静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

J昇格を目撃した4,289人! 愛鷹が歓喜に包まれた日 vs ファジアーノ岡山ネクスト

─JFLセカンド・ステージ第15節(2016.11.13)─

いよいよセカンド・ステージ最終節。アスルクラロ沼津は、2点差以上の勝利で、他会場の結果に関係なくJ3昇格の条件“年間通算順位4位以内”が確定する。今節の対戦相手は年間通算順位で16位につけるファジアーノ岡山ネクスト。順当にいけば、ホームのアスルクラロが負ける相手ではないが、同チームは今シーズン限りでJFLからの退会を発表しているため、必死になって立ち向かってくるはずだ。気を引き締めないと足をすくわれかねない。愛鷹競技場に駆けつけた4,289人のサポーターとともに、“静岡第四のJクラブ誕生”という3年越しの夢を叶えることができるか注目だ。

戦術より執念! 沼津が立ち上がりからゲームを掌握

「勝負のかかった一戦に必要なものは、今日になってミーティングで言うことではなくて、日々の努力と積み重ねです。一年間の集大成として気持ちをぶつける。戦術とかそういうものではなくて、最後は気持ちを超えて“執念”だと言って選手たちをピッチに送り出しました」
 
一昨年はヘッドコーチとして、昨年は監督として、選手とともに悔しい思いをしてきた吉田謙監督の檄が効いたのか、この日のアスルクラロは立ち上がりから相手を圧倒していた。ほぼすべての球際を制し、じりじりと岡山ゴールに近づいていく。すると11分、前節でも得点した薗田卓馬がゴールネットを揺らす。敵陣右サイドでフリーキックを獲得し、これを主将・尾崎瑛一郎がゴール前に放り込むと、混戦から一歩抜け出した青木翔大が頭で押し込む。青木のシュートは惜しくもバーに弾かれたが、そのこぼれ球にいち早く反応した薗田が左足を振りぬいた。今季12ゴール目となる薗田の得点でアスルクラロが先制点を奪う。
 
勢いに乗る沼津はその2分後、今度は敵陣左サイド奥でボールをキープした薗田が中村亮太にボールを預けると、ゴール前に上がってきた太田一輝が中村のアーリークロスをヘディングで合わせて追加点。さらに、34分にはセットプレーのチャンスから、ペナルティエリア内で徳武正之が倒されPKを獲得。これを尾崎が落ち着いてゴール左隅に沈めてスコアを3-0とする。
 

我慢の後半、集中力は途切れず

3点のリードを得て前半を折り返したアスルクラロは、後半も開始直後から攻勢に出る。しかし、前半から一転してなかなかゴールを奪えない。10分過ぎからは前線からのプレスが徐々に効かなくなり、岡山がボールを支配し始める。これに対し、J昇格を是が非でも自力で決めたいアスルクラロは、デイフェンスラインを下げることでブロックをつくって対応し、試合を落ち着かせた。さらに、3点差を縮めようと攻め込む岡山の隙をついて、効果的なカウンターを仕掛ける。しかし、途中交代でピッチに立った岡山ゴールキーパー季京泰(イ・キョンテ)のファインセーブに幾度となく阻まれてしまう。
 
後半39分に岡山FW小林秀征に意地の一発を決められたものの、守護神石田良輔を中心にチーム一丸となって高い集中力で2点差を守り抜いたアスルクラロが、自力でのJ昇格条件をクリアした。
 
「静岡県東部地区にアスルクラロ沼津あり! これからも走り続けたいと思います」
 
試合後のグラウンドには、誇らしげな吉田監督の言葉がこだまし、長いシーズンを終えた選手たちは、駆け付けたサポーターと“昇格”という名の美酒に酔いしれた。
 

PICK UP

J3参入決定! 沼津の新しい挑戦が始まる

最終節から3日後となる16日(水)、Jリーグは理事会を開き、アスルクラロのJ3参入を正式に承認した。
 
「本当はJFLチャンピオンになって堂々とJリーグに挑戦したかった。もっとレベルアップしないといけないと痛感した」
 
年間通算順位3位という結果を残し、見事J3昇格を果たしたアスルクラロだが、試合後に尾崎が語ったように課題も残る。
 
「1年間、よい守備からよい攻撃へというテーマの中で積み上げてきました。守備はボールを持っていない状態で行うため、守備に不調はありえない。全員でコンパクトに守って、全員でボールを奪う。相手がJ1であろうとJ2であろうと関係なく、よい守備からのよい攻撃は通用すると思っています。一方で、ボールをキープしながらこちらが主導権を握るような戦い方は、もっと詰めていかないといけない」(吉田監督)
 
アスルクラロは12月10日(土)、11日(日)にセレクションを開催することを発表。今季、アスルクラロがJ昇格を勝ち取った背景には、JFLのチームの中でも、いち早く選手補強に着手したことが挙げられる。それにより、大きく戦力を伸ばすことができ、今季の飛躍へとつながった。その経験があるからこそ、最終節終了から時を経ずにセレクションを開催する。
 
来シーズン、Jの舞台でのアスルクラロの新しい挑戦は既に始まっている。アスルクラロの目は、もうJ3での戦いへと向いている。
 
(取材・文・写真:出川啓太 編集:遠藤由次郎)
 

DATA

試合結果

セカンド・ステージ第15節(会場:静岡県愛鷹広域公園多目的競技場)
アスルクラロ沼津(3-1)ファジアーノ岡山ネクスト
 
メンバー)
GK 30.石田良輔 DF 4.田中舜 3.藤原拓也 22.徳武正之 18.尾崎瑛一郎(Cap.) MF 7.鈴木将也 17.太田一輝 24.沓掛勇太 9.中村亮太(→20.中筋誠[後半45分]) FW 19.薗田卓馬(→23.白石智之[後半31分])10.青木翔大(→13.鈴木淳[後半27分])
 

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