静岡県東部からJリーグへ-アスルクラロ沼津の挑戦-

相手指揮官も脱帽する走力で勝利を掴み取る vs 鹿児島ユナイテッドFC

─明治安田生命J3リーグ第6節(2017.4.30)─

前節は立ち上がりから積極的なプレスを仕掛け、強敵・栃木SCと互角の戦いを演じたアスルクラロ沼津。先制しながらも後半ロスタイムに逆転される悔しい敗戦となったものの、2シーズン前までJ2に所属していたクラブを相手に、敵地で善戦した。今節は、JFL時代から名勝負を繰り広げてきた鹿児島ユナイテッドFCを愛鷹に迎えての一戦。リーグ2位につける鹿児島を相手に、アスルクラロ攻撃陣が躍動した。

三浦泰年の帰還
沼津の風景を懐かしむ

今季から鹿児島ユナイテッドを率いるのは、静岡県出身の三浦泰年監督。
 
「ここまで来るまでの町並みであったり、小中高校時代に見た雰囲気のところを通ってここまで来たわけですが、その間に数多くの子どもたちがサッカーをしている風景がありました。我々の時代は、静岡県の東部というと、中部や西部と比べると栄えていませんでした。そういう中で、こうして目標とするチームができたことは、地域のサッカー文化が活性化していくためにも、とてもすばらしいことだと思います」
 
幼少時代に慣れ親しんだ風景を懐かしみながらも、三浦監督はアスルクラロのサッカーを的確に分析していた。
 
「沼津は、右サイド中心にシンプルに攻めてくる。実際にどんなときも諦めずにルーズボールに対してハードワークしてくる。切り替えもセカンドボールへの対応も早いですし、FWも献身的に守備に走り回ることができる。それから、アプローチが弱ければしっかりと足元におさめてボールを繋ぎながら最終的には少し長めのボールを右サイドのターゲットにめがけて入れてくることが多い。そこに捉われすぎるのはよくないが、情報として頭に入れて試合に挑むよう、選手たちには伝えました」
 
これを迎え撃つアスルクラロは2年前、J3昇格をかけて鹿児島と対戦し、後半ロスタイムに昇格の望みを打ち砕かれた苦い記憶がある。開幕戦から一貫して徹底してきたハードワークと球際の激しさを発揮することができるか、またスピードで相手DFラインの裏をつけるかが、試合の結果を分かつポイントとなりそうだ。
 

アスルクラロが今季3勝目
勝負強さを発揮する薗田、中村

キックオフの笛が鳴ると、さっそく両チームが持ち味を発揮し、ぶつかりあった。
 
「鹿児島は攻守ともにバランスが取れていて、各ポジションにクオリティのある選手を配置した強敵だと思って挑みました。そのなかでビルドアップを丁寧にする鹿児島のスタイルで、真っ向勝負でぶつかってきてくれたし、ぼくらもそれに対して、自分たちの持ち味である運動量や激しいプレスで真っ向勝負でボールを奪いにいく、お互いにストロングポイントがぶつかりあった非常にすばらしいゲームだったと思っています」
 
吉田謙監督がそう語った通り、試合は序盤から見応えのある展開となった。試合が動いたのは後半26分、敵陣でインターセプトしたボールが途中出場の青木翔大に渡ると、そのままドリブルでバイタルエリアに侵入。右サイドを駆け上がった中村亮太にボールを預けると、トップスピードでゴール前に走り込んだ青木が潰れ役となり、ファーサイドで待ち構えていた薗田卓馬がゴールに流し込んだ。続く後半37分には中村が追加点を挙げ、アスルクラロが嬉しい今季3勝目を掴み取った。
 

アスルクラロを支える
走力の正体

J3に昇格してから5試合を戦い、3勝2敗0分。昇格イヤーにも関わらず強敵とも互角の戦いをみせ、リーグ7位につけている。好調の原因は、90分間をハードワークしつづける走力にある。どのようなトレーニングを行なっているのだろうか? 吉田謙監督に聞いた。
 
「基本的には、ゲーム形式でボールを中心としたトレーニングで走力を高めています。ただ走るだけのトレーニングはあまりしません。また、走り方についても毎日地味なトレーニングなんですけど、フィジカルコーチから指導をしてもらっています。気合いという無形のものを追求するわけではなく、筋力強化、軸、フォームと、しっかりと分類して必要な要素をチョイスしてトレーニングしています。コーチ陣がすばらしいです」
 
トレーニングやゲームの走行距離を測るために選手たちがつけているGPSの数値は、実際に効率よく伸びている選手が多いという。今節で先制点を挙げた薗田も、フィジカルトレーニングの成果を話してくれた。
 
「スタミナやパワーがついたかなと思います。今日も戦っていて、相手は上位のチームでしたが、フィジカルの面で負ける気はしなかったです。昨年からチームに関さんという専属トレーナーがついてくれています。月に1、2回東京に通って指導を受けて、あとは指導を受けたものを持ち帰って各自で繰り返す感じです」
 
