静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

4発0封の快勝で 年間順位2位に浮上! vs 栃木ウーヴァFC

─JFLセカンド・ステージ第6節(2016.07.24)─

セカンド・ステージの序盤を終えて2勝3分──ステージ優勝、そしてJ昇格を狙うアスルクラロ沼津にとっては、これは決して満足のいく結果ではない。だからこそ、1ヵ月以上の長い中断期間に入るまでの残り2試合は、絶対に勝利を手中に収め、中断明けの9月10日に改修工事を終えた“愛鷹”で開催されるHonda FCとの静岡ダービーに弾みをつけたい。なお、今節ホームに迎える相手はアスルクラロと同じJリーグ百年構想クラブである栃木ウーヴァFCだ。

徳武の今季初ゴールで先制!

「前半にあと3点は取れた」
 
そう語ったのは、アスルクラロの吉田謙監督。「我々がずっと意識し続けている攻守の切り替え、球際、走力という3つの部分については、選手たちはよくやってくれたと評価したいと思います」という前置きがあったうえで、吉田監督は「あと3点」という苦言を呈した。
 
なぜその3点が取れなかったのか。それは「思い切りの良さ」にポイントがあったのではないだろうか。
 
前半3分、アスルクラロは早々に先制ゴールをあげる。フォワードの薗田卓馬が倒されて獲得した直接フリーキックで、尾崎瑛一郎が相手の隙を突くクイックスタートを仕掛ける。その縦パスを受けた薗田は、ためらうことなくダイレクトボレーシュートでゴールを狙った。これはジャストミートせず、相手ゴールキーパーに弾かれてしまったが、そのクリアボールにいち早く反応した徳武正之が左足を振り抜いた。このシュートが相手ゴールに突き刺さり、幸先良くアスルクラロは先制した。
 
この得点シーンでは、3つの「思い切りの良さ」が見られた。相手守備陣の隙を見抜いた尾崎が、機転を利かせて躊躇せずにクイックスタートを仕掛けたこと、そのパスを薗田がトラップすることなくダイレクトで狙いにいったこと、クリアボールに反応した徳武がインステップで思い切り振り抜いたことの3つだ。こうした思い切りの良さは、J昇格を狙うアスルクラロだからこそ必要になるときがくる。なぜなら「これを決めると昇格が近づく」という決定的な場面が、今後いくどとなく訪れることが予想できるからだ。
 
そして、この思い切りの良さを言い換えるならば、「この得点を決めたら人生が変わるかもしれない」という“覚悟”でもある。吉田監督も次のように話す。
 
「もしこのシュートを外したら、もしくはゴールを決めたら人生が変わる、という気持ちでプレーすることは簡単ではない。だからシュートを外しても笑っていられる。これを決めたらどうなるか、というところを胸に抱きながら1つ1つのプレーができるか。そういう意味で選手たちには決定的な仕事をしてほしいと思っています」
 
前半15分には、沓掛勇太、太田一輝とつなぎ、最後は尾崎からのセンタリングがドンピシャで青木翔大の頭に合うも、ゴール左に大きく外れてしまった。さらに37分には太田の縦パスを薗田がつなぎ、最後は白石智之が相手ディフェンダーの裏に飛び出し、ゴールキーパーとの一対一の場面を作ったが、白石はシュートを打つことができなかった。
 
“たられば”を言っても仕方ないことはわかるが、いずれもあと少しの「思い切りの良さ」があれば、得点の可能性はより高かったのではないか。だからこそ、吉田監督が話した“覚悟”が重要な意味を持つのだ。
 

次節は上位対決。 思い切りの良いプレーで勝利を!

