静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

連勝が証明する"勝負強さ" vs FCマルヤス岡崎

-JFLセカンド・ステージ第12節(2015.10.25)-

勝ち点差8で鹿児島ユナイテッドFCを追うアスルクラロ沼津は、雄大な富士山のふもとにある富士総合運動公園にFCマルヤス岡崎を迎えた。「J」を目指すアスルクラロにとって勝たなければならない試合であることは間違いないが、FCマルヤス岡崎にとっても降格を免れるために負けられない試合でもある。お互いに勝ち点3がほしい試合であるだけに、好ゲームが期待される。

蔵田の2戦連続ゴール、新の初ゴール

最初のビッグチャンスは、JFL残留に向けて是が非でも勝ち点3がほしいFCマルヤス岡崎だった。前半3分。ゴール前に放り込まれたハイボールを地主園秀美が競ると、ボールはフリーの平野雄也に。
 
しかし、「決定力の差があった」とFCマルヤス岡崎の山村泰弘監督も話した通り、この決定機は決め切ることができなかった。
 
すると前半8分。左コーナーキックの流れから、ゴール前30メートルという絶好の位置でアスルクラロにフリーキックが与えられた。
 
蔵田岬平が「普段練習しているオプションの一つ」と話す、尾崎瑛一郎とのトリックプレーからゴールを狙うと、これが見事FCマルヤス岡崎のゴールに突き刺さる。尾崎が少しボールを横にずらしたところを蔵田が左足インステップで蹴った強力なシュートに、相手ゴールキーパーの木下裕貴は為す術がなかった。
 
蔵田の2戦連続となるゴールでアスルクラロが先制すると、FCマルヤス岡崎もすぐに反撃に出る。
 
前半13分には、中盤で巧みに試合をコントロールしていた佐野裕哉が自陣でボールを受け、素早い反転から前線に空いたスペースへロングパスを送ると、スピードのあるレオジーニョが反応する。しかし、これはアスルクラロの守備陣が冷静にブロック。18分、19分にもFCマルヤス岡崎はシュートチャンスを掴むも、アスルクラロのゴールキーパー大畑拓也とセンターバック西村竜馬が体を張ってシャットアウト。
 
すると前半21分。もう一人のセンターバック藤原拓也から、右サイドにできた大きなスペースに走り出した尾崎にボールが渡ると、ニアサイドに走り込んだ新裕太朗に合わせたクロスボールがあがる。
 
これを冷静にゴールへ流し込んだ新裕太朗が、嬉しい今季初ゴールをあげた。
 
「ゴールキーパーが出てきたのが見えたので、ダイレクトで狙いました。パスが良かったので触るだけという感じでした」と新は嬉しそうに語る。しかし、嬉しさを表しながらも厳しい表情を決して崩さなかった。
 
「チャンスを与えてもらっていながらここまで得点が奪えなかった。ようやくゴールが取れて素直に嬉しいです。でも、やはりチームが勝つことが一番重要。だから残り試合も、得点を取りたいという気持ちはあるけれど、まずはチームの勝利に貢献できるプレーを心がけて頑張りたいと思います」
 
2-0とアスルクラロリードで迎えた前半ロスタイム、FCマルヤス岡崎も意地を見せる。右サイドの高い位置を取っていた杉山博規が個人技で突破し、角度のないところからのシュートを見事に決めて1点差にしたところで、前半終了のホイッスル。
 

藤原の追加点で見事勝ち点3を獲得

藤原の追加点で見事勝ち点3を獲得
 
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後半開始早々は、前半終了間際に1点差へと詰め寄ったFCマルヤス岡崎のペースになりかけるも、すぐにアスルクラロはフリーキックのチャンスを活かし、追加点をあげる。
 
後半8分。40メートル以上ゴールから離れた尾崎のフリーキックを、ヘディングの強い西村が頭で折り返すと、ボールは藤原の下へ。これをコントロールした藤原は、利き足ではない右足でシュートを放ちゴール!
 
