静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

"想い"で手にした勝ち点3 vs 流経大ドラゴンズ龍ケ崎

-JFLファースト・ステージ第4節(2015.03.29)-

3試合を終えて1勝1敗1分となったアスルクラロ沼津。ファースト・ステージ制覇のためにも、早い段階で勝ち癖をつけて、上位進出を狙いたいところだ。今節、ホーム愛鷹に迎えるのは、今季からJFLに昇格した流経大ドラゴンズ龍ケ崎。全員が大学生ながら善戦を続けているチームだが、いまだ勝ち点は取れていない。そのため、がむしゃらに勝ち点を奪いに来ることも予想される。アスルクラロにとっては、“JFLの先輩”として絶対に負けられない相手でもある。

松尾・鈴木のゴールで完封勝利!

雨が降る中でキックオフとなったホーム3戦目、アスルクラロはこれまでフォワードとして先発起用してきた新裕太朗に替えて齋藤翔太を、前節負傷離脱したセンターバックの鴇田周作に替えて藤原拓也をピッチに送り出した。
 
キックオフ直後は、水を含んだピッチのせいか、両チームともなかなか試合の流れを作ることができなかったが、徐々に平均年齢19.7歳という若さを武器にした流経大ドラゴンズが豊富な運動量でセカンドボールを拾うなど、試合を優位に進め始める。しかし、経験に勝るアスルクラロの守備陣の集中力も高く、決定的な場面を作るには至らない。
 
アスルクラロにとって、我慢のプレーが続いた前半33分。相手ディフェンダーがクリアした中途半端なボールを上手くコントロールした松尾篤が、左足を振り抜く。このシュートがゴールバーの内側に当たって、ネットを揺らす。
 
少ないチャンスをものにしたアスルクラロが1-0とリードする。
 
後半に入ると、お互いチャンスの数が増えた。後半13分には、流経大ドラゴンズ龍ヶ崎のフォワード藤山凌が荒木克仁のコーナーキックにドンピシャで合わせるも、このヘディングシュートはアスルクラロのゴールキーパー石田良輔がスーパーセーブ。
 
対して後半35分にはアスルクラロにチャンスが生まれる。蔵田岬平が得意の左足でミドルシュートを放つ。一度は流経大ドラゴンズ龍ヶ崎のゴールキーパー梅澤夏紀に阻まれるも、そのこぼれ球に飛び込んだ鈴木将也が押し込んでゴール。
 
松尾、鈴木将也、両選手の今季初ゴールで2-0としたアスルクラロが、勝ち点3を手にした。

松尾のJFL初得点で先制!

「チーム1の縦へのスピードが持ち味」と吉田謙監督が評する齋藤を中心に攻め立てたいアスルクラロだったが、前半は思うように試合を作ることができなかった。
 
前半4分には左サイドバックの望月理人が、8分には素早いカウンターから蔵田がチャンスを作りかけるも、シュートまで持っていくことができない。
 
27分、フリーキックからの流れで、ようやく齋藤にシュートチャンスができるも、ボールはゴール左に大きく逸れていった。
 
「スローインの練習を増やしました。今日の試合ではそれが活かされていたと思います」と吉田監督が言うように、スローインから流れを掴んだ。
 
前半31分、右サイドの相手陣内奥深くでのスローインから、蔵田、岡庭と繋ぎ、最後はキャプテンを務める右サイドバックの尾崎瑛一郎へ。このミドルシュートは大きくゴール上方に外れるも、チームに勢いが生まれる。
 
するとその直後、相手ディフェンダーのクリアミスを上手く処理した松尾が、左足で一閃。ゴールバーに当たってそのままゴールイン。
 
「僕からは特に指示を出したわけでもないのですが、攻撃陣は自分たちで居残りをしてシュート練習をし始めました」と、吉田監督。その成果がこの場面に表れたと言えるだろう。
 
対する流経大ドラゴンズ龍ヶ崎は、大平正軌監督が「いいところまでいくが、最後のところでツメが甘く、細かいミスが出てしまった。若い選手たちなので、経験の差があった」と話したように、攻めこむところまではできたが、いい形でシュートまでもっていくことができなかった。
 
