サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

□□□(クチロロ)、CUBISMO GRAFICO FIVEのベーシストとして活躍する村田シゲ。これまで様々なバンドに所属し、ジャンルに縛られない音楽活動を続けてきた彼は、本人のユーモアに溢れる賑やかなキャラクター通り、ゲームから入ったサッカー観も観戦法もユニークなものだった。

中田とウィニングイレブンに導かれたサッカー

98年のW杯とヒデ(中田英寿)がペルージャに行ったタイミングくらいからサッカーを観るようになったんですけど、そこから先はもっぱらウィニングイレブン(ウィイレ)で深めていきました(笑)。だからゲームの存在はデカイですね。ミュージシャンでもウィイレ好きはほんとに多くて、ライブハウスを貸しきって大会をやったら、スキマスイッチのシンタ(常田真太郎)くんが優勝したなんてこともありましたよ。僕と同じように、ウィイレからファンになった人って多いんじゃないかと思います。仕事をするようになってからも、始めるとずっとやっちゃうわけですよ。このままやり続けたらマズイ、最近リハーサルで毎回寝てるぞ、となって一度売るんですけど、また気づくと買ってしまってるんです(笑)。なんと同じバージョンのソフトを3回買ったこともある(笑)。ウィイレを買うと、まず最初に5時間くらいかけて名前を入れ替えるんですよ。名前の使用許可が降りなかった選手たちの仮名を正式名称に。アルゼンチン(クラブチーム)のリーベルの控え選手って誰だよ!とか言いながら、「もしやこいつじゃないか?!」とかってググるわけです。でも、どうしても自分のプレースタイルとか楽しみ方が決まってきちゃうウィニングイレブンよりも、実際のサッカーの試合のほうが思いもよらないことを見られてやっぱり楽しい。ストイコビッチがベンチからボールを蹴ってゴールしちゃったことあるじゃないですか。あれはウィイレじゃできないですからね(笑)。

ハンパないプレーの数々

僕が好きになった時は、YouTubeで過去のスーパープレイが見れて、現在進行形でも日々生まれていく時代になってからで、それは幸せだったと思います。ウィニングイレブンのオープニングムービーで、ゴールとDFを背にインサイドでパスを受けて、そのままボールをゴール方向に出しながら自分はボールと逆側に一回転して前に出るというプレーがあるんですけど、これをベルカンプが過去に実際にやったプレーだと知った時は「すげぇ!こんなプレーが実際にできんのか。マジかよ」と素直に思いましたよね。ジーコが93年の天皇杯で見せた、飛び込みながらのヒールキックでループシュートを決めた時も、子どもながらに感動しました。おっさんなのにすごいって(笑)。もう一つ覚えているのが、ロナウジーニョがバルサ全盛の頃のチェルシー戦、ペナルティエリア直前で止まり、2、3回フェイントしてシュートモーションなしでシュートを打つプレーがあるんですけど、DFが誰もシュートに気づけなくて全員の時間が止まるんですよ。あれはなぜかすごく記憶にありますね。個人技で記憶に残るのは、そういうトリッキーなものなんですが、チームのプレースタイルは本能的に組織の方が好きみたいです。クリスティアーノ・ロナウド一人がいたら勝てるみたいなのは否定したいんですよ、ほんとは。だけど実際チームとしても強いじゃないですか。だから南アフリカのW杯は、ブラジルが優勝すると思いつつも負けて欲しいと思うところもあったんですよ。だって個人技や身体能力ばっかりを肯定しちゃったら、日本が絶対勝てなくなっちゃうじゃないですか。「kill the king」はマインドとして基本なので、勝てそうなやつが勝ってもおもしろくない。小さくても勝てるという意味では、優勝したスペインは好きでしたね。

サッカーチャットという観戦法

南アフリカのW杯はどの試合もほとんど朝まで観てました。各テレビ局さんたちのおかげで、この試合観なくてもいいんじゃないかみたいな試合まで(笑)。

W杯のドイツ大会からなんですが、自分が所属しているキュビズモグラフィコファイブというバンドのメンバー周辺がサッカー好きで、彼らとチャットしながら試合を観るというのが流行ったんです。10人くらいでやるんですけど、試合が始まる夜中の1時とか3時とかに、いきなり“フォン”ていうチャットのメッセージが届いた音がして、今から試合だねとかから始まり、ゴールが決まった時は「ウワー!」って文字が踊るんですけど、気づくといつの間にか大喜利状態になって段々試合が見れなくなってくるんですよ(笑)。前回のチャンピオンズリーグもチャットしながら見ていたんですけど、選手も、見てる僕らもガチ感がハンパないじゃないですか。選手たちも余裕がなくなって、ちょっと目を離すと一瞬でゴールが決まるような緊張感で、それはチャットにも伝わってくるので、その時はさすがに大喜利感はなくなってました(笑)。

レフェリー目線で試合を観る

『レフェリー』という映画のフライヤーをたまたま行った試写会で見つけて、サッカー好きな後輩と観に行ったんですけど、これがかなりおもしろかったんです。UEFA公認の映画で、ヨーロッパのベスト・レフェリーにも選ばれたことのあるハワード・ウェブが、前のW杯の時のポーランド戦でのジャッジが波紋を呼んで、ポーランドの首相から脅されるほどの事態になってしまったというのが大きなトピックになってるドキュメンタリーなんですね。映画の中で、レフェリーの口元に着けているマイクの声が使われていて、これを聞けるというのがすごくよかった。レフェリー4人のマイクが繋がっているんですけど、W杯だとレフェリーが国ごとにまとまりますよね。そうすると、国によって主審がすべてを牛耳っているのか、副審の意見に押されるタイプなのかとかがあるんです(笑)。あの映画観た後に本当の試合を観ると、映画に出てたあのレフェリーが笛を吹いてる!とかもあって、全体を通してサッカー好きにはたまらない映画でした。

ビックリしたのは、レフェリーが選手に「ごめん、さっきの違ったわ」みたいに謝るんですよ。すげーな、これ公開していいんだって。でも、サッカーってやっぱり人間で動いているんだなって思いました。これはサッカーをもっと好きになるきっかけにもなる映画ですよ。
 

村田シゲが選んだベスト11

南アフリカW杯、0トップなベスト11

今回の選抜ポイン卜は、ご覧の通り南アW杯で活躍した選手ですが、個人的に好きな要素・切り込む能力に長けた選手を選んでみました。そしてブスケツを除く中盤三人を前のめりにした0トップ気味の陣形、指揮するは勿論スパレッティでしょう。悪いハゲはいません。

村田シゲ プロフィール

村田シゲ(ムラタシゲ)

村田シゲプロフィール

1979年生まれ。三浦康嗣といとうせいこうとのユニット□□□(クチロロ)や松田岳二率いるCUBISMO GRAFICO FIVEのベーシストであり、LOW IQ 01、ノーナリーブスなど様々なアーティストのサポートでも活躍中。クチロロの名前の由来は、メンバーの友人が元サッカー日本代表のロペス選手を「くちぺす」といってしまったからだと言われている。

 
クチロロ
村田シゲ個人サイト

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