静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

大歓声に沸いた雨中での逆転劇! vsヴァンラーレ八戸

-JFLセカンド・ステージ第11節(2014.10.26)-

アスルクラロ沼津には、残り試合のすべてを勝たなければいけない理由がある。残念ながら今季はJ3昇格への条件(年間順位4位以内)を満たすことはできないが、来季の飛躍のためには負けが許されないのだ。セカンド・ステージ第11節までの平均入場者数は1879人。この数字が3000、4000と増えていけば、必然と“J”への道は見えてくるに違いない。私はそう信じている。だからこそホームゲームラスト2試合に勝つことでサポーターを魅了し、今季の感謝の意も伝えなければならない。

蔵田の2ゴールでホーム2連勝!

「雨の中、スタジアムに足を運んでくださったサポーターや1年間チームを支えてくれたスタッフのためにも、また、来年も応援し続けてもらうためにも、結果を出したかった。その中で勝つことができて良かったです」
 
望月一仁監督は、この日の試合の重みを肌で感じていたようだ。試合終了後のこの言葉だけではなく、試合中にも望月監督の勝利への執念が見て取れた。今節ほどベンチから飛び出し、大声を張りあげた日はなかったのだ。
 
前節、アウェイでの鹿児島ユナイテッドFC戦で引き分けたことで、J3への昇格要件である年間4位以内への道は途絶えた。だからこそ、来季以降のアスルクラロの命運は、ホームゲームのラスト2試合にかかっている。監督も選手もスタッフも、皆がそれを理解し、一致団結して戦った。
 
相手はアスルクラロと同様に、Jを目指す百年構想クラブの1つであるヴァンラーレ八戸。今節までのセカンド・ステージの順位では上位にいる相手に対し、先制点をあげたのはアスルクラロだった。前半8分に、今季4ゴール目となる蔵田岬平のダイレクトボレーシュートが、相手ゴールに突き刺さった。
 
後半になると、アスルクラロの隙を突いたヴァンラーレが2点を返し逆転。しかしそこで足が止まった選手は、アスルクラロには1人もいなかった。
 
後半残り10分で、コーナーキックからのボールを西村竜馬が気迫のヘディングでゴールへとねじ込むと、その1分後には蔵田のミドルシュートが炸裂。この日、2ゴール目となる蔵田のゴールで逆転!
 
そのまま試合終了となり、愛鷹スタジアムはサポーターの大歓声に包まれた。

ぬかるんだピッチで違いを見せたのはアスルクラロ

3戦連続で雨天の試合となったアスルクラロ。試合開始早々こそ、スリッピーなグラウンドに足を取られ、攻め込まれるシーンもあったが、すぐに落ち着きを取り戻す。
 
「今日は失点の少ない相手でした。その中で、いかに相手の守備のバランスを崩して攻めこむかが重要だと話していました。」と望月監督が語ったように、両ワイドのスペースを大きく使った攻撃で揺さぶりをかける。
 
前半4分には右サイドでのボールキープから、左サイドを駆けあがった馬場将大にパスが出ると絶妙なセンタリングがあがる。
 
岡庭和輝がそのボールをそらすと、裏で待っていた蔵田がボレーシュート。この利き足ではない右足でのシュートは、ゴールマウスをとらえることができない。
 
流れに乗るアスルクラロは、8分、またも馬場の攻めあがりからの攻撃で、村上聖弥がミドルシュートを放つ。村上のシュートは相手にブロックされるが、ボールは右サイドで待つ蔵田の下へ。
 
この絶好のチャンスで蔵田は得意の左足を振りぬくと、ボールはゴール上隅へ入り、1-0。
 
先制点をあげたアスルクラロは、ボールを支配し続ける。ぬかるんだピッチで輝いたのは、持ち前のテクニックで1人異彩を放つボランチの木暮郁哉だった。彼の正確なボールコントロールが、アスルクラロのボールポゼッションを支える。
 
21分には、尾崎瑛一郎の右からのコーナーキックに反応した村上がニアでうまく頭で合わすもわずかにゴール頭上へ。前回のホーム・ヴェルスパ大分戦の1点目を彷彿とさせるシュートに、歓声があがった。
 
33分には右サイドからのフリーキックでシュートを放たれるも、ゴールラインギリギリで村上がクリア。さらにそのこぼれ球でミドルシュートを浴びるも、西村が体を張ってブロック。
 
