静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

スルガ銀行マッチは勝利!J昇格は2ndステージで掴む vs ラインメール青森

─JFLファースト・ステージ第14節(2016.05.29)─

ファースト・ステージ、アスルクラロ沼津にとってホーム最終戦の相手はラインメール青森。そして6月5日に行われた最終戦の相手は、アスルクラロと同じ静岡県のライバルチームHonda FC。ファースト・ステージの優勝こそ消えたが、いずれも年間通算順位で上位に入るために、そしてセカンド・ステージへ勢いをつけるためにも、全力で勝ちを狙いにいきたい試合だ。

1-0で勝利! MVPは中村亮太

今季JFLに参入したラインメール青森に対し、アスルクラロはキックオフと同時に容赦なく攻め立てる。その様相は、アスルクラロがJFLに参入した一昨年を思い起こさせる。あの頃は逆だった。JFL1年生であるアスルクラロは、ソニー仙台FCやHonda FCの圧力に押され気味だった。
 
ラインメール青森の葛野昌宏監督も、「アスルクラロのような力のあるチームに対してどう戦うかが課題」と話したように、3年目のシーズンを戦うアスルクラロは、いまや相手に圧をかける立場となった。
 
追う立場から追われる立場へ。それは勝利が「目指す」ものから、「手に入れるべき」ものへ変化したこととも言える。そういう中で戦うというのは、また異質な難しさや課題が出てくる。たとえば、相手がディフェンスラインを下げて守りを固めてきたときや、“パワープレー”と呼ばれるロングボールを駆使した攻撃ばかりを仕掛けてきたときに、どう攻めどう守るかということ。
 
そういう相手に対しての有効策は、先手を取ることだ。フリーキックやコーナーキック、相手のミスなど、どんな形でもいいから早い時間に先制点を奪う。あるいは、「これは敵わない」と思わせるほどのプレッシャーをかける。
 
まさに今節、アスルクラロがラインメール青森に対して行なったことだ。前半6分には、薗田卓馬のボールキープから中村亮太がシュートを放ち、16分には青木翔大が左サイドで相手ディフェンスを振り切りセンタリング、逆サイドから飛び込んだ中村が右足で合わせた。惜しくもゴールを割ることはできなかったが、相手にアスルクラロの攻撃力をまざまざと見せつけた形となった。
 
守備面でも、ラインメール青森のトップスコアラーである中村太一がドリブル突破を仕掛けてきた11分には、谷奥健四郎がスライディングタックルでしっかりと対応して見せた。
 
そんな中、前半ロスタイム。尾崎瑛一郎の蹴った右コーナーキックから沓掛勇太がヘディングで合わせる。このシュートは左ゴールポストに弾かれるも、そのこぼれ球に薗田が反応し、最後は中村が押し込んでゴール!
 
後半に入っても、得点こそできなかったが、攻撃の手を緩めなかったアスルクラロ。後半の被シュート数も2本に抑えるなど、終始、相手を圧倒しての勝利。吉田謙監督は、「攻守の切り替えがうまくできた。これが(アスルクラロ)沼津だ、という戦いを見せてくれたし、これからも見せていきたい」と語っていたが、まさにその通りの試合展開となった。
 
今節は、スルガ銀行マッチでもあった。試合後に発表されたMVPは、得点を奪った中村亮太。「みなさんの大きな応援のおかげで得点が取れました」と嬉しそうに話した。
 

ファースト・ステージ総括

ファースト・ステージ最終戦の相手は、いまだ勝ち星をあげたことがないHonda FC。「苦手意識はない。ただ全力で勝ちにいくだけ」と吉田監督は話していたが、この試合でも先制点を奪ったのはHonda FCのほうだった。
 
前半10分、左サイドをドリブルで仕掛けてきた曽根友祐を、尾崎がスライディングタックルで止める。しかし、これがファウルの判定でPKがHonda FCに与えられる。このPKを大町将梧が冷静にゴール正面へと蹴りこみ、アスルクラロのゴールネットを揺らした。対して、アスルクラロは、前後半ともにシュート数でHonda FCを上回ったものの、ゴールを奪うことはできなかった。伊賀貴一など主力メンバーが抜け、昨シーズン見せていた圧倒的な攻撃力が影を潜めるなか、PKでの得点を守り続けたHonda FCが静岡勢同士の戦いを制した。
 
