背中押します。あなたの「サッカーの夢」を叶える本。

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赤字チーム続出のJリーグ。参考になるコンテンツやアイディアが知りたいです。

  • AKB白熱論争
  • 新東京いい店やれる店
  • 野外フェスのつくり方
  • パギャル消費 女子の7割が隠し持つ「ギャルマインド」研究
  • アニメ・マンガで地域振興


選書 幅 允孝(ブックディレクター)

Profile

AKB白熱論争

小林よしのり/中森明夫/宇野常寛/濱野智史(幻冬舎)

今や総選挙という言葉は、国会議員のためにあるのではない。そう言い切ってしまえるほど、AKB48の人気は凄まじい。「ゴーマニズム宣言」という思想マンガによって、単なるマンガ家に収まらない存在感を出し続ける小林よしのりが、なんとAKBにハマったという。オタクという言葉の生みの親である中森明夫に、社会や政治のロールモデルとして参照すべきはAKBだとする若手評論家と社会学者を迎え(全員AKBヲタ)、このAKB現象について熱い論争を繰り広げている本書。

評論家にありがちな“あえて”ハマったのではなく、“ガチ”でハマった4人は、AKBの総選挙でチームとしてのバランスを取ろうとするオタクたちに、本当の選挙に欠ける公共心と権利と義務の正当性を読み取る。崩れた地縁という関係を、都市村落や宗教に代わり、担う存在だとも。宇野は再三に渡り、AKBというコンテンツのライバルは最早アイドルたちではなく、野球やJリーグだと語る。AKBの誰を“推す”か、は違ってもAKBについて熱く語ることができるように、Jリーグの応援するチームが違ってもサッカーについては熱く語ることができる。そして地方のSKEやNMBから選抜され、AKBという代表になる姿もダブる。こうもサッカーとかぶるのならば、きっとサッカーもAKBから学ぶべきことは多いはずだ。いかにサポーターに“推し”てもらうのか。サッカー選手たちの生き残るための“ガチ”がもっと見たい。

新東京いい店やれる店

ホイチョイ・プロダクションズ(小学館)

人間の三大欲は睡眠欲と性欲、そして食欲。このレストランガイド本が他と違うのは、食欲を満たすためだけのガイドではなく、その後の性欲を満たすことを最大の目的としているということだ。極まったサポーターは例え恋に落ちた相手を前にしても、振り切ってスタジアムへ駆けつけるのだろうが、サポーターの裾野を広げようとしている現段階では、恋で盲目の人々がスタジアムへはたどり着くことはない。それならば恋人ごとスタジアムへ連れてくればいいわけで、そのためにもさっさと落としてもらわなければならない。そのためにこの本は存在している(と考えてみたい)。

『「本当のボクをわかって貰える店」なんてのも、女にとって迷惑以外の何者でもない。(中略)男がなすべきことは、あらゆる手を使って女性を喜ばせる、それに尽きる。』と著者は語気を強める。そう、落とすまでサッカーが好きであることは最前面に出してはいけない、落としてからその世界へ連れていけばよい。まず行くべきは「トキメキのある店」だ。味は味覚で人それぞれだが、「やれる度」は心理学であり科学なのだ。本書ではしきりに季節の食が大切だと言う。その時にしか食べられないものを食べないかと誘う。確かに確率は高い。サッカーもその時にしかない試合は日本代表だけではない、アジアカップもスルガカップもある。最初に誘うタイミングを狙ってみてほしい。

野外フェスのつくり方

MASSAGE編集部 編(フィルムアート社)

97年フジロック・フェスティバルが開催され、現在まで繋がる本格的な日本型大型ロックフェスの歴史が始まる。昔を辿ればフォークジャンボリーなど様々な形での音楽祭はあった。現在のものはかつてあったカウンタカルチャーとしての政治的メッセージや権力への反抗といった意味合いは薄まり、徐々に現代版にアップデートされた音楽フェスであり、季節のお祭りイベントとしてすっかり定着することになった。

