静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

3得点、ゼロ封の完勝! 熊本出身・蔵田のゴールも vs 奈良クラブ

─JFLファースト・ステージ第7節(2016.04.16)─

この2試合勝ちがないアスルクラロ沼津にとって、なんとしても勝利がほしい第7節。その相手は、アスルクラロと同じく「Jリーグ百年構想クラブ」の奈良クラブ。開幕からいまだ勝ち星に恵まれない奈良クラブだが、だからこそ必死になって勝利を目指してくることが予想される。まさに、アスルクラロが苦杯をなめさせられた東京武蔵野シティFCとの前節と同じ状況だ。前節の反省を活かし、勝ち点3を手にすることが出来るか……。

前節の反省を活かし、序盤から相手を圧倒する

試合の立ち上がりで失点してしまった前節・前々節とは打って変わって、試合開始早々から相手コートに攻め入ったのは、アスルクラロだった。
 
「今週のトレーニングで意識したのが、攻守ともに陣形をコンパクトに保つということ。もう1つは、セカンドボールをもぎ取ること。その2点を重点的に練習したのですが、選手たちは期待通りの動きをしてくれました」アスルクラロの吉田謙監督が試合後にこう語ったように、ボールの近くに人数を割くことで、セカンドボールを効果的に拾い、そこから素早くチャンスにつなげる。
 
すると、前半2分にフリーキックのチャンスを獲得する。この左サイドからの直接フリーキックで、尾崎瑛一郎がゴールを狙うと、ワンバウンドしたボールがゴールへと吸い込まれていく。しかし、ぎりぎりのところで、奈良クラブのゴールキーパー渕上隼人が右手を伸ばしてボールを弾き出しノーゴール。
 
「あの時間は押し込まれていたし、そういう押し込まれる状況をつくられたうえで、しっかりクロスを入れられてボールに絡まれて、やられてしまった」と奈良クラブの中村敦監督も話したように、その後も、第1節以来の出場となった白石智之や第2節以来の先発出場を果たした蔵田岬平が、両サイドで起点を作りながら、奈良クラブを追い込んでいくと、前半29分に試合の均衡が破れる。
 
ボールキープで溜めをつくった蔵田から、フォワードの青木翔大にパスがつながり、さらに右サイドを駆け上がった尾崎にボールがわたる。これを白石が頭で合わせる。このシュートは奈良クラブのディフェンダー三浦修がブロックをするも、こぼれ球に反応した薗田卓馬がヘディングシュートでゴールネットを揺らし、アスルクラロがリードを奪う。
 
さらにその数分後の前半32分にも、尾崎、白石、蔵田とつなぎ、最後はボランチの鈴木将也がセンタリングに飛び込むも、このヘディングシュートは惜しくもゴールの枠を外れていった。
 
前半のシュート数はアスルクラロ9本、奈良クラブは1本と、ほとんどの時間をアスルクラロのペースで戦うことができた。
 
試合後に、青木も「攻守の切り替えのスイッチ役として守備を求められているので、妥協せずにしっかりやっていきたいと思っています」と話していたが、ボールサイドに人数をかけることで、素早い攻守の切り替えが可能となっているのだ。それが相手を圧倒できた理由の一つであることは間違いない。
 

蔵田と青木のゴールでリードを広げる

ハーフタイム、後半8分、16分と立て続けに交代策に出た奈良クラブ。それもあって、徐々にボールを持つ時間が増える。それでも、「ボールを持つ時間は長くはなったけど、ボールを持ちながら最後バイタルのところに攻め込むという勇気を持っていなかった」と中村監督が語ったように、なかなかアスルクラロのゴールを脅かすところまではいけなかった。
 
逆に追加点を奪ったのは、アスルクラロのほうだった。後半14分に、オーバーラップをした左サイドバックの馬場将大から横パスを受けた蔵田が、得意の左足でゴールのニアサイドに強烈なシュートを蹴り込むと、後半23分には、カウンターで攻め上がった鈴木淳からのクロスを、青木が冷静にワントラップしてゴールへとボールを流し込む。この2つのチャンスをものにしたアスルクラロが、3-0と奈良クラブを突き放す。
 
守っても、2試合連続先発出場となったゴールキーパー石田、初めてセンターバックでコンビを組んだ藤原拓也と田中舜が堅実なプレーで第2節以来の失点をゼロにおさえる試合となった。
 
2年ぶりの公式戦のゴールをあげた青木も、嬉しそうに「チームが得点を取ること、勝つことが一番なのですが、それでも、結果として自分が得点を奪うことができたというのは、本当に良かったです」と語った一方で、「最後はバテてしまいました」とも話した。それもそのはずで、90分間のフル出場でありながら、最後の最後まで前線での守備を怠らなかったからだ。
 
チーム全体が最後まで集中力を切らさなかったからこそ、前節と同じ轍を踏まずに、完封勝利をもぎ取ることができたのだ。
 

PICK UP

「誰かのために」がチームを強くする

「誰かのために」という気持ちは、チームに活力を与える。今節でも、印象的なシーンがあった。それは青木のゴールだ。2013年シーズン以来、ゴールから遠ざかっていた青木。
 
「チームのシュート練習のあとに、残って自分でもシュートの練習をずっとやっている。その姿はまわりのチームメートも見ているはずです」と吉田監督。だからこそ、青木がゴールをあげた瞬間、チーム全体に笑顔が広がった。もっと言えば、ラストパスを送った鈴木淳も自分でシュートを打つこともできたシーンだった。それでもパスを出したのは、普段から青木のゴールへの執念を見ているからに違いない。
 
さらに、「誰かのため」という意味では、震災に見舞われている熊本出身の蔵田にも言える。
 
「僕の両親も被災してずっと避難している。家に入れる状態ではないと聞いている。こうやって僕が試合に出て、得点を取ることができれば、その情報が熊本にいる両親にも伝わると思うので、そういうことで少しでも喜んでもらえたらなと思っています。勝つのはもちろんなのですが、熊本のためにも家族のためにも、全力で戦おうという意識を持って試合に臨みました」
 
試合後に、まっすぐに前を見る蔵田はそう語った。気持ちのどこかではサッカーをしている場合ではないという思いもあるに違いないが、でも、自分にできることは、全力でサッカーすることだけ……。それでも、試合後には鈴木淳と肩を並べて、義捐金を募っていた姿は印象的だった。
 
熱い気持ちを持った彼らなら、きっと良い結果を出してくれるはずだ。現在の順位は3位。まだまだ強豪との戦いはこれからだが、きっと勝ち続けてくれるに違いない。
 
次節ホームゲームは、4月29日(祝)13時キックオフ、場所は今節と同じ裾野市運動公園陸上競技場だ。実はこの裾野のグラウンドは、アスルクラロにとって、非常に相性の良い場所。今節も含め、この3年間で一度も勝利を逃したことがないのだ。きっと勝利をもぎ取ってくれるはずなので、ゴールデンウィークはアスルクラロの応援でスタートしよう。
 

DATA

試合結果

ファースト・ステージ第7節(会場:裾野市運動公園陸上競技場)
アスルクラロ沼津(3-0)奈良クラブ
メンバー)
GK 30.石田良輔 DF 5.馬場将大 4.田中舜 3.藤原拓也 18.尾崎瑛一郎(Cap.) MF 7.鈴木将也 24.沓掛勇太 32.蔵田岬平(→13.鈴木淳[後半21分]) 23.白石智之(→9.中村亮太[後半29分]) FW19.薗田卓馬(→20.中筋誠[後半35分])10.青木翔大
 
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