「先制点のおかげで落ち着いてプレーすることができました」と話すセンターバックの徳武の言葉通り、守備面に関してはほとんど相手の思うようなプレーをさせなかった。ピンチらしいピンチもほとんどなかった。
後半41分に途中交代で入った経験豊富なベテラン若林学にシュートを打たれるシーンもあったが、それもセカンド・ステージ初先発のゴールキーパー石田良輔が危なげなくしっかりとセービングした。
 
一方で、「取るべきところで取らないと上位相手には苦戦する」と徳武が話したように、なかなか決めきれないシーンが続いた。
 
後半5分には、太田のセンタリングに薗田がヘディングで合わせたが、これはオフサイドの判定。18分にはスペースに飛び出した中村亮太から鋭いマイナス気味のクロスが入り、鈴木将也が飛び込むも、わずかに届かなかった。さらに21分には、徳武のロングフィードを中村がヘディングでつなぎ、最後は白石がクライフターンで相手ディフェンダーを華麗に交わしシュートを狙うも、ゴールの枠を捉えることができなかった。
 
特に白石のシュートに関しては、インステップで思い切りシュートを打っても良かっただろう。目の前には相手ディフェンダーが2人とゴールキーパーの計3人が立ちはだかっていてあまりシュートコースがなかった。そこで、このシーンで白石が選択したのは、インフロントキックでコースを狙ったシュートだったのだが、ドスンと思い切りの良いシュートを放ったほうが、よりゴールに近づいたのではないかと感じる。白石は歯切れのよいドリブルで何度となくチャンスを演出しているだけに、フィニッシュの部分での思い切りの良さが出ると、相手にとってより脅威になるはずだ。
 
アスルクラロの追加点は、後半28分に生まれた。途中出場でピッチに立っていた中村が尾崎の右コーナーキックにドンピシャで合わせてゴール。
 
さらにその10分後の38分には、「ずっとゴールが欲しかった」という中筋誠が、右足を振り抜き、ゴール右隅に決め込んだ。実にファースト・ステージ第5節以来のゴールを決めた中筋。彼の“ジョーカー”としての活躍は、今後必ずチームを助けることだろう。
 
試合終了直前には、尾崎のセンタリングが相手ディフェンダーのオウンゴールを生み、結果としては4-0でアスルクラロが快勝した。だが、アスルクラロの実力を考えると、もっともっと相手を圧倒できるはずだ。
 
次節は、年間順位で首位を争う流経大ドラゴンズ龍ケ崎とアウェイの地で対戦する。ファースト・ステージを制した流経大ドラゴンズ龍ケ崎を倒し、中断明けに開催される静岡ダービーに弾みをつけられるか、注目したい。
 

PICK UP

アスルクラロU15が2年連続で全国大会へ!

今節のハーフタイムには、2年連続で日本クラブユースサッカー選手権U-15の全国大会出場を決めたアスルクラロU15の選手たちが、大会に向けた意気込みを語ってくれた。
 
東海地区第5位となり全国大会出場を決めたアスルクラロU15だが、同大会での目標を「全国大会優勝」と位置づけた。昨年出場した全国大会では、グループステージこそ1位通過したものの、ノックアウトステージでは初戦で敗れてしまった苦い経験がある。だから「今年こそは」という思いが強いのだろう、選手たちの顔には「やってやるぞ」という強い思いがにじみ出ていた。
 
今のアスルクラロU15の面々は、吉田監督が一人ひとり直接電話でアスルクラロに来てほしいと伝えたメンバーたちだという。
 
そんな彼らの頑張りは、トップチームを率いる吉田監督にも大きな影響を与えている。
 
「あの子たちの夢、目標がトップチームだったら最高だなと思います。だけどJFLにいる現状では、それはできていない。だから、僕たちは今勝つ以外ない。昇格して、それで初めて“戻ってきたい”と思えるはず。見つけて、育てて、(プロ選手として)開花させるということをトータルで行うためには、我々トップチームも頑張らなくてはいけないと思っています」
 
第31回日本クラブユース選手権大会U-15大会は、8月15日から北海道の帯広にて開催される。彼らの活躍を大いに期待したい。
 

DATA

試合結果

セカンド・ステージ第6節(会場:裾野市運動公園陸上競技場)
アスルクラロ沼津(4-0)栃木ウーヴァFC
メンバー)
GK 30.石田良輔 DF 4.田中舜 . 5.馬場将大 22.徳武正之 18.尾崎瑛一郎(Cap.) MF 7.鈴木将也 17.太田一輝 24.沓掛勇太 23.白石智之(→13.鈴木淳[後半25分])FW 19.薗田卓馬(→20.中筋誠[後半34分])10.青木翔大(→9.中村亮太[後半14分])
 
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