静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

悲願のJ3へ! 全身全霊で突き進む

─2015年のJFLは3月8日(日)に開幕!─
アスルクラロ沼津にとってJFL初年度だった昨年は、年間通算順位8位(全14チーム中)という結果だった。J3を目指すアスルクラロとしてみれば、もちろんこの結果は満足のいくものではない。Jへ進むためには年間4位以上(もしくはファースト・セカンドステージのどちらかで優勝)が必要だからだ。しかし、実際に会場へと足を運び続けたサポーターなら気付いているはずだ。彼らが目に見えて成長できた1年であったということを。「2015年こそJ昇格を成し遂げてくれる」という期待を抱かせるシーズンであったということを。そして来る3月8日、アスルクラロにとって2年目となる2015年のJFLが開幕する。

吉田謙新監督が目指すサッカーとは?

今季のアスルクラロのスローガン。それは「全力アスル」。その意味とは? そして吉田謙新監督の率いるアスルクラロが目指すサッカーとは、どんなものなのか。
開幕前のトレーニングマッチ終了後、吉田監督に話を聞くと、熱のこもった言葉が溢れ出てきた。
 
「とにかく1試合1試合、目の前の勝負にこだわって勝つこと。基本的にはそれだけです」
 
昨季は望月一仁前監督の下でヘッドコーチを務めた吉田謙新監督。筆者には、選手に寄り添う熱いオトコというイメージがあるが、その通りのようだ。
 
まずはチームの目標としているものを聞くと、次のような答えが返ってきた。
 
「目標はありません。全試合全力でやるだけ。あえて言うならそれが目標です。勝ち点だとか昇格だとかいう話の前に、目の前のことを全力でやる。それは試合もそうですけど、トレーニングや練習試合なども含めて、すべてにおいてです」
 
今季のスローガンとして掲げた「全力アスル」は、ただのシンボルではないようだ。
 
「僕たちが目指すサッカーは、近所のおじいちゃん、おばあちゃん、地元の小さい子、誰が見ても『頑張っているなぁ』って思ってもらえるサッカーです。うちのメンバーは、ほとんどが仕事をしながらサッカーを頑張っているプロではない選手たちです。
 
朝早く起きてグラウンドに来て、きついトレーニングをして、その後お昼から夜遅くまで働き通す。そして土日は試合のために遠征もする。それでも全力でやる。そんなサッカーというか、彼らの生き様をお見せしたいし、応援してもらえたらと思っています」

昨季のアスルクラロとの違い

昨季はJFL初年度ということもあり、なかなか結果が出せなかった。そんなアスルクラロが、今季必要なものとは何なのだろうか。
 
「プロではない、働きながらサッカーをしている選手ばかりなので、『強く生きること、そして仲間を思うこと』が勝つために必要だと思っています。だからみんなで守るし、みんなで攻める。ミーティングもそうです。監督である僕が一方的に話すのではなく、みんなで話し合う」
 
確かに今日(2月某日)のトレーニングマッチの中でも、そのような場面を目にした。昨年からゴールマウスを守る石田良輔選手が自らボードを使って指示を出していたのだ。
 
「ああいった自ら話し出す姿が理想です。選手たちが、自発的に改善に向けてどんどん話し合う。実際、ピッチ内でも外でも、選手同士で話し合いをしている姿が増えてきました。
 
正直にいうと、ここでは言えませんが、やりたいサッカーの型はあります。選手にも強く求めています。でも、同時に型は破ってもいいと言っています。あくまで型というのは判断基準でしかないので、柔軟にチャレンジしていいし、違うことをしてもいいと」
 
サッカー選手としての成長はもちろんだが、それだけではない。人間としての成長が勝利に繋がると吉田監督は信じている。だからこそ選手たちと色んな話をする。
 
「サッカーのことよりも、ビジネス用語ばかり使っていますよ。『5W1H』とか、『整理・整頓・清掃・清潔・躾の5S』とか、『ショートミーティングを繰り返せ』とか。サッカーって不確定要素ばかりのスポーツだと思うんです。ボールは1個しかない中で、毎回異なる相手が対峙する。得点が入るのは、1試合の中でほんの一瞬だけ。つまり、サッカーはほぼミスをするスポーツなんです。それでも折れないでやり続ける。そういう集団を目指しています」

ボールを支配するのがすべてではない

昨季はポゼッションサッカーをしようというチームとしての明確な方向性があった。しかし、今季の戦術はそうではない。

「すべてはボールの状況次第です。ボールが前向きだったら前にいくし、後ろ向きだったら前にいってもしょうがない。その状況で一番いいものを選べるか。それが戦術です。

ボールを支配しているのが美しいとか、そういうのは全く思っていない。たとえば引いて守るにしても、前からプレスにいくのも相手の状況次第です。相手がポゼッションサッカーをしてくるのなら、持たせればいいんです。『ポゼッションさせてやっている』くらいの気持ちで。『取りにいく』という瞬間をみんなで共通で持って、一発の鋭い攻撃を食らわす」

もちろんポゼッションを否定しているわけではない。選手たちがピッチの中で判断し、その都度やり方を改善していくことが必要なのだと吉田監督は考える。

「ポゼッションをしないというわけではないです。上手い選手もたくさんいるので、ポゼッションができるときはします。それも状況次第です。そして、その状況判断は、選手がピッチの中でするのが理想です。ピッチの外から指示を出しても、状況が好転するとは思っていませんので」

最後に、サポーターに向けてのメッセージも聞いた。

「僕はスタジアムでもこう言うと思います。『ここにいる選手たち、今日頑張っていた彼らはプロではありません。みなさんと同じように普段は働いている人間です。それでもこんなに走るんです、頑張るんです。だからぜひスタジアムで応援してください』と。

そして我々が全力で走る姿を見たみなさんが、『明日の仕事を頑張ろう』と思ってもらえたら最高です。そんな風に1年間を地域のサポーターと共に頑張っていけたらと思っています」

昨年からいた選手と新加入選手との気持ちのバラつきはまったくない。注目選手は全員だと吉田監督は話す。負けたら「期待していたのに……」と思われるのではなく、「負けたら一緒に悲しむし、勝ったら一緒に喜ぶ」。

そんなチームを目指して、3月8日、ファジアーノ岡山ネクストをホームの愛鷹に迎える。

今期のアスルクラロ沼津について

アスルクラロメンバーについてはこちら
http://www.azul-claro.jp/information/22625/

今シーズンの日程についてはこちら
http://www.azul-claro.jp/information/22727/

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