を飾る vs ヴェルスパ大分

-JFLセカンド・ステージ第9節(2014.10.05)-

上位進出のために、そして可能性の残るセカンド・ステージ優勝のために、アスルクラロ沼津の負けられない戦いは続く。残り5試合となった今節の相手は、ファースト・ステージで0-3の完封負けを喫しているヴェルスパ大分。2012年度からJFLで戦う“先輩格”だが、チームは前節の横河武蔵野FCに勝利した勢いをそのままに、今季初の2連勝を狙う。舞台は富士山のふもと、富士総合運動公園。この日は生憎の天気でその姿を拝むことはできなかったが、サポーターとともに見守ってくれている“富士山”のためにも負けられない。

荒天の中、逆転勝利!

「非常にタフなゲームでした。ですが、選手やスタッフなどチームが一丸となって戦った結果、勝つことができました」
 
キャプテンとしてアスルクラロをけん引した尾崎瑛一郎。その彼が試合終了後、サポーターに向かって話したように、本当にタフなゲームであった。
近づいてくる台風18号の影響で、文字通り荒天。天気に引っ張られるように、試合内容も荒れ、実に7枚のイエローカードと2人の退場者が出た。
 
先制点はヴェルスパだった。試合開始早々、リーグでの得点ランキング2位(セカンド・ステージ第9節時点)の福満隆貴によるスライディングシュートがアスルクラロのゴールに突き刺さる。
 
ファースト・ステージでの完敗が頭をよぎる中、不穏な空気を払拭したのは、尾崎のコーナーキックと、そのボールに飛び込んだ村上聖弥。村上の6点目となるゴールですぐさま同点に追い付く。
 
後半に入り、ヴェルスパが2人の退場者を出すも、アスルクラロはなかなか2点目をあげられない。
 
そのまま引き分けで終わるかと思われた後半43分。途中交代で入った畑直樹からパスを受けた蔵田岬平が得意の左足を振り抜き、これが決勝ゴール。
 
この日の勝利によってチームは5位まで順位を上げ、ステージ優勝への可能性も残した。
 

村上聖弥のゴールで同点に追いつく

前節・横河の試合とまったく同じメンバーで挑んだアスルクラロ。相手の出鼻をくじきたいところだったが、逆に先制パンチを食らってしまう。
 
前半5分。ヴェルスパのキャプテン・長谷川豊喜の投げたスローインが、センターバック西村竜馬の頭をかすめてゴール前へ。
 
すかさずゴールキーパーの石田良輔が飛び出すも、福満のスライディングのほうが速く、ボールはゴールへ吸い込まれる。0-1。体がぬかるんだグラウンドに慣れる前に、いきなり痛い失点をしてしまう。
 
しかし、アスルクラロのイレブンは焦ることなく試合を進める。前半は、比較的グラウンド状態のよい左サイドでうまく流れを掴むと、10分にはボランチのペ・フミンが相手の裏にできたスペースを狙う。惜しくもこのパスは繋がらないが、スピードのある左サイドハーフの村上が相手からボールをかっさらうと、中央で待つ蔵田へ。
 
思い切りのいい蔵田のシュートは相手ディフェンダーに阻まれるも、このチャンスで生まれたコーナーキックから点が生まれる。
 
「練習通りのゴールでしたね。いつも狙っている形です」
 
試合後、嬉しそうに話してくれたように、尾崎の低い弾道のコーナーキックにいち早く反応したのは村上だった。彼が放ったダイレクトシュートは相手ディフェンダーとキーパーの間をすり抜けていきゴールへ。1-1。失点からわずか7分での同点ゴールに、チームは勢いに乗る。
 
15分には、尾崎のスローインからフォワードの真野亮二が上手くパスを繋ぎ村上へ。さらに蔵田へとボールが渡ると、迷うことなくシュート。しかし、これはヴェルスパのゴールキーパー姫野昂志が好セーブ。
 
完全に試合の流れはアスルクラロのものになったが、さらに強まる雨脚のせいか、なかなか勝ち越し点があげられない。
22分、27分と立て続けに獲得した絶好の位置からのフリーキックも、ゴールの枠を捉えきれない。
 
すると36分、逆にピンチを迎える。右からのコーナーキックをヘディングで押し込まれるも、これは石田がセーブして事なきを得る。
 
45分には、木暮郁哉からのボールを受けたペ・フミンが得意のミドルシュートを放つもゴールは生まれず、前半を1-1で折り返す。
 

蔵田岬平の決勝ゴールで2連勝を飾る!

