サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

98年、ファッションブランドSOPH.を設立。翌99年には架空のサッカーチームウェアプロジェクト「F.C.R.B.」を立ち上げ、ストリートにサッカーウェアというファッションアイテムを定着させた。ナイキが架空のチームにサプライヤーとして参加するという画期的なWネームも実現。サッカーをライフスタイルへと溶け込ませた最大の功労者、清永浩文のサッカー魂。

サッカー宿命論

フランスW杯があった98年にSOPH.(現在SOPHNET.)というブランドを始めて、6月に最初の展示会を終えたその足でフランスに飛びました。思えば、あの時は日本のサッカーが一番夢を見ていたときでしたね。94年のドーハを経て、次の日韓主催者枠でもない、実力で初めて出場するということに誰しもが興奮していました。ブランド立ち上げまでの96、7年と、日本代表が予選を勝ち抜いていく日々がリンクしていたというのも大きかったと思います。フランスでは、初めてW杯に生で触れて、その盛り上がりに単純に驚きました。祭典と呼ばれる理由を肌で感じた瞬間でしたね。その時ですね、自分が、次に来る日韓W杯で何かお手伝いしなきゃいけないという宿命を感じたのは。今でこそストリートでユニフォームを着て歩くなんてことが普通になりましたけれど、当時は皆無でした。だから、自分ができるファッションという分野からサッカーを盛り上げたいと思ったんですね。そしてスタートしたのが、架空のサッカーチームのウェアプロジェクト「F.C. Real Bristol」です。

自分がこれまでファッションからいろいろな知識や好奇心を刺激されてきたので、自分のブランドがサッカーを知ってもらうきっかけ作りになればいいという思いでした。

夢を語るなら動くこと

サッカー好きなら一度は考えることだと思うのですが、自分の理想のサッカーチームを作りたいと夢見ました。夢見ること、妄想することはタダなので(笑)。でも、もしそれを実現するとして、自分は何ができるのかと考えてみたら、もちろんスタジアムは作れない、チームも作れない、選手を育てることもチームがないからできない、でもチームウェアなら作れたんです。ブランド名のブリストルはイギリスの実在の地名なのですが、その街というよりも、“ブリストルミュージック”と呼ばれた深くて重い低音と沈鬱でタビーな音を鳴らしていた音楽ジャンルがイメージに合い、自分の中の世界観を伝えやすい言葉としてブリストルとつけました。夢を語って何もしないことってよくありますよね。ああなりたい、こうなりたいとか、服作りたいなーとか言うだけの人とか。じゃあ、作ればと思ってしまうんです。夢を叶えるために、できることから始めればいいだけだと思うんですよ。

人生と会社組織におけるフォーメーションとポジション

オランダのクライフが唱えた「美しく勝利せよ」というサッカー観は、ビジネスを含め自分のサッカー観の根っこにあります。僕は人生とか会社組織をサッカーに置き換えて考えるところがあるんです。これは自分がサッカーをすごく俯瞰的に、監督目線で試合を見てるということも影響していると思います。実際オフシーズンの動向とか大好きですし。

それで、今の自分の役割をポジションとフォーメーションで考えたり、現実とサッカーのトレンドをリンクさせてみたりするんですね。景気が良かった一昔前は、サッカーでいうアタッカーといったマンパワーが大事だったけど、景気後退の今はマンパワーよりも組織戦術が重要で、今のFCバルセロナやスペインのような中盤から組み立てるボランチサッカーが主流ですよね。だから、毎シーズン自分がどのポジションにいるか、なるべきなのか考えています。まぁ年々、年齢とともに後ろに下がってはきていますけれど・・・(笑)。バルサは、下部組織「カンテラ」での選手育成や一般市民の会員組織「ソシオ」などの経営術を見ていても、すごくおもしろい。自分の会社でも、ヘッドハンティングで引き抜くより、新入社員を自分なりに育てて働いてもらっていますし、そのほうが断然いいです。ただ、バルサが好きとは言っても、やはり本気で応援しているのはどちらも自分がスポンサードをしている、出身地の大分トリニータと住んで働いている東京のヴェルディなんです。今は日本代表よりも、もっと目に見えて、手の届く範囲で応援したい。だから一番理想なのは、我が家のあるFC世田谷ができること。もし実現したら、もう無茶苦茶応援しますよ。駒沢公園とか砧公園とか改装して芝植えちゃったりして。やっぱり、住んでる街には親近感と愛着が湧いてくるんですね。

ファンの総意が作り出す夢のサステイナブル・スタジアム

今は一時的にストップしているのですが、「F.C.R.B.スタジアムプロジェクト」というものがあります。スタジアム建設のためのスタジアムグッズを製作、販売し、その収益金を建設資金とするという“望まれてつくるスタジアム”をコンセプトとして活動していました。
土を掘っていって底をピッチにし、壁面に段差を作り客席にすることで、あらたに上物を建てずにスタジアムを実現できる。役割が終われば、掘った土で埋めれば元にも戻せるという、とてもサステイナブルなプロジェクトでもあったんです。これはこれからの変わらない夢でもあります。そして最終的にはやはり日本代表のユニフォームをデザインする。これが一番の夢ですね。必ず叶えますけど。

清永浩文が選んだベスト11

コミュニケーション重視のベスト11

現役Jリーガーによるコミュニケーション重視のベスト11
現役Jリーガーだけで日本代表を組みました。日本代表がベスト4を目指す(成績重視)のであれば、ほとんど一緒に練習することのない海外組やいろいろなチームから寄せ集めた選手でチームを作るより、クラブの成熟された関係の延長で代表を作り、レベルアップさせた方が勝つ可能性があると考えました。W杯のような短期決戦の場合は特にです。海外でも選手間の関係性が出来上がるのは、ベスト4くらいまでいった大会後半から。それでも勝てるほど個の力が強い海外を相手にする場合、日本が勝つには連携(戦術)が大事になってくるはずです。今、海外でも、代表よりも戦術がしっかりしているクラブチームの試合の方が面白いという現実がそれを物語っていると思います。ワントップの前田は昨年のリーグ得点王です。MF前3人は同じチーム(C大阪)に所属(家長は今季から)し、連携も出来ています。更に香川、乾は昨年大きく飛躍し、将来性も含めて起用しました。ボランチの遠藤、明神は共にガンバに所属。経験豊富で成熟したチーム(ゲーム)コントロールが出来、かつてガンバだった家長との連携もスムーズ。DFはFC東京(森繁は今季より加入)のラインで、DFは特に連携が重視されるラインなので同チームから。更にGK西川と森繁(共に前大分)の連携も問題なく機能すると思います。

清永浩文 プロフィール

清永浩文(キヨナガヒロフミ)

清永浩文プロフィール

今や東京を代表するブランド<SOPHNET.>、大手スポーツメーカーNIKEとの共同製作により展開する<F.C.R.B.>、08年よりスタートした

<uniform experiment>と、3ブランドを展開するSOPH.CO.,LTD.代表。常にスマートかつチャレンジングな戦略性で知られ、昨年までは設立10周年を記念した"SOPH. 10th Project"を実施し、今年はWCイヤーに向けてのプロジェクトも進行中。

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