静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

サポーターに捧げるJ3初勝利!前節の課題を克服した静岡ダービー vs 藤枝MYFC

─明治安田生命J3リーグ第3節(2017.3.25)─

前節は立ち上がりから積極的なプレーを見せ、福島ユナイテッドFCを内容では圧倒しながらも決定力を欠き、惜敗したアスルクラロ沼津。前節終了後、吉田謙監督は決定力不足を反省しながらも「試合で得た手応えをより大きいものにできるように、次の試合までに修正していきたい」と語ったが、藤枝MYFCをホームに迎えて行なわれた今節で、内容、結果ともにこれを有言実行してみせた。

前節と同じく
先制点を奪われる

「アスルクラロの4-4-2に対して、うちの3-4-3は掛け合わせがよく、数的優位をつくれると思っていました。先制点はそれがうまく作用したのかなと思います」
 
藤枝MYFCの大石篤人監督が試合後にこう語ったとおり、前節、福島ユナイテッドFCを苦しめたアスルクラロのハイプレスは、数的優位をつくる藤枝にうまくかわされてしまう。
 
徐々に試合の主導権を握られると前半13分、右サイドからバイタルエリアに攻撃を展開され、最後は枝本雄一郎に左足を振り抜かれる。地を這うようなミドルシュートが突き刺さり、アスルクラロは早くも先制点を奪われてしまう。
 
失点したことで浮き足立ったのか精彩を欠くプレーがつづき、藤枝に立て続けに危険な場面をつくられる。
 
「失点した時間帯は、みんな落ち着きをなくして何度も危ない場面をつくられてしまった」
主将の尾崎瑛一郎が、しきりに「落ち着け、まだ慌てる時間じゃないだろう」とピッチ内で声をかける。
 
「失点した時間帯が早かったのが幸いでした。自分たちのやりたいことをやる。時間が経つにつれて、そこに立ち戻ることができました」
 
危ない時間帯を乗り切り、ピッチ内の選手たちが落ち着きを取り戻すと、アスルクラロの生命線である右サイドが機能し始める。前半33分、この日先発に抜擢されたCB藤原拓也が、持ち前の正確なロングフィードで一気に相手ディフェンスラインの裏にボールを放ると、俊足の中村亮太が敵陣深く持ち込んでクロス。これは藤枝の体を張ったプレーに防がれてしまうものの続く42分、ディフェンスラインでボールを回すアスルクラロは藤原から右サイドバックの尾崎に展開、尾崎から縦に長いボールが送られると、これに反応したのはまたしても中村。相手DFを引きはがしクロスを送ると、この日先発に抜擢された小牧成亘がニアサイドで合わせてゴールに流し込んだ。
 

決めるところで決め
勝利を決定づける

同点に追いつき試合を折り返したアスルクラロは後半、ホームの声援を得て藤枝を圧倒する。藤枝の両サイドバックの後ろのスペースに質の高いボールを配給し、攻撃に人数をかけていく。
 
「相手の縦に長いボールに対して、しっかりと処理することができなかった。中盤とディフェンスラインの距離が離れてしまい、高い位置でボールを保持されてしまった。アスルクラロの選手は力があるので危険な場面をつくられてしまいました。」(藤枝・大石監督)
 
追加点も右サイドの高い位置でボールをキープした場面から生まれた。一度はボールを奪われるものの、前線に繋げようとしたパスをカットした藤嵜智貴が、すかさず相手ディフェンスラインの背後のスペースにボールを転がすと、オフサイドギリギリのポジショニングで待ち構えていた薗田卓馬が反応。ゴールキーパーとの一対一を冷静に沈めると、喜びを爆発させた。
 
なおもアスルクラロの勢いは止まらない。後半37分には、右サイドからの尾崎のコーナーキックに沓掛勇太がヘディングで合わせ3-1。さらに後半43分、途中出場した渡辺亮太が前線からのハイプレスでボールを奪うと、そのままドリブルで右サイドを独走し、グラウンダーのクロスを送る。これを逆サイドで待ち構えていた前澤甲気が狙い澄ましたコントロールシュートを藤枝のゴールネットに突き刺し、勝負あり。アスルクラロは、Jリーグでの初勝利をホームに詰めかけた観客と分かち合った。
 