前半を1-0で折り返す。
 

気迫の2ゴールで大逆転劇

後半開始早々、ヴァンラーレが反撃に出る。1分も経たないうちに、センターバック西村とゴールキーパーの石田良輔の連携ミスを見逃さなかった玉田道歩がゴールをあげ、ヴァンラーレが1-1の同点に追いつく。
 
しかし、失点後すぐに右コーナーキックからキム・ヨンギがヘディングシュートを放つなど、アスルクラロの流れは途絶えない。何度となく両サイドから相手ゴールを脅かすが、最後のひと押しだけがうまくいかず、得点は生まれない。
 
すると、またも隙を逃さなかったのはヴァンラーレだった。
 
「失点シーンは相手との距離間が良くなかった。相手がセンターフォワードをめがけてパスを放り込んでくることはわかっていたので、しっかりと相手の距離を詰めておくべきでした。与えてはいけない失点でしたね」
 
西村が話してくれたように、後半18分、高々と上がった相手ゴールキーパー山田賢二のパントキックに競り勝った小林定人が玉田に繋ぎ、あっさりと逆転。ヴァンラーレが少ないチャンスをものにし、1-2と逆転する。
 
その後、試合の流れはアスルクラロが握るもゴールに結びつかない。19分にはフリーキックから村上は頭で合わせるも、ゴールの外側のネットへ。22分にも、蔵田があげたセンタリングから村上がオーバーヘッドを放つが、ゴールの枠をとらえられず。
 
ようやく同点ゴールが生まれたのは、残り時間10分を切ってからだった。
 
後半36分、「僕のミスから失点したんで、ゴールを狙っていました」と語る西村が尾崎のコーナーキックに飛び込み、値千金の同点弾。
 
一気にたたみ掛けたい望月監督は、同時に2人の選手を入れ替える。
 
するとその1分後、途中交代で出場した真野直紀が、持ち前のスピードで空いたスペースに飛び出し、西村から受けたロングパスをヘディングで落とすと、待っていた蔵田へ。蔵田は迷うことなく、得意の左足でミドルシュートを放つ。
 
この強烈なシュートはバーに当たった後も、その勢いのままゴールの中へ。3-2の大逆転ゴール!
 
ロスタイムには攻めこまれ、コーナーキックのチャンスを与えてしまうも、選手全員で守りきり、試合終了のホイッスル。
 
愛鷹のスタンドが大歓声に沸いた瞬間だった。

PICK UP

途中加入ながら5ゴールをあげている蔵田岬平の思い

「逆転されてからは、みんなが裏に飛び出していったので、逆に自分はミドルシュートを狙える位置を取りました。狙い通り絶好のボールがきたので、あとは得意の左足を振りぬくだけでしたね」
 
試合後、今季5ゴール目となる大逆転弾を振り返ってくれた蔵田。7月にJ2の松本山雅FCから期限付き移籍でアスルクラロにやってきた。
 
「JFLということで、はじめは戸惑いや気持ちの面での迷いがありました。でも結果を出すことが自分の成長に繋がると思ったので、とにかくゴールを決めて、チームを勝利に導こうと決めました」
 
その言葉通り、セカンド・ステージ第3節で、決勝ゴールをあげると、その後も順調にゴールを重ね、気づくとチームトップタイとなる5ゴール。それでも今の自分には満足していない。
 
「もっともっとできたと、悔やむ面もあります。アスルクラロを優勝させたいと思っていましたから。でも、今の結果が今の自分の実力。もっと上手くなるしかないですよね」
 
蔵田の目には、成長への飽くなき探求心が映っている。今後も蔵田が成長する姿に期待したい。
 

DATA

試合結果

セカンド・ステージ第11節(会場:愛鷹広域公園多目的競技場)
アスルクラロ沼津(3-2)ヴァンラーレ八戸
メンバー)
GK 30.石田良輔 DF 31.尾崎瑛一郎 33.金龍起(キム・ヨンギ) 3.西村竜馬 25.馬場将大 MF 34.裴厚民(ペ・フミン)(→16.中野翔太[後半36分]) 10.木暮郁哉 17.岡庭和輝(→9.畑直樹[後半29分]) 7.村上聖弥 FW 6.真野亮二(→27.真野直紀[後半36分]) 32.蔵田岬平
 

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