背中押します。あなたの「サッカーの夢」を叶える本。

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心と体を整える具体的な方法を教えて下さい

  • 私の身体は頭がいい
  • 骨盤にきく 気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門
  • 始めよう。瞑想―15分でできるココロとアタマのストレッチ
  • 脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める
  • 呼吸の本


選書 幅 允孝(ブックディレクター)

Profile

私の身体は頭がいい

内田樹(文藝春秋)

フランス現代思想や武道論を専門に、2011年の退官まで神戸女子大学で教授をしていた内田樹は、自らを“「余暇に武道の稽古をしている大学教師」というより「生活のために大学教師をしている武道家」”であると語る。この本は、大学で合気道の指導も行っていた内田が、様々な媒体に寄せた身体論、武道論をまとめた1冊。
武道が、敵に勝利するための方法論であるにも関わらず、その技術的完成の内に、戦うべき敵を忘れることや勝つべき自己を失うことを含む“自己否定性”があり、人々はそこにある種の“叡智”を直観して惹かれるのではないかと内田は考えている。“対立するものを対立したまま両立させることが「術」である”という、師であり、友人である武術家、甲野善紀の言葉を内田は次のように言い換える。“自由であるが、ある種の秩序の内側にいること”、そして“あたかも未来がすでに決定しているかのように「決然と動く」ということと、運動の方向や速度を最後まで未決定のまま「ためらいながら動く」”ことだと。そして、その矛盾に応えることこそが、運動の最適精度を維持するためには必要になる。当然ながら、武道は点だけで勝敗が決まるサッカーとは違う。けれども、内田の言葉には、最高のパフォーマンスのための身体操法や、相手(敵も見方も)とのコミュニケーションをとるための身体知の精度を格段に上げるための視点がたくさん詰まっている。

骨盤にきく 気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門

片山洋次郎(文藝春秋)

心を整え、落ち着かせるために必要なのは精神的なケアばかりではない。整体によって体の歪みを調節することで、驚くほど心にも効いてくるのだ。20歳台半ば、自身の腰痛をきっかけに整体に出会い、野口晴哉による「野口整体」の思想に触発されながら独自の整体法の技術を作り上げた片山洋次郎。片山は“骨盤にはその人の身心の勢い=体力・意欲が正直に現れる”という。例えば、骨盤はテンションを高めていく時に縮み、休みたい時に開く。そうした頭の働きを決めるのが骨盤である以上、“人間の本質的な集中力は、骨盤から生まれ”てくる。
片山がユニークなのは、こうした考え方以上にその整体方法にある。彼はバキッと音を鳴らして歪みを矯正するのではなく、歪んでいる方向に力を加え、そこから戻ろうとする反作用を利用して“ゆるめて”いくのだ。病気は、体の異常を訴えるシグナルであり、治すものではなく通過させるものだという野口整体同様、無理やり矯正するのではなく身体が自ら治そうとする“はたらき”そのものに働きかける片山式整体は、自分の身体のポテンシャルをもっと信じていいのだと思わせてくれる。リラックスするための“うん呼吸”や頭蓋骨の調整法など実践的な方法もイラストとともにかわりやすく解説されていて、すぐに実践できるのがいい。

始めよう。瞑想―15分でできるココロとアタマのストレッチ

宝彩有菜(光文社)

瞑想は、禅やヨガなどとも関係の深く、古来から心を整える方法のひとつ。とはいえ、スピリチュアルなものはどうも苦手という人はたくさんいるだろう。宗教心のある人や洗脳された人だけのものだと考える人もいるかもしれない。そんな考えをわかった上で、著者の宝彩は瞑想を科学として捉え、その方法論と効果を解説している。
瞑想の一番のポイントは“何も考えないこと”。いわゆる“空”や“無”の状態になること。そのために頭にとって最も優先順位が低い、マントラと呼ばれるあまり意味を持たない言葉の連なりを頭の中で唱え、あえて雑念を呼び出して次々とそれを棚上げして次の雑念へと移行していく。そうして浮かんでくる雑念を棚上げしきった状態が“空”の状態。
瞑想がもたらすのは心の平穏ばかりではない。羨ましいこと、不快なこと、嬉しいことに対して無意識に浮かぶ考えや感情を見過ごさず、つぶさに観察する“観照”という技術。あたかも、もうひとりの自分が自分を冷静に見つめるような視点を獲得するその技術は、行き詰まった頭に新しい考えをもたらしてくれる。瞑想は超越的な何かを信じるということではない。自分の思考の流れを意識し、空っぽにするとても真っ当な心を整える“技術”なのだ。

脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める

築山節(日本放送出版協会)

生まれてから何十年と付き合ってきた自分の頭を一瞬にして良くするというのはさすがに無理な話し。ただ誰しもが明晰で深みがあり、回転の早い頭脳に憧れを持っているだろう。一部の天才を除き、そうした頭のいい人、仕事のできる人というのは、どうも日々の習慣から成り立っているようだ。だからこそ、習慣を変えることは脳を変えることにもなる。
昨今流行した脳トレは、脳の司令塔でもある前頭葉を鍛えるものだった。入力された情報を記憶と組み合わせ、思考や行動を導き、体に命令を出していく前頭葉を鍛えることは、いわゆる頭の冴えをよくすることだといえる。ただ築山は、状況を素早く判断する前頭葉のテクニックよりも、そのための指令を出し続ける体力が現代人には足りていないと考えた。そこで必要になってくるのが、“雑用”。スポーツで言うなら筋力トレーニングやランニングに当たる雑用を日々積極的にこなすことで、思考すること、行動することへの煩わしさを減らすことができる。つまり日常的に“選択・判断・系列化”に慣れることが大切なのだ。日常のちょっとした雑用、例えば家事。すべてをパートナーに管理してもらっている男性アスリートも多いと思うのだが、料理、掃除、洗濯などなど、日常的なことを自らこなすことで、いつの間にかプレーの高速化、効率化に影響を及ぼすかもしれない。まずはできることから。

呼吸の本

加藤俊朗・谷川俊太郎(サンガ)

呼吸は、生きている人間なら誰しも絶対にしていること。しなければ死んでしまう呼吸なのに、いやむしろ、当然すぎるからこそ意識していない人がたくさんいるのではないか。もちろん自分も意識していなかった側の人間。呼吸は、酸素を吸い込み、二酸化炭素を吐き出すという純粋に科学的な活動以外にも様々な側面を持っている。本書では、日常のミクロなこととマクロな宇宙とを軽々と言葉で結びつける詩人の谷川俊太郎を質問者に迎え、呼吸が導く奥深き世界を、軽やかにかつシンプルに解説してくれている。
深呼吸に代表されるように、一般的な呼吸はまず大きく“吸って”から“吐く”というものだったのだけれど、加藤式はまず“吐いて”から“吸う”。“吸う”は“ためる”“独り占め”“執着”することであり、“吐く”は“執着を取り払う”“心を浄化する”こと。大事なのは理想を掲げないこと。あまり一生懸命にもならず、ちょっとだけでもいいから毎日できる範囲でやること。
臍下約9センチにある丹田を意識し、自分の中心/軸をつかむことで、物事に動じない、ブレない自分を作ることができる。声を出すことは息を吐くこと。練習や試合以外では心静かにしようと黙るのではなく、例えばカラオケにでも行って、あえて声を出すことも大切なことのようだ。

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幅 允孝(はばよしたか)

BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。
国立新美術館ミュージアムショップのスーベニアフロムトーキョーやTSUTAYA TOKYO ROPPONGI、LOVELESSなどにおける本のディレクションや、d-labo(スルガ銀行ミッドタウン支店内)などのライブラリー・ディレクションを手掛ける。ほか、編集、執筆、ディストリビューション等、本周りのあらゆる分野で活動中。最近では、渋谷のSHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS、銀座のHANDS BOOKSがオープンしました。
BACH : http://www.bach-inc.com

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