静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

待望のゴールラッシュで 開幕3連勝! vs 流経大ドラゴンズ龍ケ崎

-JFLファースト・ステージ第3節(2016.03.20)-

第1節の勝利に続き、第2節はアウェイ・岡山に乗り込み、蔵田岬平のゴールでファジアーノ岡山ネクストから辛うじて勝ち点3を手にしたアスルクラロ沼津。今節は、開幕3連勝を目指して、流経大ドラゴンズ龍ケ崎を富士市総合運動公園に迎える。アスルクラロは、怪我から復帰した尾崎瑛一郎が戦列に復帰し、キャプテンマークを巻いてチームを引っ張る。

主導権を握るも1−1のまま前半を折り返す

前半から試合の主導権を握ったのは、アスルクラロだった。
 
流経大ドラゴンズは、昨年のJFL覇者であるソニー仙台を破ったばかりだ。“スキ”を見せれば、苦戦が強いられることが予想される。そこでアスルクラロの吉田謙監督は、選手たちに対し発破をかけた。
「学生だと思って絶対になめてかかるな、相手をリスペクトして全力で戦え」。吉田監督から“ゲキ”を入れられたチームは、キックオフと同時に激しいコンタクトを見せ、前半の最初の10分は、ほとんど自陣にボールがくることがないほどだった。
 
その勢いそのままに、前半14分に得点が生まれる。何度となく前線で起点となっていたフォワード青木翔大からパスを受けた左サイドバックの田中舜が、長いセンタリングをあげる。
すると、怪我のため大事を取ってベンチを温めることになった蔵田に代わって先発出場した鈴木淳がタイミングよく飛び込み、ヘディングシュート。このシュートが相手ゴールキーパーの頭上を越す技ありシュートとなって、ゴールイン。幸先良くアスルクラロに先制点が生まれた。
 
その後も、試合を有利に進めるアスルクラロだったが、一瞬の“スキ”をついた流経大ドラゴンズの李相赫が、前半29分にヘディングシュートでアスルクラロのゴールをこじ開ける。
 
「ボールの近くの選手の人数、ポジショニングが少しずれていた」と吉田監督が振り返るように、ほんの少しのズレでできたスペースによって、相手にシュートを許してしまった。前半の被シュート数は2本だったが、そのうちの1本が失点につながった。
 
結局、アスルクラロが試合を優位に進めながらも、1-1のまま前半を折り返す。
 

今季加入の3選手が揃って初ゴール!

後半に入っても相手陣内に押し込んでいたのは、アスルクラロのほうだった。前線で体を張ってボールをキープする青木と、そのこぼれ球を素早い反応でカバーするもう一人のフォワード薗田卓馬によって、アスルクラロの中盤の選手たちが前を向いた良い状態でボールを動かせたのが、その大きな要因だろう。
 
しかし、追加点を奪ったのは、またも一瞬のスキをついた流経大ドラゴンズだった。アスルクラロの田中舜のクリアが相手に拾われてしまい、右サイドでフリーとなった流経大ドラゴンズの池田紘大へ。池田が迷わずセンタリングを上げると、このボールがそのままゴールへと吸い込まれていき、流経大ドラゴンズが逆転に成功した。
 
しかし、ここからがアスルクラロの本領発揮だった。
 
失点から6分後の後半17分。「今日は大学の卒業式だったんですが、良い日になりました」と試合後に語った薗田が、ボランチの鈴木将也からボールを受け、右足を振りぬく。すると、相手ゴールキーパーの股間をすり抜けゴールイン。この試合6本ものシュートを放ち、90分間にわたって走り続けた薗田のJFL初ゴールで、2-2の同点に持ち込む。
 
さらに、今季FC大阪から移籍してきたものの、怪我のため開幕に間に合わなかった点取り屋の中村亮太が、この試合で青木に代わって初めてピッチに立つ。後半26分、左サイドでボールをキープした沓掛勇太からセンタリングが上がると、中村はこのボールを相手ディフェンダー2人に囲まれながらも、無理やりヘディングシュートにもっていく。この意外なタイミングでのシュートが、ゴール左サイドに突き刺さり、アスルクラロは再逆転に成功する。
 