後半に入ると、試合が荒れてくる。後半8分、13分にはヴェルスパの攻撃がアスルクラロのゴールに迫るもチャンスには繋がらず、対するアスルクラロも、15分、17分にフリーキックを獲得するも、“ゴールの匂い”はしない。
 
チャンスよりもむしろファウルが続き、なかなかどちらのチームも試合の流れを掴むことができない状態が続いた。
 
とは言え、この日のアスルクラロは、特に左サイドの2人の動きが切れていた。左サイドバックの馬場将大が話す。
 
「前節の横河戦で、チームは勝ったんですけど僕はあまりよくなかった。だから、それを挽回しようといつも以上に気合いを入れていきました」
 
この言葉通り、積極的に攻撃参加する馬場と、スピードあるドリブルで相手を翻弄する村上のいる左サイドが相手ディフェンスをかき乱す。
 
そのことが間接的に、相手の退場を生むことになる。後半25分、村上が受けたファウルで、レッドカードがヴェルスパの選手に提示されたのだ。さらに32分にはペ・フミンがファウルを受け、ヴェルスパに2人目の退場者が出る。
 
数的有利になったアスルクラロは、攻撃的なポジションの緑悟と畑直樹の2人を投入し、勝ち越し点を狙いにいく。しかし、逆にボールが繋がらなくなってしまう。
 
「後半は、比較的グラウンド状態のよい右サイドから攻めるように指示したんですが、なぜか左にばかりボールが流れてしまいました。さらに前線の選手の攻める気持ちと後ろで繋ぎたい選手との思惑がずれて、攻めあぐねてしまいましたので、フォーメーションを変えようとしました」
 
サイドに起点を作るために、望月監督はフォーメーションの変更を指示しようとしていたと話す。しかし、そんな折に途中交代で入った畑から中央で待つ蔵田へパスが出る。
 
後半43分のことだった。畑からパスを受けた蔵田が、相手を引きずるようにして反転し、得意の左足を振り抜く。
相手ゴールキーパーはぬかるんだピッチの上を滑るボールの処理に失敗し、ボールはゴールの中へ。2-1。
 
「得意の左足だったんで、とにかく思い切りよく打ってやろう思いました」と語った蔵田の2試合連続となるゴールで、ついにチームは勝ち越した。
 
「ロスタイム5分」と表示されるも、45分に投入された数少ない前年からのメンバー佐野幸正やディフェンス陣が体を張り、そのまま試合終了のホイッスルが鳴った。
 
アスルクラロは勝点3を上積みし、セカンド・ステージの順位を5位にまで上げた。1位の佐川印刷京都との勝ち点差は8だ。
残り試合は「4」あるので、まだまだ逆転優勝の可能性は残されている。最後まで諦めない彼らの戦いから目が離せない!

PICK UP

安定した活躍を見せる韓国出身のペ・フミンとキム・ヨンギ

今回は8月末にチーム加入後、安定したパフォーマンスで、全試合にフル出場しているペ・フミンとキム・ヨンギの2人に話を聞いた。
 
「とにかく毎日楽しいですよ。練習も面白いし、チームがやろうとしているパスサッカーも楽しいので、充実しています」(キム・ヨンギ)
 
横浜FCから来たボランチのペ・フミンも水戸ホーリーホックから来たセンターバックのキム・ヨンギも、1対1には自信があると話す。
 
「僕は183センチ、ヨンギも187センチあるので、ヘディングには自信があります」(ペ・フミン)
 
実際、フィジカルにやや難のあったチームに安定感が生まれたのは、この2人のおかげだと思う。ヘディングのみならず、1対1の場面で相手からボールを奪う彼らの姿を見るのは珍しくない。さらに懐も深いので、なかなか相手からボールを奪われない。
 
また、特にボランチでコンビを組む木暮とセンターバックでコンビを組む西村との相性が抜群だ。要因を聞くと、笑顔でキム・ヨンギが答えてくれた。
 
「僕は去年、(木暮)郁哉とは水戸ホーリーホックで一緒だった。だからここでもすぐに仲良くなれた。センターバックの(西村)竜馬はアルビレックス新潟で郁哉と一緒だったから、彼ともすぐに打ち解けた。サッカーでも私生活でもいい関係です」
 
今期の残りは4試合。2人の目標を聞いてみた。
 
「とにかく残り全部勝つこと。4試合とも勝ちにいきますよ。それだけ」(キム・ヨンギ)
 
「僕は今1得点。1試合に1ゴールを取って、全部で5点取りたいです」(ペ・フミン)
 
頼もしいこの2人の活躍に期待したい。

DATA

試合結果

セカンド・ステージ第9節(会場:富士総合運動公園陸上競技場)
アスルクラロ沼津(2-1)ヴェルスパ大分
メンバー)
GK 30.石田良輔 DF 31.尾崎瑛一郎 33.金龍起(キム・ヨンギ) 3.西村竜馬 25.馬場将大 MF 34.裴厚民(ペ・フミン) 10.木暮郁哉 17.岡庭和輝(→9.畑直樹[後半35分]) 7.村上聖弥(→11.緑悟[後半34分]) FW 6.真野亮二(→24.佐野幸正[後半45分]) 32.蔵田岬平

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