アスルクラロの3年目のJFL、ファースト・ステージは9勝4敗2分の勝点29。順位は、過去最高の3位だが、勝点数だけで見ると、昨シーズンのファースト・ステージ6位(勝点28)であった時とほぼ同数。しかし、得点数、失点数ともに、過去最高の数字でもある。言い換えれば、圧倒的なチームがいない中で勝てる試合をいかにきちっと勝ち切るかが、重要であるだろう。
 
15試合、すべてを観戦したわけではないので一概には言えないが、現場で見ている範囲では2点を先制したソニー仙台FC戦、残り10分を切るまでリードしていたMIOびわこ滋賀戦、さらにロスタイムで失点し、負けてしまったヴェルスパ大分戦を引き分けで終えていれば、ファースト・ステージを制した流経大ドラゴンズ龍ケ崎と同じ勝点35だった。もちろんタラレバを話してもあまり意味はないが、それでもやはりタラレバを話したくなるほど惜しいシーズンだった。
 

PICK UP

セカンド・ステージでチームに求められること

セカンド・ステージで狙うは、もちろん優勝だ。
 
吉田監督は、「泥臭く勝利を目指すというウチらしいサッカーを全力でするだけだ」と語ったが、その目線の先にはセカンド・ステージ制覇、そしてJ昇格が映っているに違いない。
 
J昇格に向けては、JFLの雄ともいえるソニー仙台FCや同じ静岡のライバルHonda FCを破ってこそ近づいてくるものなのかもしれない。この2チームからは過去に一度も勝利をあげたことがない一方で、現在JFLに所属している他の全てのチームにアスルクラロは勝利した事があるからだ。
 
今まで勝利したことのないチームに勝つことは、チームの成長の証しとして精神的にもとても重要なことだろう。
Honda FCとの試合は9月10日(土)の第8節、ソニー仙台FCとの試合は10月22日(土)の第12節。この2試合は大いに注目したい。
 
さらに入場者数も意識しなければいけない。ホームゲーム15試合で、3万人を動員することが求められるが、セカンド・ステージよりもホームゲームが1試合多いファースト・ステージでは、12,472人だった。残り7試合で17,528人、1試合平均で2,504人が必要だという計算になる。
 
ただし、セカンド・ステージでは、J昇格を掛けた重要な試合や改修工事で使用できなかった沼津・愛鷹広域公園多目的競技場での試合がある。これらをプラス材料にして、年間入場者数3万人をクリアしたいところだ。
 
もちろんそれには「J昇格」に、目に見える形で近づいていくことが重要だ。たとえば昨シーズンJ3に昇格した鹿児島ユナイテッドFCは、セカンド・ステージ・ホームラスト3試合で14,423人を集めた。J昇格が見えてくることで、サポーターの数が増えていくことを証左しているといえる。
 
勝負のセカンド・ステージ。勝ちが求められるセカンド・ステージ。そんなプレッシャーの中で、戦う選手たち。そこでは、やはり彼らを後押しする大きな声援が必要だ。ファースト・ステージを大きく上回る歓声を、スタジアム中に響き渡らせたい。
 

DATA

試合結果

ファースト・ステージ第14節(会場:富士総合運動公園陸上球技場)
アスルクラロ沼津(1-0)ラインメール青森
メンバー)
GK 21.大畑拓也 DF 5.馬場将大 28.谷奥健四郎 3.藤原拓也 18.尾崎瑛一郎(Cap.) MF 7.鈴木将也 24.沓掛勇太 17.太田一輝(→2.石川喬穂[後半ロスタイム]) 9.中村亮太(→13.鈴木淳[後半30分])FW 19.薗田卓馬(→14.道上隼人[後半43分])10.青木翔大
 

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