背中押します。あなたの「サッカーの夢」を叶える本。

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超スター選手になってお金持ちになったら、どんな楽しいことがあるんだろう。

  • ATELIER BY NIGO
  • 東京高級住宅地探訪
  • ギャラリーフェイク
  • 小さな森の家―軽井沢山荘物語
  • Over the Top: Fifty Years of Fantasy Gifts From the Neiman Marcus Christmas Book


選書 幅 允孝(ブックディレクター)

Profile

ATELIER BY NIGO

NIGO(マガジンハウス)

ファッションブランド「A BATHING APE」のファウンダーにして、クリエティブディレクターのNIGO(ブランドは2011年に香港の企業へと売却)。“裏原宿”というスタイルを代表するブランドであり、本人もそのアイコンとなった。そんな彼は今やデザイナーや音楽プロデューサーとしてよりも、デザイングッズのコレクターとして知られている。「Casa BRUTUS」に連載したコレクション・カタログに、本人が撮り下ろしたアトリエの写真で構成された本書は、そのコレクションの“ごく一部”を収録している。アート作品から特注品、オリジナルカスタマイズなど1点ものから、愛するスター・ウォーズグッズ、大量生産品のおもちゃや映画ポスターまで、圧倒的な物量と存在感。流行りモノより伝統や職人の技術を愛し、カッコイイという響きに弱いところを見せる素直さが、お金持ちの嫌味を通り越して清々しさすら感じてしまう。正直、いったいいくら使ったらこんなに揃えられるのかと勘ぐってしまうのだけれど、こうした贅沢な遊びが支える文化と若者たちからの憧憬の眼差しがあるのも確か。スター選手になったら訪れるかもしれないそうした巨大な余白を楽しみに、ひとつひとつのプレーを輝かせてみてはどうだろうか。金箔のスパイクとかで。

東京高級住宅地探訪

三浦展(晶文社)

今年2013年、日本の高級住宅地の代表、田園調布が分譲されて90年目、渋沢栄一の田園都市構想のスタートからは100年を迎える。本書は、様々な消費社会現象を研究し、“ファスト風土化”や“下流社会”という造語を生み出したマーケティングアナリスト/消費社会研究家の三浦展による、東京の高級住宅地をめぐるエッセイ集。
田園調布を始め、東京の西側に広がる成城、山王、洗足、奥沢、桜新町、荻窪、常盤台などなど、現在の視点で言えばどこが高級住宅地と思うかもしれないエリアまで含んでいるが、今は失われた家も多いとはいえ、そこには広い庭、手入れのされた植栽、堅牢な母屋や門構えのある家が残されている。それらは中心部の狭く環境の悪い土地ではなく、健康的な生活を送るため、風が通る広い敷地の高燥な場所を求める声に応じ、戦前に分譲されたものだ。ロンドンやカリフォルニアをモデルに構想された田園都市には、全盛期の長嶋茂雄や石原慎太郎が住むことで、社会的に一等地というイメージを全国に印象づけたと著者は言う。成城は石原裕次郎と三船敏郎の映画スターによって。人生で一番高いの買い物と言われる、家。この本を読みながら、理想の土地と一軒家を夢見てみるのも楽しそうだ。

ギャラリーフェイク

細野不二彦(小学館)

大企業やお金持ちの税金対策、投資目的として利用されるのが、アート作品。イブ・サンローランのように、芸術を愛し収集し。自分の作品へと昇華させる人々もいれば、映画「ハーブ & ドロシー」の二人のように、サラリーマンの月給の中から真に自らが愛する作品だけを生涯をかけて集める人もいる。
元NYメトロポリタン美術館のキュレーター兼修復家で、贋作専門のギャラリーである「ギャラリーフェイク」のオーナーである藤田玲司。世界中で横行するアート作品を使った犯罪や悪意ある中傷、権威の傘をかぶり美術品への愛のない美術関係者たちを蔑んでいる。学歴コンプレックスや美的センスのなさから、見栄のために美術品を求める人間には贋作を高額で売りつけ、純粋に作品を愛する人間には数億のものを数万円で譲りもする。世界の社会問題、時事問題を絡めながら、美術を語るに留まらず推理ものやギャグマンガの要素も取り込み、この作品自体名作との呼び声も高い。突如としてお金持ちになった人の税金対策のため、美術品を薦められることも、買うこともあるかもしれない。自分がその作品を好きである、ということが買う第一の理由にならなければ、決して捨て切ればないその作品がニセモノである可能性が頭をかすめ、いつも不安とともに作品を眺めなくてはいけなくなってしまう。そうならないためにも、藤田の厳しい審美眼とアートへの愛を確認してみては。

