いま、鹿島市にいます。

竹田聡一郎コラム 日々是蹴球

カメラ/FinePix S100FS 提供/富士フイルム株式会社

竹田聡一郎(たけだそういちろう)

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第百九十試合

スルガ杯2012のボール

日本伝統俳句協会の季題に追加されたとの噂もある(噓)真夏の国際タイトル、スルガ杯こと「スルガ銀行チャンピオンシップ2012」が、今年は鹿島スタジアムで、チリのウニベルシダ・デ・チリを迎えて開催される。

毎年、ブラジルやアルゼンチンなど南米の強国から名門クラブがやってきて、ナビスコ王者との真剣勝負を繰り広げるワケで、写真のように素行のあまりよろしくないサポーターもやって来て、なんというかけっこう、いや、かなりマジなのだ。日本でこんな光景を見ることができるようになったのは嬉しくもあるのだが、去年なんかは地球の裏側からはるばるやってきたのにジュビロに屈したインデペンディエンテのインチャ(サポーター)が、発煙筒は炊くし、モノは投げるし、掛川の街で遅くまで騒ぐし、やりすぎ感が漂った。

今年は大丈夫なのだろうか、と鹿島OBであり、なんとチリまで潜入取材を敢行した名良橋さんに聞くと、「いや、おそらくヤバいです。そんなに大きな街じゃないし、割と市民もおとなしくていい人が多いから……大丈夫かな、鹿島」と不安げだ。そしてやはり今年も南米はマジだという。

「サンティアゴを鹿島のジャージ着て歩いてると声かけられるんですよ。ガタイいいヤツらに囲まれて『お、スルガだな、絶対、負けないからな』って。スルガ杯のことも鹿島のこともみんなちゃんと知ってるんですね。やっぱり彼らは国際タイトルというものにものすごいこだわりを持っていて、選手も欧州をはじめ、Jリーグやアジアのチームにアピールできると思っているのでしょう。ものすごくモチベーションが高いですね」

さらに名良橋さんに展望も聞いてみる。鹿島としてはケアする選手は? という質問には、

「エレーラという攻撃的というか、攻めるように守るスタイルのGKは厄介です。中盤にはディアス、アランギスという高いテクニックを誇るプレーメーカーがいて、トップにはエンリケスというスピード豊かな爆発力を持った若者が張っている。彼らには要注意ですね。センターラインがしっかりしている印象を受けます」だそうだ。

では具体的に鹿島がケアするのは彼ら中央の危険人物かといえば、必ずしもそうではないという。

「おそらく向こうは3トップを敷いてきます。サイドのダイゴ(西大伍)とイバちゃん(新井場徹)が、それぞれの持ち場で11で勝負できることがカギになってきます。つまり11で劣勢になるとボランチやCBがフォローのために釣り出されてしまう。そうすると中央が手薄になって、そこからやられてしまう。サイドの11をしっかり制す。あるいはサイドの選手にいい形でボールを持たせないように、供給する出し手に厳しくアプローチをかけていくことが求められます」

オフェンス面はどうなのだろう。

「ウニベルシダ・デ・チリというかチリのチームは伝統的にかなり縦への意識が強いんです。そのDNAとポゼッションをサンパオリ監督は融合させ、攻撃型のチームを完成させました。1試合で6点とか取ってますからね。ただ、そのぶんリスクも要所で背負っているわけです。例えば最終ラインが非常に高い。スピードという点では鹿島の2トップ(興梠慎三、大迫勇也)に分がありますので、裏に抜ける動きがかなり有効になるでしょう。飛び出す時間さえドゥトラやミツオ(小笠原満男)、ヤスシ(遠藤康)ら中盤で作れば、ハマって23点取ることも十分に可能です」

最後にスコア予想を聞いてみる。

「予想というか願望に近いですけど、まずはウニベルシダ・デ・チリが電光石火で先制する。そこで危機感を抱いた鹿島が仕掛けまくって3点を取る。そんな3-1が観たいですね。いずれにしても熱くタフな試合になることは間違いないでしょう。鹿島スタジアムでお会いしましょう!」

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竹田聡一郎(たけだそういちろう)

1979年神奈川県生まれ。同い年の小野伸二にヒールで股抜きされたことを妙な自慢としながら、フリーランスのスポーツライターとして活動。戦術やシステムを度外視した「アンチフットボールジャーナリズム宣言」をして以来、執筆依頼が激減したのが近年の悩み。著書に蹴球麦酒偏愛清貧紀行『BBB』(ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅/講談社文庫)と、このコラムを書籍化した『日々是蹴球』(講談社)がある。

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