「ロング(遠目からの)フリーキックも、積極的にゴールを奪いに行くのは、とにかくゴールを奪うんだという積極性を示すためでもあります」と吉田監督。昨季J1へ昇格を果たした松本山雅FCのようなセットプレーからの得点で、3-1とリードを広げた。
 
さらに、後半19分には尾崎のダイレクトボレーシュートが、41分にも直接フリーキックがゴールバーにあたるという惜しいチャンスがあった。対するFCマルヤス岡崎も、29分に、レオジーニョがドリブル突破からシュートを放つと、ゴールポストに当たる。両チームとも、勝たなければならない試合で、素晴らしいプレーが何度も見られた。
 
残り時間5分になって、FCマルヤス岡崎は3バックにシステム変更、フォワードを3枚にして攻撃的に出るも、得点は奪えず。3-1で、見事アスルクラロが勝利をあげた。勝たなければいけない試合で、連勝を重ねるというのは、チームに勝負強さがついてきた証拠ではないだろうか。
 
また、この日、別会場で開催されていた年間順位4位の鹿児島ユナイテッドFCが、SP京都FCに負けたため、アスルクラロとの勝ち点差は8から5に縮まり昇格の可能性が高まった。
 

PICK UP

アマチュアフットボール界最高峰“JFL”の醍醐味

今節は、あらためてJFLの魅力を感じたような一戦だった。「J」を目指しているアスルクラロにとって、ここは通過点なのかもしれない。しかし、JFLもまた素晴らしいリーグであり、様々な人間ドラマがある。
 
アスルクラロの吉田監督も記者会見で、「JFLは、あらゆるアマチュアスポーツへの勇気や可能性を示しています。諦めないという気持ちをもった選手たちがいて、それはスポーツに励む若者にとってとても意味のあることです」と話した通り、このJFLで汗を流す選手たちの姿に心を動かされる人は少なくない。
 
今節では、FCマルヤス岡崎に静岡のサッカーファンなら胸が高鳴る佐野裕哉がいた。前述の前半13分に見せたような、パスの精度や視野の広さは「さすが」のひと言だった。前節で言えば、横河武蔵野FCの監督に元清水エスパルスの吉田康弘もいた。こちらも静岡のサッカーファンならお馴染みの名前だろう。
 
そしてアスルクラロには中山雅史もいる。チーム関係者によれば、解説の仕事など多忙を極める中、試合に出るために日々汗を流しているという。
 
もちろんその他にもたくさんのドラマを持った選手がいる。彼らがなぜJFLという舞台にいるのかということに思いを馳せると、胸が熱くなってくる。それは、ときに「J」以上に見ている者の胸を打つ。
 
「豪華なスタジアムといったことでは、僕らはJ以上に観客を魅了することはできません。でも、最後まで諦めない泥臭いプレーという面では、Jと同じかそれ以上に影響を与えることができると思っています。それは、開幕戦のときも話した通り、この地で働きながらプレーしているというのも重要なこと」と吉田監督も胸を張って語る。
 
今季、アスルクラロのホームゲームは残り一試合となった。セカンド・ステージ第15節は、11月15日(日)13時に富士総合運動公園で開催される。
 
「J昇格」のためにも、ぜひ会場へ駆けつけて、選手たちに大きな声援を送ってほしい。しかしそれだけではない。「J」では味わえないJFLという魅力的なリーグを見る大きなチャンスでもあるから、ぜひ見に来てほしい。
 

DATA

試合結果

セカンド・ステージ第12節(会場:富士総合運動公園陸上競技場)
アスルクラロ沼津(3-1)FCマルヤス岡崎
メンバー)
GK 21.大畑拓也 DF 18.尾崎瑛一郎(Cap.) 23.藤原拓也 3.西村竜馬 5.馬場将大 MF 29.河津良一 7.鈴木将也 10.蔵田岬平(→22.望月理人[後半39分]) 26.道上隼人(→6.石川喬穂[後半33分])FW 32.平岡将豪 14.新裕太朗(→28.鈴木淳[後半17分])
 
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