サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

様々な広告を手がけるアートディレクター/クリエーティブディレクター徳田祐司は、サッカーの力を信じ、デザインを通じて世界とコミュニケーションをとろうとしている。同時に日本サッカーを盛り上げるのは、我々が腕立て伏せをすることだともいう。広告的マクロから筋トレ的ミクロまで、その可能性を探る。

サッカーの力と可能性を信じ始めた「The other final」

サッカーは高校時代から部活で始めて今でも続けているのですが、そのポテンシャルを信じ始めたのは、仕事で出向したオランダのクリエーティブエージェンシーのケッセルスクライマー時代です。オランダはご存知のようにサッカーがとても盛んな国です。5、60歳超えのおじさんたちが本気でサッカーやっているんです。怒鳴ったり、喜んだり、怒って途中で帰っちゃったり(笑)。そんなオランダ人で、ケッセルスの代表ヨハン・クライマーのサッカーに対する愛とビジネスが結実したのが、「The other final」という映画でした。2002年6月30日、日韓ワールドカップ、ブラジル対ドイツの決勝戦の6時間前、FIFAランキング202位のブータンと最下位203位のモントセラトで世界最下位を決める「もう一つの決勝戦」の試合のオーガナイズとそのドキュメンタリー映画を作ったんです。このプロジェクトは、“ボール一つで友情をつくる”というサッカーが持つ最も偉大な力をテーマに始めました。
何と最初にこのプロジェクトに賛同してくれたは、ロベルト・バッジョなんです。当時の移籍マネーゲーム的な状況で、「サッカー本来の楽しさや美しさをこの映画が見せてくれるだろう」って言葉をいただいて、もう、うれしくて大騒ぎですよ(笑)。最終的には、ブータン国王から感謝状ももらいました。僕にしてみたら仕事の延長だったんですが、サッカーが非常に強い絆を作れるんだと知りました。直球ですが、「サッカーってなんて素晴らしいんだ!」って(笑)。サッカーの持つ夢を実現できた瞬間でした。

サッカーとコミュニケーションデザイン

サッカーの力を知ったのが仕事からでした。デザインとか広告、コミュニケーションに関わる人間が、スポーツというカルチャーにアプローチできるって知っちゃったんですよね。以前川淵キャプテンと「DREAM」の仕事でご一緒した際、プロサッカーチームが果たすべき役割をいろいろ聞いたんです。チームが強いと地域が盛り上がり、地域が盛り上がると子供たちが集まる。子供たちが集まると新しい才能が生まれる。そうすると・・・っていう循環ですね。その話の後、自分が関わったプロジェクトが、福島の東京電力TEPCOマリーゼっていうチームなんです。東京電力は、その地域のコミュニティとの共栄をとても大切に考えている。そこで東京電力に女子サッカーチームのトータルディレクションを頼まれました。デザインの力でチームを盛り上げ、地域をまとめること。そしてJリーグ、お兄さんのお下がり状態だった女子サッカーを、女の子が憧れるものにしようと考えました。最初の試合で街中が水色一色でキレイに団結していて、観客動員数も2位とかで。自分がサッカーカルチャーに対してほんの少し貢献できたかなと嬉しかったですね。

これからのサッカーに僕らができること

オリンピックでのいいとこなしの3戦全敗。他のスポーツと同じようにやっとサッカーも世界と渡り合えるところにきていたなかで、あぁやっぱり世界と渡りあえないんだってなってしまった。もちろんそんなことはないと信じてるんですけど、あの試合のあの期間に関しては、日本で観ている人たちに日本はまだだめなんじゃないかって雰囲気を植え付けてしまいましたよね。そこで提案したいのが、信じる気持ちと筋トレです。自分が所属するフットサルチームのメンバーが「負けたら腕立て。僕たちが腕立て30回やることによって、日本代表は強くなる。地続きである!」と言ったんです。ただ代表に文句を言うのではなくて、まず僕たちが強くなる。強くなった僕が試合で点をとったら、それを見ただれかが俺もがんばろうとさらにうまくなる。そうやって繋がっていって、5人目、6人目には日本代表にまで届くんじゃないかって。筋トレが無理なら信じること。信じるという最強の応援をすること。彼らを決してあきらめないこと。それが彼らを突き動かすんだと思います。

徳田祐司 プロフィール

徳田祐司(トクダユウジ)

徳田祐司プロフィール

クリエーティブディレクター/アートディレクター
武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業後、電通に入社。広告賞受賞多数。01~02年オランダ・アムステルダムのクリエイティブエージェンシー、ケッセルズクレイマーに在籍。07年6月に独立し、コミュニケーションデザインカンパニー・カナリアを設立。独自にpeace design project『retired weapons』を展開中。

ページの先頭へ