多くの主催者は“好きだから”やるという気持ちだけで続けている。だからこそ持続可能なやり方を模索しながら、何物にも代えがたい時間と経験を作り出してきた。音をだすことができる広大な敷地が開催の前提であるため、主催者は場所と人にコミットしていくことが必要になる。“人間関係に根を張る”ように地域コミュニティと共存し、その場所で行うことが相手にとってもプラスになるような結果を残すこと。ライフスタイルとしての野外フェスという考え方は、そうした誰しもがアクセスできる音楽というグローバルメディアを使ったローカルな活動なのだ。『現代の文化は90年代が象徴したような「遠く/彼方に」向かうことで個性を実現するのではなく、足元に広がる暮しや近しいコミュニケーション世界に潜り込んでいる』。まるで街づくりのような現代のフェスはそうしたマインドと共振して成り立っている。いまのJリーグがどれだけそうした心に共振できているか。サッカーも人と時代とともにある。

パギャル消費 女子の7割が隠し持つ「ギャルマインド」研究

西井美保子(日経BP)

『「ギャルのパワーで、マインドで、日本の未来をアゲよう!」をスローガンに、社会の活性化を目指すプランニングチーム』である“電通ギャルラボ”ができたのは、2010年3月。「情に厚く、絆を重んじ、後先考えずに行動し、建前と本音を使い分けることが苦手で、自分の弱い部分も笑いながらぶっちゃける」のがギャルマインド。ギャルラボにとってのギャルは、「いつの時代にもいるパワフルでファッショントレンドのど真ん中にいる女の子」であり、現代版ギャルの条件である、「心(ラブ)」「技(デコ)」「体(ガッツ)」を持つ18歳から34歳の女性は、程度の差こそあれ約7割の845万になるという。中でも見た目はギャルとは思えないが、ギャルマインドをもつ女子を「パギャル=中途半端なギャル」と呼ぶのだ。
いまやある特性の層だけをギャルとカテゴライズできる時代ではなくなり、ヤンキーという概念が広く浸透したように、ギャルという概念も薄まりながら全国の女子に広く共有されることとなった。というよりも、地元を愛し、髪型をキメ、女を愛する、というどこかヤンキーに近しい存在なのかもしれない。現代女子の定番でもあるギャルマインドの地元志向は、土地とともにあるJリーグとの親和性がとても高い。コミュニティとの連帯意識で、中途半端なサポーター“パサポ(?)”を確実に味方につけていければ、いずれスタジアムが子連れのギャルママで溢れ、日本的なサッカーライフが現れるかもしれない。

アニメ・マンガで地域振興

山村高淑(東京法令出版)

“クールジャパン”という名の下、日本のマンガやアニメが海外に輸出され、人気を博している。経産省は輸出コンテンツとして主に海外に目を向けているけれど、当のアニメやマンガは、もっと小さな、けれど大切な活気を作品の“地元”に提供している。アニメやマンガを用いた観光のあり方=コンテンツツーリズムと呼び、それは「地域や場所がメディアになり、そこに付与されたコンテンツ(物語性)を、人々が現地で五感を通して感じること。そして人と人の間、人とある対象の間でコンテンツを共有することで、感情的な繋がりを創り出すこと」を意味する。

埼玉県鷲宮の「らき☆すた」、宮城県白石市の「戦国BASARA」、長野県上田市の「サマーウォーズ」の3作品を取り上げ、作品のモデルとなった場所を“聖地巡礼”することによる観光効果と観光化する際に考えるべき点を解説していく。本書が定義付けたコンテンツツーリズムの考えをサッカーに置き換えると、ホームスタジアムでサッカーという熱いドラマを五感で感じながら観戦し、周りのサポーターと感情的な連帯を持つこと、となる。海外サッカーのサポーターたちにとって、勝敗やプレーを重要視しながらも、サッカーと愛するチームはもはや自分の人生とほぼイコールなのだ。ファンにとっての聖地としての価値を高めること、それに見合う愛を交換しあうこと。それが必要になっている。

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幅 允孝(はばよしたか)

BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。
国立新美術館ミュージアムショップのスーベニアフロムトーキョーやTSUTAYA TOKYO ROPPONGI、LOVELESSなどにおける本のディレクションや、d-labo(スルガ銀行ミッドタウン支店内)などのライブラリー・ディレクションを手掛ける。ほか、編集、執筆、ディストリビューション等、本周りのあらゆる分野で活動中。最近では、渋谷のSHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS、銀座のHANDS BOOKSがオープンしました。
BACH : http://www.bach-inc.com

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