静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

夢の舞台だったJリーグへ! さらなる高みへの挑戦が始まる vs 福島ユナイテッドFC

─明治安田生命J3リーグ第2節(2017.3.18)─

2017年3月18日。この日は、アスルクラロ沼津にとって歴史的な試合となった。ついに、悲願だったJリーグの舞台に立つことができたからだ。本連載では、アスルクラロがJFLに参入した2014年から57回にわたって、サッカー王国の中の“不毛の地”である東部地区からJリーグチームが誕生するまでを追ってきた。その願いが、ついに実現のものとなったのだ。今回のJチーム誕生をきっかけとしてライター遠藤としては1度、筆を休めたい。

アスルクラロ“らしさ”とは?

この3年間ずっと感じていたことがある。それは静岡県東部地区のJリーグチームにふさわしいチームってどんなものだろうということだ。もちろんアスルクラロのトップチームの選手たちは、そのほとんどが東部地区出身ではない。そのことはわかっているのだけれど、やはりその疑問符は頭から離れない。

でも、すでにその答えはアスルクラロというチームから発信されていた。

「全力」

 ひたむきにボールを追いかけつづける。最後の最後まで諦めずに体を投げ出してシュートをブロックする。何点差がついても、勝負を諦めず、1点を奪いにいく。そういった純粋に勝利を追いかけ続ける姿こそ、アスルクラロという東部地区のJリーグチームにふさわしい姿なのだ。

筆者自身、十数年前に東部地区の小中高でサッカーをしていたのだが、県大会に出場したときに、中部・西部のチームと戦ったことがある。やはり、技術では相手のほうが一枚も二枚も上手だった。そういったときに勝利を手繰り寄せるには、「全力で戦うこと」以外にはなかったことを思い出す(実際には、負けてしまったけど)。

愚直に勝利を目指すアスルクラロ。「全力」で戦うことで、本当にJリーグの舞台まで登っていったアスルクラロ。これは東部地区のすべての子どもたちにとって、お手本となる姿だと思う。だからこそ、これからも「全力」ということを常に体現していってもらいたい。たとえこれからJ2、J1と駆け上がったとしても……。

いちばんの財産は地元の子どもたち!

もちろんアスルクラロの最終目標はJ3ではない。それはサポーターもクラブスタッフも選手たちも、全員がわかっている。みんな今日より明日へ、階段をのぼっていきたいという夢を抱いている。

アスルクラロがJ1で優勝し、アジアチャンピオンとなり、クラブワールドカップで世界の強豪チームと戦う。そんな夢だって、決して不可能ではない。

しかし、誤解を恐れずにいえば、アスルクラロのいちばんの財産はトップチームではない。アスルクラロが育ててきた、そして今育てている地元の子どもたちである。

「今はない高校生年代のユースチームを作り、幼少期から一貫した育成環境を整え、最終的にはそこからトップチームに入る。そんなクラブを目指したい」。山本浩義代表(現・副会長)から何度も出てきたこの言葉の通り、東部地区の子どもたちこそが、アスルクラロの財産なのだ。だからこそ、アスルクラロの象徴であるトップチームは、「ただ勝てばいい」というサッカーをしてはならない。スポーツマンシップに相応しくない時間稼ぎや無用で悪質なファウル、審判への暴言などは、言うまでもなく行ってはいけない。

アスルクラロのサポーターは、すでにそのことを体現してくれている。温かいホスピタリティで相手サポーターを迎え、そしてエールを送っている。

そういった精神を忘れずに持ち続けることができれば、120万人を超す東部地区の人たちみんなから愛されるチームとなっていくことだろう。もちろん地元から愛されることは、J2・J1へのステップアップで欠かせないスタジアムの新設にもつながっていくはずだ。

最後になりましたが、本連載中に関わってくださったすべてのみなさまに御礼を申し上げたいと思います。そして、読者のみなさまいつも読んでいただきありがとうございます。また機会があればお会いしましょう!

PICK UP

ライター遠藤が選んだベスト11

フォーメーション:3-4-3

監督:山本浩義(現・アスルクラロスルガ副会長)

アスルクラロ沼津の過去5年間の選手で、フォーメーションを組んでみました。監督には、筆者自身も中学校時代に沼津中央高校のグラウンドでサッカーを教えてもらった山本浩義さん。前線の3枚はスピード重視! ボランチ2枚は昨季で早すぎる引退を表明した高野光司と移籍先のシンガポールリーグでMVPに輝いた木暮郁哉、左には東海リーグ時代を牽引した前川翔太、右にはやっぱりこの男・尾崎瑛一郎。ディフェンスはJ1の舞台で活躍する西村竜馬に、下部組織出身で吉田謙現監督の愛弟子ともいえる田中舜、そして退団後も何度となくスタジアムに顔を出していた漢の中の漢・東間勇気。ゴールマウスを守るのはイケメン・石田良輔! 今、アスルクラロ沼津がJリーグの舞台に立てているのも、過去の所属選手たちの頑張りがあったからということも忘れたくないですね。

FW:村上聖弥 真野直紀 岡庭一輝

MF:前川翔太 高野光司 木暮郁哉 尾崎瑛一郎

DF:西村竜馬 東間勇気 田中舜

GK:石田良輔

 

 

DATA

アスルクラロ沼津JFL戦績

2014年シーズン 8勝10敗8分け(JFL年間通算順位8位)
2015年シーズン 16勝8敗6分け(JFL年間通算順位5位)
2016年シーズン 18勝7敗5分け(JFL年間通算順位3位)

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