サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

豊富な知識に裏付けされた的確な実況と遊び心あるコメントで、コアなサッカーファンから初心者まで絶大な信頼を集める倉敷保雄。実況した試合数は優に1000を超えるというサッカーの伝道師とも言える。伝える側から見たサッカーとは。

サッカー、その魅力とは?

日本だとサッカー(蹴球とも言いますが)、海外ですとfootball、そこから派生したfutbol、futebol、calcioなど、全てワンワードというのがその性質を表していると思います。単純で、それゆえ世界のどこに行っても通じる。そして、どの国、どの町のバーやカフェに行ってもサッカーの話題があれば、誰とでも話が出来ます。さらに友達になれるかもしれない。こういったスポーツはサッカーをおいて他にないです。先ほど単純と言いましたが、ルールも単純です。でも、それゆえ非常に奥が深く、色々な見方ができる。僕はアナウンサーとしてサッカーを伝える側の人間ですが、決して正解は一つではない。禅問答風になってしまうこともありますが、正解もないし、間違っている事もない、あやふやなスポーツ。例えば“オフサイド”というのは、ルールの解釈にすぎない。レフリーの解釈、その時代の解釈。競技として非常にあやふやな部分を含めて楽しむことができる。それゆえ、無限の可能性を秘めているところもその魅力ではないでしょうか。

世界のサッカーを伝えて行くということ

今シーズン、海外のリーグですと、インングランドプレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、イタリアセリエAを担当しています。よく言われることですが、各国、各リーグによって特色があります。当然その特色は頭には入ってますが、特にそれを強調しようとは思ってはいません。でも、例えばプレミアムリーグですと、細かくパスを繋ぐのではなく、ロングボールを多用する。パスを出す選手、受ける選手の名前を伝えていくだけでも、自ずとそのリーグのもつ“リズム”が出てくるものです。応援をはじめとする会場の音声と合わさって、そのリーグの特色は伝わると思います。実況するにあたっては、初めて見る人を常に念頭において話しています。  また、サッカー以外の話題も取り込むようにしています。サッカーは色々な解釈ができるし、入り口は無数にある。プレーから想起される映画、音楽、食などを差し込むことにより、色々な“フック”ができる。それによって、サッカーから世界が広がる、また、違った魅力に気づくことができる。「こんな見方がありますよね」「こういう風に楽しんでは?」という視点を多く持っていただけるよう心がけています。また、今年からはJリーグの中継を担当することが増えました。やはり現場に行くと色々な発見があります。見えすぎてしまうこともありますが(笑)。

サッカー人として究極の夢

もし、サッカーに関する事で夢が一つかなうとすればサッカー専門の放送局を作りたいですね。サッカーは私に大きな恵みを与えてくれたと感謝しています。沢山の素晴らしい人にも出会えましたし、面白い仕事も数多くやりました。

様々な国に連れて行ってもらいましたし、そこでしか出来ない貴重な経験ももらいました。恩返しというと偉そうですけど、自分が今まで培ったものを活かすという意味でも、サッカーだけを流す放送局を作りたい。実況、解説はもちろん、カメラワーク、カット割、音声など総合的に高いレベルで行い、もっともっと面白い中継ができる自信はあります。Jリーグの中継で地方に行くと、サッカーが大好きで優秀な人が現場にはいます。試合の流れが読めて、的確な映像をとらえる。そんな人たちを集めて実現できたら最高ですね。

倉敷保雄 プロフィール

倉敷保雄(クラシキヤスオ)

倉敷保雄プロフィール

1961年大阪生まれ。

スカイパーフェクTV!、J SPORTSを中心に各国のサッカーの実況をつとめる。愛称はブラジルで名選手という意味のクラッキと倉敷をかけたクラッキー。豊富な知識と的確な解説、試合の綾を伝える反射神経は名手そのもの。NHKアナウンサー山本浩氏との共著の『実況席のサッカー論』(出版芸術社)などサッカーに関する著書も。

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