サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

「ニュースステーション」に始まり、「紅白歌合戦」、「たけしの本当は怖い家庭の医学」などの放送作家として活躍する関秀章。テレビにおけるサッカー黎明期を支え、「静岡カップ」のプロデュースも手掛けたテレビ界のサッカー相談役が語るサッカーとの絆。

日本代表にかけた想いとお金の重さ

70年、初めて見た日本代表のアーセナル戦から、最近のバーレーン戦まで、国際Aマッチはおそらく88試合は見ています。世の中にはそれ以上に観ている人もいると思うのですが、おそらくそれは記者さんとか仕事の人だと思うんです。でも、僕は全部自腹で観てきました。移動費などを含めると、これまでポルシェ2台分くらいは使っていますね(笑)。阪神ファンと同じで、日本代表には、ダメな子はかわいいという歴史があります(笑)。国立がガラガラだったころからしょっちゅう行っていましたからね。

引き分けを肯定することの大切さ

サッカーには引き分けがありますよね。引き分けって、日本人は苦手なんですよ。でも、日本人がこれから海外でやっていくポイントなんじゃないかと思うんです。白黒はっきりする野球と相撲ばっかりで育ってきたなかで、そうではなく、引き分けで勝ち点を稼ぐという考えを僕はサッカーから学びました。テレビの仕事をやってると、視聴率が悪くて打ち切りがあるわけです、それはつまり負けですよね。

僕らフリーの仕事は、続かなければギャラが入らないし、視聴率が良くなったからといってギャラが上がる訳でもない。だから続くことは大事なんです。W杯予選、引き分けでブーイングされますけれど、いいんですよ引き分けも。少なくとも勝ち点は入る訳ですから。自分がやった番組「ふたりのビックショー」や「ポップジャム」、「たけしの万物創世記」が長く続いた秘訣ですね。

運命のロックンロールなサッカーライフ

96年3月、オリンピック最終予選が、クアラルンプールのシャーアラムスタジアムでありました。川口のスーパーセーブと前園の活躍でサウジアラビアに勝ったのですが、一緒に行ったセルジオ越後の肩で大のオトナが20分泣きました。この試合は、今までのサッカー人生で最高の瞬間でしたね。ホテルに帰って、朝までパーティー。サッカーの青春時代でしたね。そしてオリンピック本番、7月20日、マイアミのオレンジボール、ブラジル戦に行く訳です。中学校時代にロックに出会って、一時サッカーと離れたこともあったんですけど、その後、その二つが人生の両輪としてありました。それでブラジル戦、会場がアメフトのスタジアムだから、PAがでっかい音でロックを流すんです。忘れもしない、僕が大好きなローリングストーンズの「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」と「ブラウンシュガー」がかかって、思わず泣いていました。僕のこれまでが結びついた瞬間でした。ものすごい気持ちよかった。世界最強ブラジルに0対0で、ローリングストーンズが流れるなんて、僕のための試合かと思いましたよね。その後、日本に帰ったら、家を建ててくれた大工さんの家で犬が生まれたから観に行くことになって、犬嫌いだったんですけれど、7月20日生まれだと聞いた瞬間にもらっていました。決めた!名前はアトランタだ!って(笑)。

日本はユーロに加盟すべし!!

これは、いちサッカーファンとしての夢ですが、今後、日本はユーロに入るべきだと思うんです。というのも、W杯を見てきて、このままでは日本は、予選ばかりで強豪国と試合ができない。今、経験値が必要なんです。イングランドとかスペインとかとガチンコの勝負をするには、ユーロに参加するしかないんですね。W杯は最悪出られなくてもいい。地理的な問題でいえば、樺太と稚内の間でロシアと国境が接していて、北方領土は揉めているくらいなわけですから、可能ですよね。キリンカップみたいなエキシビションではない、本気で強豪国と戦える舞台が必要なんですね。93年「Jリーグ A GOGO!!」という番組をテレビ朝日で始めました。これが日本初のサッカーレギュラー番組でしたが、Jリーグができて15年、日本にも歴史ができてきたなかで、人物伝をやるというのが、今のテレビマンとしての夢です。一番好きな選手は、生涯ジョージ・ベストなんですが、彼が亡くなって、祖国北アイルランドで切手やお札ができたという話しを聞いて、そういう人の人物伝はおもしろいだろうなと。大好きな佐野眞一さんが書いているノンフィクションのような番組を作りたいですね。

関秀章 プロフィール

関秀章(セキヒデアキ)

関秀章プロフィール

放送作家。1957年東京滝野川生まれ。 中央大学卒業後、CMプランナーを経て、「オールナイトニッポン」で放送作家に。「ニュースステーション」「紅白歌合戦」構成のほか、ラジオDJ、テレビコメンテーター、コラム、小説なども手掛ける。現在、「たけしの本当は怖い家庭の医学」(テレビ朝日系)など担当中。

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