サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

カフェ、ギャラリー、本屋、雑貨屋、学校など様々な場所で、古今東西の映画を上映するシネクラブ【キノ・イグルー】の有坂塁は、19歳までほとんど映画に関心のないサッカー小僧だった。プロを目指し、サッカーの専門学校にまで行った彼のサッカーと映画を巡る思いとは。

自分の基礎はサッカーにある

兄弟に双子の哲(てつ)という兄がいて、昔からずっと一緒にサッカーをやっていました。一緒に小学校4年生で始めて、中学校まで同じチーム。高校からは僕の学力不足が祟り、別の高校になってしまいましたが(笑)。でも、結果として別々のチームになったことが今の自分を作ったと言えるかもしれません。一緒にいることで自分の甘えも含めて、上にいけない感覚を覚え始めた時期でもあったんです。そんなとき、自分が行った高校のサッカー部があまり真面目ではなくって、でも腐らず自分だけでもやろうと続けていたら、周りが感化されてきて全員で頑張ろうという体制に変っていったんですね。そういう経験があったから、今に到るまで自分が好きなことを好きなようにやれているんじゃないかと思います。自力でやりきることの必要性を学んだというか。だから、間違いなくサッカーが今の自分の大本にはあります。

サッカーと映画の交代劇

中高どちらも都大会止まりでしたが、プロへの憧れもあり、サッカーを続けたくて、

一般にはあまり知られていませんが、サッカーの専門学校というところに行きました。
でも、高校3年生の後半にスポーツヘルニアになってしまっていて、卒業後1年間のリハビリ浪人などで結局満足の行くサッカーができなくなっていました。そして、サッカーが初めてまともにできなくなったその時期に、ある映画と出会ってしまったんです。当時の彼女に無理矢理連れて行かれた『クールランニング』というジャマイカのボブスレーチームのお話しだったのですが、それが自分でも何故かわからないのですが、ハマってしまい、それ以後映画に目覚めてしまいました。専門学校卒業後は、完全に映画漬けでした。映画好きの始まりがそうだったからか、サッカーをやってきたからか、今までもスポーツものには無条件にグッときてしまいます。

サッカー映画という期待値(の低さ)

サッカー映画と聞いた時点で、ほとんど期待できないと思ってしまうほど、いい映画が少ない。そんな中、サッカー映画で一番好きなのは、『オフサイド・ガールズ』というイラン映画。イランでは女性のスタジアム入りを禁止していて、でもワールドカップ予選をどうしても観たい女の子たちが必死に観ようとするお話しです。最後までプレーの映像は出てこないんですけれど、歓声とか雰囲気みたいなものが何よりもサッカーを語っていて、サッカーへの愛が伝わるいい映画でした。今、サッカー映画を撮ってほしい監督というと、イギリス人のケン・ローチですね。これまでも『マイ・ネーム・イズ・ジョー』や『ケス』を始め、ほとんどの作品にサッカーネタを入れています。今度公開される『エリックを探して』は、主人公の男がマリファナを吸った妄想でエリック・カントナに人生哲学を乞う、という破天荒な内容になっています。そうした映画もいいのですが、ケン・ローチには、ど真ん中プロを題材に撮ってみてほしい。そして、サッカー映画というジャンルへのこれからの期待値を上げてほしいですね。

有坂塁が選んだベスト11

若手育成のためのベスト11

FCカントナ:カントナによる若手育成のためのベストイレブン(主にU-26) 

有坂塁 プロフィール

有坂塁(アリサカルイ)

有坂塁プロフィール

全日本サッカー専門学院卒。シネクラブ「kino iglu」代表。「kino iglu」は、2003年、有坂塁と渡辺順也により設立されたシネクラブ。映画館、カフェ、ギャラリー、本屋、雑貨屋、学校など様々な空間で、世界各国の映画を上映。映画のイメージにあわせた、コース料理やデザート、ライブ、写真展、イラスト展なども開催し、作品から広がる世界を様々な形で表現している。

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