1-0とアスルクラロがリードして前半を折り返す。
 

“想い”で押し込んだ2得点目

後半は、お互い前半よりもチャンスが増えた。
 
後半6分には、流経大ドラゴンズ龍ヶ崎のフォワード、イ・サンヒョクがドリブル突破し、数的優位のチャンスをつくった。これは初先発となったアスルクラロの藤原が最後のところでブロック。
 
さらに13分には、コーナーキックをニアで合わせた藤山のヘディングがアスルクラロのゴールに迫ったが、石田がビックセーブでチームを救う。
 
すると17分、アスルクラロは右サイドの裏に抜けだした岡庭和輝がセンタリングをあげると、齋藤に替わって入ったばかりの新がヘディングで合わせる。惜しくもゴールにはならなかったが、チームに勢いをもたらすと、直後のコーナーキックでもチャンスが生まれる。ファーサイドにいた西村竜馬による折り返しを岡庭がシュート。しかし、これもわずかにゴールを外れてしまう。
 
試合終了後、吉田監督が口にしたのが“想い”ということだった。「相手が大学生というのもあります。また第4節ということで、少しずつ試合に慣れてしまってくる。そんな空気を引き締めるためにも、今日の試合は“想い”が大切なのだと試合前に話しました」
 
そんな想いが実った瞬間が、後半35分だった。中央でボールを受け取った蔵田が、得意の左足でミドルシュートを放つ。するとそのこぼれ球を詰めた鈴木がゴール。
 
「蔵田の左足をみんなが信じていたので、2点目が生まれたんだと思いますね」と語る尾崎。その言葉通り、実は、反応していたのは鈴木だけではなかった。中野翔太など複数人いたのだ。チームメイトを想うこと、そしてゴールへの想いを持つことがこのゴールを生んだといえる。
 
2-0とした後、不用意なイエローカードが、尾崎と新に出てしまったことは反省材料だが、しっかりと相手の攻撃をシャットアウトし、そのまま試合終了の笛が鳴った。

静岡県東部にアスルクラロあり

今季からホームゲームで試合に勝つと、選手とハイタッチ!できるウィナーズゲートを開催している。子どもたちに人気のこの企画だが、アスルクラロが静岡の東部地区で愛される理由には、子どもたちとの関わりが関係している。
 
アスルクラロ沼津U15(旧ACNジュビロ沼津)ほか、複数のアスルクラロジュニアユースチームやサッカースクールがあり、たくさんの子どもたちにサッカーボールに触れる楽しさや試合の厳しさを教えている。もちろん教えているだけではない。静岡のサッカーといえば中西部地区が全国的に有名だったが、その「常識」を覆すような成績も残してきた。
 
特に中学生世代のジュニアユースチームは、2002年に、静岡県中学新人戦大会で静岡県を制すると、2009年には日本クラブユース選手権で全国大会ベスト4進出。2010年には全日本ユース高円宮選手権で東海大会を制している。
 
まさに「静岡の東部地区にアスルクラロあり」という存在感を示してきたのだ。
 
これらの長年の功績も手伝って、アスルクラロは2013年に「Jリーグ百年構想クラブ」となった。
 
「今後は高校生チーム、つまりユースチームも作っていきたい」と話しているのは、クラブの山本浩義代表だ。その言葉にあるとおり、今後もより一層アスルクラロと東部地区の関わりは深くなっていくことだろう。
 
そして、愛鷹競技場が地元の子どもたちやサポーターで埋め尽くされる日も遠くない。そんなアスルクラロのトップチームが「J」へ昇格するためにも、大きな声援を送り続けたい。

DATA

試合結果

ファースト・ステージ第4節(会場:愛鷹広域公園多目的競技場)
アスルクラロ沼津(2-0)流経大ドラゴンズ龍ケ崎
メンバー)
GK 30.石田良輔 DF 18.尾崎瑛一郎(Cap.) 4.藤原拓也 3.西村竜馬 5.望月理人 MF 2.中野翔太 7.鈴木将也 8.岡庭和輝(→28.鈴木淳[後半45分])10.蔵田岬平 FW 13.松尾篤(→19.御宿貴之[後半33分]) 9.齋藤翔太(→14.新裕太朗[後半13分])
 

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