静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

今季JFL最多の観客が集結も惜敗 vs ソニー仙台FC

-JFLセカンド・ステージ第10節(2015.10.03)-

J昇格への正念場。アスルクラロ沼津にとって、そのひと言に尽きるソニー仙台FCとの大一番が、愛鷹で開催された。中山雅史加入後、最初のホームゲームということも手伝って、駆けつけたサポーターは8,000人を超え、大きな歓声がスタジアムを包んだ。勝てばJの背中が見えてくる状況の中、現在JFL年間通算順位で首位を走るソニー仙台FCが、アスルクラロの前に立ちはだかる。

先制ゴールも逆転を許し、痛い敗戦

先制ゴールをあげたのは、アスルクラロだった。後半20分、ソニー仙台FCのディフェンスラインにズレが生じた一瞬を見逃さなかった。ボランチの河津良一から、スピードが持ち味の道上隼人へスルーパス。このボールをゴールラインギリギリまで持ち込んだ道上が、グラウンダーのクロスをあげると、逆サイドから飛び込んできた蔵田岬平が右足でダイレクトシュート。
 
強烈なこのシュートは、ソニー仙台FCのゴール上部に突き刺さった。先制ゴール! 愛鷹に歓声が巻き起こった。
 
しかし、まだセカンド・ステージで負けのないソニー仙台FCは失点に焦ることなく、徐々にアスルクラロを追い込んでいく。
 
「失点するまでは、何とか最後のところで体を張って守れていたんですが、失点の場面でのクロスボールは、かなり質が高く防ぎきれなかった」と語るのは、センターバックの西村竜馬。後半26分、45分と、共に相手の右サイドからあげられたクロスボールからのヘディングシュートで2失点。最後の最後で逆転を許し、アスルクラロは大一番で勝利を収めることはできなかった。
 

諦めている選手は一人もいない

前半から主導権を握ったのは、ソニー仙台FCだった。ボール保持率を上げ、しっかりとゲームを組み立てることで、徐々にアスルクラロを追い込もうという狙いだ。
 
しかし、石川雅人監督は「ボールを持ててはいましたが、どちらかというと持たされているという感じでした」と、試合後の会見で話した。その言葉通り、終始ボールを保持しながらも、ソニー仙台FCは決定的なチャンスを生み出すには至らなかった。
 
それでも、現在首位を走るソニー仙台FCは、二度ほどアスルクラロのゴールに迫った。しかしアスルクラロの守備陣も高い集中力を保っていた。前半35分には、田中豪紀がミドルシュートでゴールを狙うも、ゴールキーパーの石田良輔がセービング。前半43分にも、ソニー仙台FCにシュートまで持ち込まれるも、尾崎瑛一郎がスライディングでブロックし、事なきを得た。
 
後半に入ると、次第にアスルクラロが試合のペースを握り出す。後半18分に、フォワードで起用されていた岡庭和輝に代わって松尾篤が投入されると、20分に前半から何度もスペースへの飛び出しを見せていた道上がチャンスをつくり、蔵田が今季5つ目となるゴールを決めた。1-0とアスルクラロが先制!
 
しかし、その後ソニー仙台も少ないチャンスをものにする。後半26分には前澤甲気が、後半45分には内野裕太が、共にヘディングシュートでアスルクラロからゴールを奪取し、逆転に成功。
 
アスルクラロとしては、後半28分のフリーキックから生まれたチャンスを決めきれなかったことが痛かった。一度相手ディフェンスに弾かれたボールが、ペナルティエリアの外で待っていた蔵田の下へ、ドンピシャで転がってきたのだ。このシュートは、残念ながら相手守備陣にブロックされてしまった。
 
1-2とソニー仙台FCがリードしたまま試合終了のホイッスル。さらにアスルクラロの上位を行く鹿児島ユナイテッドFCが、今節勝利をあげたため、アスルクラロとの勝ち点差は8に広がった。残り5試合で勝ち点差8をひっくり返すのは容易ではないことだ。もし実現できれば、それは奇跡と呼んでもいいかもしれない。
 
しかしその奇跡を選手たちも監督も起こすつもりだ。誰一人として諦めているものはいない。前出の西村は言う。
 
「もちろん今日の負けは痛いですが、先週の栃木ウーヴァ戦から本当にチームの雰囲気が良いと感じています。今日の負けを踏み台にして、とにかく残り5試合を全勝する。まだまだ諦めている選手は一人もいません」
 
朗報もある。この日の観客数が、今季JFL最多の8,337人となったことだ。これで、J昇格への条件の一つである、平均観客人数2,000人を突破できる可能性が高まった。あとは勝点を積み上げ、上位4チームに入ることさえできれば、J昇格は見えてくるのだ。まだ諦めるのは時期尚早だ!
 

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【全文掲載】中山雅史、練習後の会見

今季のJFL最多となる観客が愛鷹に集まった最大の功労者は中山だ。そんな中山は、試合後に行なわれた公開練習に参加し、他のアスルクラロの選手たちとともに、一時間ほど汗を流した。さらにその練習後、この日集まった大勢の報道陣を前にして、会見に応じてくれたので、ここに全文掲載をしたい。
 
──8,337人という観客が集まりました。みなさん、どこかで中山さんの出番もあるのではという気持ちも持ちながら来た方もいたかと思いますが、今日、試合をご覧になっていかがだったでしょうか?
 