Jリーグ初勝利を
地元に届けられて嬉しい

決定力不足という前節の課題をクリアし、大量4得点を挙げJリーグ初勝利を掴んだアスルクラロ。監督と選手は、一定の手応えと喜びを現しながらも、次節に気を引き締める。
 
「同じ静岡のライバルであり仲間でもある藤枝さんに勝つことができて、また、ホームでのJリーグ初勝利を飾ることができて大変嬉しく思っています。ぼくらのファイティングポーズは仲間との絆。ファイティングポーズをとり続けることができたので、勝利することができました。まだまだ試合は控えているので、気を引き締めて戦っていきたいと思います」(吉田謙監督)
 
「今日勝つんだという強い気持ちで、一週間練習できたことが結果に結びついたと思います。素直に嬉しいです。ダービーで勝てて、子どもたちもすごく喜んでくれて。このピッチに立てる人数は限られているし、ピッチに立っている人間がビビっているようじゃダメだ、ということは普段からみんなに伝えています。僕らは毎試合成長していかないといけないので積極的にやらないといけない。失点した直後は、それが薄れてしまいましたが時間が経つにつれて徐々に自分たちの精神を取り戻すことができました。このクラブに携わる沢山の方々に勝利をプレゼントできてよかった。この一勝のために必死になって戦ってきたし、サポーターのためにがんばらなきゃいけないと思って戦いました。次の試合も、期待を裏切らない面白い試合をしていきたいです」(尾崎瑛一郎)
 
Jのピッチではじめての勝利を手にし、自信を深めたアスルクラロは、次節アウェーで富山と対決する。次回のホーム戦は4月30日。3節終了時点(3月26日)で4位につける鹿児島ユナイテッドFCと対決する。
 

PICK UP

古巣相手に試合を決める追加点。
泥臭くボールを奪うMF沓掛勇太

ジェフユナイテッド千葉の下部組織出身の25歳。豊富な運動量とボール奪取能力が魅力のMF。180cm、78kg。関西学院大学を経て、2014年より藤枝MYFCに入団。今季よりアスルクラロ沼津に完全移籍を果たした。古巣相手に勝利をたぐり寄せる3点目を決めた男に話を聞いた。
 
「個人的な感情を出してプレーするといいプレーができないというのが自分のなかにあったので、今日は、そういうことをあまり考えずにプレーしました。ファール数がちょっと多くなってしまったのですが、球際の激しさは自分の特徴なので、全面に出していきたいです。古巣相手に得点できて素直にうれしいですけど、練習中からいいボールを入れてくれる尾崎さんがいるからで、今後もっと点を取れるようにがんばっていきたいです。
 
勝ち続けていくためには、自分の良さを出すことも大切ですが、それをチームとして機能させないといけない。勝つことはできましたが、今日も先制されていますし、守備の部分を修正していきたいです。今日、ホームで勝つことができて、いろいろな方が喜んでくれたことは嬉しいです。本当に一試合一試合を全部勝つ気持ちで、驕らずに、良かったところと修正すべきところをきちんと分析して、次の試合に臨みたいと思います」。
 

DATA

試合結果

J3リーグ第3節(会場:静岡県愛鷹広域公園多目的競技場)
アスルクラロ沼津(4-1)藤枝MYFC
 
メンバー)
GK 20.石井綾 DF 18.尾崎瑛一郎 28.谷口智紀 3.藤原拓也 2.藤嵜智貴 MF 15.菅井拓也 6.沓掛勇太 17.太田一輝(→11.前澤甲気[後半39分]) FW 9.中村亮太 16.小牧成亘(→29.渡辺亮太[後半21分])19.薗田卓馬(→10.青木翔大[後半34分])
 
 
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