小さな森の家―軽井沢山荘物語

吉村順三(建築資料研究社)

夏の間だけ茹だるような暑さを避け、ゆっくりとした時間を過ごすための別荘。お金持ちの象徴のような“別荘”という響きだが、道楽として建てられ、ほとんど使われず手入れがなされない家は、簡単に寂しさの象徴に反転してしまう。
1963年、建築家吉村順三(1908~97)が、浅間山の麓に建てた別荘建築の傑作「軽井沢の山荘」。アントニン・レーモンドの事務所勤務時代から軽井沢で長く時間を過ごし、知人の紹介で手に入れた土地は、“川が流れる水音はするが、その姿は隠れてよく見えないほど木の繁った森、木漏れ日の美しい静かな”場所だった。その土地を訪れ“空を見上げて、樹々の緑が目に入った時、この樹の上で、鳥になったような暮らしのできる家をつくろうと思いついた”という。そうしてできた家は、コンクリート造の1階と木造の2階からなる、細部まで気配りがなされた、あまりに気持ちのいい空間になっている。高価な材料を使うのではなく、“自然の材料を切ったり、削ったりしたものを素材そのままで”使い、“ワックスがけも塗装も”していない。すべて自然のままで“どこをとっても何一つ同じものが”ない。高価で贅沢な家を作るのではなく、ここで過ごす時間、経験が何よりよいものになる家を造ること、言葉にするほど簡単ではないとは思うのだけれど、それが本当の意味での贅沢なことなのかもしれない。

Over the Top: Fifty Years of Fantasy Gifts From the Neiman Marcus Christmas Book

Burt Tansky(Assouline)

アメリカの高級デパート「ニーマン・マーカス」をご存知だろうか。NYのバーグドルフ・グッドマンもニーマン・マーカスの傘下だと言えば、その規模が分かるかもしれない。それくらい大きな企業である、そのニーマン・マーカスが、毎年クリスマスシーズンに発行しているカタログがすごいのだ。様々なテーマに分かれているのだが、カップル間で贈ることをテーマにした「彼と彼女向け商品(his and hers)」というページに掲載されているプレゼント商品は、想像を優に超えるようなサプライズに溢れている。プロペラ機からラクダ、飛行船、お菓子におまけとして入った18K指輪、ダイナーまるごと1軒、潜水艦、宇宙旅行、別注のフェラーリやマクラーレンなどなど、一般人がどうやっても購入できないような品物が、これでもかと目の前に現れる。
本書は、そうしたニーマン・マーカスが50年以上に渡って作り続けてきた、クリスマスギフトカタログの中から、選りすぐりのファンタジックな商品を集めたもの。ここまで現実味を持たないと、私たちは呆気にとられ、目眩しながらも覚めた目で見てしまう、でももし、メッシやC・ロナウドレベルの超お金持ちになってみたら、突如としてこの本の意味が変わるかもしれない。ボタンひとつで買ってしまう、アマゾンのような存在に。

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幅 允孝(はばよしたか)

BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。
国立新美術館ミュージアムショップのスーベニアフロムトーキョーやTSUTAYA TOKYO ROPPONGI、LOVELESSなどにおける本のディレクションや、d-labo(スルガ銀行ミッドタウン支店内)などのライブラリー・ディレクションを手掛ける。ほか、編集、執筆、ディストリビューション等、本周りのあらゆる分野で活動中。最近では、渋谷のSHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS、銀座のHANDS BOOKSがオープンしました。
BACH : http://www.bach-inc.com

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