中山雅史(以下、中山) それはもう、「悔しい」のひと言につきます。ただ、これだけ大勢のサポーター、ファンが集まってくれた。その中で自分たちの戦いを見せようということで、選手たちは戦ってくれたと思います。ただそうした中で、ちょっとしたマークのズレであったり、対応が少し遅れたことによって失点をしましたから、それをどう修正していくのか、さらに修正したうえでどう攻撃につなげていくのか、ということを考えていかなければいけない。そんなことを感じ取った試合だったのではないかと思います。それを次に活かせればいいなとは思っています。
 
──試合前、サポーターのみなさんに挨拶もされていました。その時に「中山さん!」という声も飛んでいましたが、どんなお気持ちでしたか?
 
中山 みなさんがね、いろんな部分で注目してくれて、期待もしてくれているんだろうとも思うんですけど、その期待にどれだけ応えられるのかはわかりませんし、今日も練習に参加させてもらいましたけど、まだまだ自分の未熟さというか、力の足りない部分を思い知らされているこの頃ですから、今はとにかく自分を少しでも高めていければいいなと思います。
 
こういう中(アスルクラロ)で練習をすることで、僕自身、すごく刺激を受けていますし。ただ、僕が受けるだけでなく、チームに何らかの刺激を与えたいなという気持ちも強いですから、そういう役割もできればいいなと。そのためにはやはり動きであったり、プレーの質であったりの色んな部分の改善が必要なのかもしれませんし、またその挑戦が僕を成長させてくれるんじゃないかなと感じています。
 
──試合前に、サポーターの方々から声をもらったんですが、やっぱり「ゴンゴールが見たい」「ゴンさんのプレーが見たい」など、本当に何人もの方が「ゴンさん、ゴンさん」と言っていましたが、そのように期待が高まっていることに関しては、いかがでしょうか? 周りはヒートアップしちゃっていますけども。
 
中山 本当にありがたいことですし、僕の力になることは間違いないんですけど、まずはピッチに立たないとその期待にも応えられないというのもありますので、そこを目標に頑張っていきたいと思います。ただ、そこにもやはり競争があります。チームの中で(自分が)どういう役割なのか、その中で僕をどう起用してくれるのかはわかりません。ただ、起用にしてもベンチに入るにしても、まずはそこに競争があって然るべきだと思います。それに自分の特徴を活かして勝ち取っていくものだとも思っています。いずれにせよ、甘いものではないなというのは、今日も練習をやっていてつくづく思いました。そこを自分で乗り越えられるように、頑張っていければいいなと。
 
──コンディションのほうはいかがですか? 膝も含めて。 
 
中山 コンディションは、そうですね、皆さんが今日の練習の質を見ていただいて、その中で「ダメだな」と思ったのならそれが僕ですし、また「いいじゃん」と思うところが少しでもあったら、その少しのところを大きく取り扱ってくれたら嬉しいですけどね(笑)。
 
──これだけサポーターの期待が高まっている中で、どういうプレーを見せていきたいと、今、お考えでしょうか?
 
中山 贅沢は言えませんし、僕自身が今やれることを精いっぱいやれればいいと思います。とにかくボールに反応する、ボールを引出す、ボールをキープするというのは、Jリーグでやっているときから感じていたことを、またこの場(アスルクラロ)でも体現できるようにしていければいいなと思います。ただ、Jリーグでやっているときにも、それが難しくてしょうがなかったわけで。少しでも自分のプレーを改善していければいいなと思います。
 
──目処はご自身の中でつけてはいますでしょうか?
 
中山 目処は立てていません。立てていないと言いますか、今日はまだ軽い練習メニューでしたけど、やはりここに来て練習させてもらって、リバウンドというのもかなりありますから、それをまたリセットするという作業がある。そこからまたこちら(沼津)に来てという形になっているので、目処がどうなのかというのは、わからないですね。僕はとにかくやれることを精いっぱいやっていくだけだなとは思っています。
 
──練習の最後に若い選手にアドバイスをしていましたが、どんなことを話したのでしょうか?
 
中山 ゴール前の動きだったり、ステップだったりですね。通り一遍のステップだけでは、実際のゲームの中で使えるものと使えないものがあるということです。練習のための練習でもいけないですし、あくまでも試合の中でどういう動きでどういう考えをもって相手の裏を取るのか、あるいはゴールに結びつけるのかということを、多少自分の経験から言えればいいなと思って話をしました。僕自身が練習してきたことを、少しでもいいから取り入れるというのも一つの手だよということを促しました。彼らがやっていることが悪いことだとは思いませんし、そういうケースもあるでしょう。その中で、一つだけのケースではなく、色んなケースがあるから、それに対応する力をつけておくというのは、大事じゃないかなと思いますけども。
 
──チーム(アスルクラロ)はJ3を目指していますけども。ゴンさん自身のJリーグ復帰への思いというものはいかがでしょうか?
 
中山 どうでしょうか。僕自身はまだそこよりも、自分の体がよりフィットするように、より動くようにということを考えてやっています。けどチームの一員である以上、チームの勝利を祈りますし、上(のカテゴリーに)に行く躍進も祈っていますから、その中で僕自身がやれることをやっていければと思っています。
 

DATA

試合結果

セカンド・ステージ第10節(会場:愛鷹広域公園多目的競技場)
アスルクラロ沼津(1-2)ソニー仙台FC
メンバー)
GK 30.石田良輔 DF 18.尾崎瑛一郎(Cap.) 23.藤原拓也 3.西村竜馬 5.馬場将大 MF 29.河津良一 7.鈴木将也 10.蔵田岬平 26.道上隼人(→14.新裕太朗[後半38分])FW 32.平岡将豪(→28.鈴木淳[後半30分]) 8.岡庭和輝(→13.松尾篤[後半18分])
 
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