昨年から取り入れたトレーニングを積み重ねてきて、ちょうど今、良い成果をもたらしている。ただし、吉田監督はまだまだ足りないと言う。
 
「ぼくらのチームがJ1、J2に上がっていくためには、まだまだ足りないと思っています。さらに走って、さらに激しく向かっていくんだということを選手たちには伝えています。数値が伸びている選手が非常に多いし、さらに強化して選手が羽ばたいていけるようなトレーニングを積んでいければと思っています」
 

アスルクラロの選手は
一人一人がすごくがんばる

鹿児島の守備の要、水本勝成は試合後のミックスゾーンで試合をこう振り返った。
 
「うまく試合を運べたイメージはありません。途中から3バックにした監督の意図をもっと選手たちが理解するなど、チーム全体で意思統一することが必要だと思います。2失点していることについては、ディフェンスの責任だと思うので、次は無失点で勝てるようにトレーニングしていきたいです。先制された場面について、中盤でボールを失ってしまうと鋭いカウンターでやられるということはわかってはいたのですが、それで点を奪われているので、そこは自分たちの質の低さだと思います。中盤で奪われてもやられないくらいに、しっかり修正してやっていきたいです。具体的に今日の失点シーンで言うと、奪われた時点で3対3の状態だったので、ボールを奪われた選手が戻ることと、右サイドに走り込んだ中村選手のマークを離さないこと」
 
つづけてアスルクラロの印象を聞くと、こんな感想が帰ってきた。
 
「アスルクラロは一人一人の選手がすごくがんばる印象です。うちは去年からJ3に参入して、悪くない成績を残せました。そのときに自分たちが見せていた姿勢、ガムシャラさや走りきるメンタルが、今日はアスルクラロのほうが上回っていたと思います」
 
また、三浦泰年監督も試合後に、「非常に沼津のハードワークは素晴らしいものだったし、それを今日体感できたので、これを持ち帰ってホームではこの敗戦をしっかりと活かせればと思っています」と、アスルクラロの戦いぶりをリスペクトしていた。
 
アスルクラロは次節、5月7日(日)にアウェイでSC相模原と対戦する。
 
「自分たちはJFLから上がってきて、毎試合が挑戦するつもりで臨んでいますし、次も挑戦者として戦い、一試合一試合勝っていきたいなと思っています」
 
アスルクラロの好調の要因は、試合後に話してくれた薗田のこの言葉に集約される。対戦相手にもリスペクトを受けるアグレッシブなプレーで、次節も勝点を積み重ねてほしい。
 

PICK UP

「幼稚園のころから大好き」
アスル大好きちびっこ三人組

アスルクラロサポーターが陣取る愛鷹競技場のゴール裏で、ひときわ目を輝かせて観戦していたアスルサポーター3人組(写真左からゆうま君、かんた君、りお君)に話を聞いた。
 
ーー今日は勝利おめでとう。みんな何歳?
りお君「8歳」
かんた君「同じ、8歳」
ゆうま君「7歳」
 
ーーいつからアスルクラロのファンですか?
りお君「みんな幼稚園のころからです」
かんた君「鹿児島はリーグ2位の強敵だったけど、勝てて嬉しいです」
ゆうま君「嬉しい!」
 
ーーアスルクラロのどこが好き?
りお君「薗田選手や青木選手がガンガン点をとってくれるところ」
かんた君「そうそうそう、かっこいい〜!藤原選手と尾崎選手も好き」
ゆうま君「え〜、ぼくは徳武選手。危ない場面でよく守ってくれるから」
 
ーーみんなサッカーしてるの?
ゆうま君「うん!」
 
ーー楽しい?
一同「楽しい!!」
りお君「見るのもプレーするのも両方楽しい」
かんた君「アスルクラロの試合は、全然退屈しない!」
 
ーー大きくなったらどこのチームに入りたい?
りお君「レアル・マドリード!」
 
ーーアスルクラロじゃないんだ?(笑)
かんた君「あっ、ぼくは最初アスルクラロ、次はバイエルン」
りお君「ぼくも最初はアスルかな。でもアスルからレアル行けるかなぁ。ぼくが大人になるまでにJ1に昇格していてほしい」
かんた君「アスルは将来強くなると思うよ、ぼくは」
 
ーー次のホーム戦も応援に来ますか?
一同「来たい!」
ゆうま君「次も勝ってほしい!」

DATA

試合結果

J3リーグ第6節(会場:静岡県愛鷹広域公園多目的競技場)
アスルクラロ沼津(2-0)鹿児島ユナイテッドFC
 
アスルクラロ沼津メンバー)
GK 20.石井綾 DF 18.尾崎瑛一郎 22.徳武正之 3.藤原拓也 2.藤嵜智貴 MF 15.菅井拓也 7.鈴木将也 11.前澤甲気(→14.白石智之[後半42分]) 50.染矢一樹(→10.青木翔大[後半18分])FW 9.中村亮太 19.薗田卓馬(→16.小牧成亘[後半35分])
 
鹿児島ユナイテッドFCメンバー)
GK 31.山岡哲也 DF 6.田中秀人 23.水本勝成 27.冨成慎司 40.上本大海(→33.田上裕[後半41分]) MF 4.丹羽竜平 7.赤尾公 8.永畑祐樹 24.松下年宏(→11.五陵淳樹[後半27分])FW 9.藤本憲明 10.ナソンス(→17.中原優生[後半15分])
 
 
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