静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

惨敗も優勝へ向けて突き進むのみ vs Honda FC

-JFLファースト・ステージ第10節(2015.05.03)-

昨季のJFL王者であり、アスルクラロ沼津と同じ静岡県のチームでもあるHonda FCとの“静岡ダービー”となった第10節。今節は、ファースト・ステージの優勝を占う意味でも、アスルクラロの現在位置を知るためにも、重要な試合となる。1週間強で3試合を戦う過密日程ではあるが、何としても勝ち点3を手にし、ファースト・ステージ制覇へ突き進みたい。

0-5で惨敗も、昨季とは違う確かな手応えも

「多くのサポーターのみなさんに来ていただいたにもかかわらず、チームを勝たせてあげられなくて自分の力不足を感じました。でも、選手たちは過密日程にもかかわらず本当によく走りきってくれたと思っています」
 
今季からアスルクラロを率いる吉田謙監督は、試合後にこのように話した。その言葉の裏には、昨季王者に対して“胸を借りる”という考えが一切ないことがうかがえた。言い換えれば、ただ「勝ちにいった」ということ。昨季は「引き分けでも十分」という雰囲気が少なからずあった。
 
その結果が0-5、アスルクラロの惨敗である。
 
しかし、結果だけみれば惨敗だが、内容をつぶさに見るとチームの成長が見て取れる。昨季からHonda FCを率いる井幡博康監督も、「結果は差がついたが、実力的には差がない。アスルクラロの守備の意識や前への圧力は昨年と明らかに違った。11人のままだったら違う試合結果になっていただろう」と話した。
 
前半13分、ゴールから約30メートルの直接フリーキックをHonda FCのキャプテン鈴木雄也が右足で豪快に決める。その10分後にも、フリーキック時の競り合いの中で、アスルクラロの守備の要である西村竜馬が相手にPKを与えて0-2に。さらに、このファウルで2枚目のイエローカードを受けた西村は退場。アスルクラロは残り70分近くを1人少ない数的不利の中での戦いを強いられることになったのだ。
 
後半に入り、アスルクラロはチャンスを作ったが決めきれず、逆に交代出場したHonda FCの伊賀貴一と原田開の両フォワードがゴールを決める。アスルクラロが前がかりになったところを狙ったカウンターがピタリとハマり、残り時間10分の間に3得点。
 
0-5とアスルクラロを突き放して、試合終了のホイッスルとなった。
 

センターバック西村竜馬の成長と課題

前半、キックオフ直後から試合を有利に運んだのはアスルクラロのほうだった。Honda FCの高い技術によるパス回しを前線からの守備で封じ、徐々に押し込んでいった。
 
前半13分には、Honda FCのディフェンダー鈴木に直接フリーキックを決められるも、アスルクラロに焦る選手はいなかった。
 
昨年よりも安定感と走力をつけ、ここまでフル出場でチームを最終ラインから支えてきたセンターバックの西村も、気持ちの入ったプレーで相手を封じ込めていた。しかし前半18分に、相手ゴールキーパーと接触してイエローカードを受けると、22分にも相手にPKを与えるファウルで2枚目のイエローカードをもらい、退場になってしまった。
 
2つの課題があるように思える。1つは、1枚目のイエローカード。攻撃力のあるHonda FC相手に対し、本職の守備時ではなく、攻撃時にもらってしまったのは反省材料だ。もう1つは、チームの中で「相手フォワードの潰し役」としての西村をサポートする選手がいなかったことだ。
 
1枚目のイエローカードを受けた後も、相手攻撃陣と競り合っていたのは常に西村だった。もちろん競り合いの強い西村が競るというのが悪いとは思わないが、退場のリスクを考えると時にはまわりの誰かが競り合いを買って出てもよかったかもしれない。それが「チームで戦う」ということでもあると思う。
 
アスルクラロはチャンスらしいチャンスを生み出せないまま、0-2で前半終了を迎えた。
 

好機を生み出すも、カウンターで失点

後半に入ると、リスクの少ない数的有利を活かしたポゼッションサッカーで、Honda FCが試合を組み立てる。
 
後半5分、7分と得点ランキング上位のフォワード香川大樹が決定機を演出するも、負傷中の尾崎瑛一郎の替わりに先発出場した高橋寛太が体を張ってブロック。何とか相手の攻撃を封じ込めると、アスルクラロはフリーキックから試合の流れを引き戻そうと試みる。
 
後半9分、蔵田岬平が受けたファウルで得たフリーキックで、藤原拓也が得意の左足でゴール前に質の高いクロスボースをあげると、ファーサイドにまわった鈴木淳がヘディングで折り返す。このボールをフォワードの松尾篤が合わせるも、わずかにゴールの枠を捉えることができなかったが、これを機に試合の流れを少しずつ引き寄せる。
 
後半24分には馬場将大のセンタリングを鈴木将也が頭で合わせるも、わずかにゴール左へ外れた。
 
さらにフレッシュな新裕太朗、太田一輝、齋藤翔太を立て続けに投入すると、Honda FCのゴールを脅かすプレーが出てくる。
 
後半35分、相手陣内左サイド奥深くで得たスローインから蔵田がセンタリングをあげる。これはわずかに新に合わなかったが、その直後相手の守備が甘くなった一瞬の隙をついて、齋藤が反転してドリブル突破。キーパーと1対1の好機を作るも、シュートを空振りしてしまい、ゴールにならず。
 
逆にHonda FCは、代わって入ったフォワードの2選手が活躍する。後半38分、42分、45分と、カウンターでつくったチャンスをきっちりと決めて3得点。
 
0-5とHonda FCが大差をつけたところで、試合終了のホイッスルとなった。
 
この日、ゲームキャプテンを任されたボランチの鈴木は「Honda FCのサッカーとウチのサッカーは相性が良いと思っていました。特に前半の最初は手応えがあったんですが残念です」と話した。
 

ファースト・ステージ優勝への絶対条件

残り5試合となったファースト・ステージ(※第10節終了時)。優勝の行方は、アスルクラロを含む上位7チームに絞られたといえるだろう。逆に言えば、「勝ち点差5」以内にいる7チームはどこも優勝の可能性が残されている。
 
そして上位対決が複数残るソニー仙台、鹿児島ユナイテッド、Honda FCに対して、下位チームとの試合が多く残るアスルクラロは、残り試合を全勝すれば十分に優勝できる位置につけていると言える。
 
前出の鈴木が「0-1となった試合をどう逆転して勝利するかがカギ」と話すように、残り試合で劣勢に立たされる時が間違いなくあるだろう。その時、逆転勝利を手にするためには、技術力はもちろんのこと、精神力(=気持ちの面)も大切になってくる。
 
そんな選手たちのメンタルを支えるためにも、いっそう大きな声援が必要となってくるであろう。愛鷹のスタンドがサポーターでいっぱいになれば、選手たちはいつも以上の力を発揮できるに違いない。優勝の二文字のためにも、ぜひとも会場へ駆けつけたい。
 

DATA

試合結果

ファースト・ステージ第10節(会場:愛鷹広域公園多目的競技場)
アスルクラロ沼津(0-5)Honda FC
メンバー)
GK 21.大畑拓也 DF 15.高橋寛太 23.藤原拓也 3.西村竜馬 5.馬場将大 MF 2.中野翔太(→17.太田一輝[後半21分]) 7.鈴木将也(Cap.) 8.岡庭和輝(→14.新裕太朗[後半15分]) 10.蔵田岬平 FW 13.松尾篤(→9.齋藤翔太[後半26分])28.鈴木淳
 

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