「やっぱりJを目指したいですし、吉田さんから熱烈なオファーもあったので、アスルクラロに来ることを決意しました。年齢的にも(25歳と)最後のチャンスだと覚悟をもっています」と話す中村の、今季初出場にして初ゴール。本人にとってもチームにとっても、大きな1点だといえる。
 
さらに、こちらも今季ヴァンラーレ八戸から加入した中筋誠もゴールを奪う。残りはロスタイムのみという後半45分に、相手ゴールキーパーのクリアボールを、無理やり左足でねじ込んだ中筋のダメ押し弾で、アスルクラロがリードを2点に広げた。これで勝負あり。4-2という結果で、アスルクラロが開幕から3連勝をあげた。
 

 

PICK UP

今季フォワード陣の強み

守備に重きを置く吉田監督が率いるアスルクラロにとっての課題は、得点力の改善だった。そこで今季期待されているのが、新加入の青木翔大、薗田卓馬、中村亮太、中筋誠の4選手だ。
 
特に、開幕から先発出場を続ける青木の前線でのキープ力は、昨季までのアスルクラロとの大きな違いだといえる。しかし、その青木は2年も公式戦のゴールから遠ざかっている。
 
「今季のアスルクラロは、フォワードに実力のある選手が揃っている。今日も自分以外の選手がみんな得点を取った。気を引き締めていかないといけない」と本人も語ったように、青木が絶対の存在であるわけではない。それでも、彼の持つキープ力や、ドリブル、ヘディング、前線からの守備の貢献といったユーティリティ性はアスルクラロにとって、大きな武器であることは間違いない。だからこそ、なるべく早く青木にゴールが生まれることが、チームの今後の明暗を分けるのではないか。彼自身、「シュートがあまり得意ではない」と語っていたが、一試合でも早く、彼のゴールを見たいところだ。
 
薗田は、その豊富な運動量とボールタッチの柔らかさを持ち、178センチと身長こそ平均的だが、ヘディングにも長けている。「ようやく決めることができました」と試合後にサポーターに語った彼の言葉に現れているように、常にゴールの臭いを感じさせる選手だ。
 
「今日、途中出場した選手たちの一番の持ち味はゴールです。たとえば、小気味よいステップで相手を交わすとか、そういうプレーヤーではありません」と吉田監督も語っていたように、ゴールへの執念を持ち、ゴールへの嗅覚に長けているのが、中村と中筋だ。こういった選手たちは、チームが劣勢に立たされているときに、チームを救う“一発”を持っている。
 
中村は、スピードと力強さを持ち、「猪突猛進」という言葉が似合うフォワードだ。先発でも途中出場でも結果を出せる選手だといえる。
 
経験豊富な中筋が持つ武器は、勝負強さだ。先発出場もできるとは思うが、今節のように途中出場で、セットプレーやカウンターなどのワンチャンスをものにすることを期待したい。
 
このように今季のアスルクラロの攻撃陣はワクワク感を抱かせてくれる選手が揃っている。それぞれ特徴がある選手なので、サポーターとしても見ていて面白いはずだ。「今日の相手なら◯◯が先発かな」と試合前に予想してみたりするのも、見ている側の楽しみの一つとなるだろう。
 
もちろん、地元出身の真野直樹、チームの士気を高める元気印の鈴木淳、日本サッカー界のレジェンドといえる中山雅史にも期待したい。
 

DATA

試合結果

ファースト・ステージ第3節(会場:富士市総合運動公園陸上競技場)
アスルクラロ沼津(4-2)流経大ドラゴンズ龍ヶ崎
メンバー)
GK 21.大畑拓也 DF 4.田中舜(→5.馬場将大[後半36分]) 3.藤原拓也  17.太田一輝 28.谷奥健四郎 18.尾崎瑛一郎(Cap.) MF 13.鈴木淳(→20.中筋誠[後半28分]) 7.鈴木将也 24.沓掛勇太 10.青木翔大(→9.中村亮太[後半21分]) 19.薗田卓馬
 
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