サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

日本フットサルリーグ「Fリーグ」に所属する10クラブのホームタウンの中でも、ダントツの盛り上がりをみせているのが大阪市だ。この街を本拠とするシュライカー大阪の若き事務局長は、斬新なアイディアを駆使して、フットサルとサッカーの垣根を軽々と飛び越えてみせる。

フットサルは理数系、サッカーは文系

フットサルとサッカーの最大の違いはピッチのサイズですね。ピッチが狭いフットサルでは一人当たりのボールタッチ数が増える。プレッシャーも強くなる。狭いところでボールを扱うためのより正確な技術が求められる。人数の違いって、実はあまり大きな問題じゃないんですよ。サッカーは不確定要素の強いスポーツですが、逆にフットサルは確定要素が強い競技なんです。1~2メートルのセンタリングの誤差は、サッカーなら正確と言われる範囲内ですが、フットサルではそうではない。緻密なセットプレーの形、こう動いてこう崩してこう点を取るという形。それをチーム全員が共有して現実化していくのがフットサルの醍醐味ですね。その意味では、フットサルは「理数系」、サッカーは「文系」かもしれない。でも「フットボール」というコアな部分では共通しています。それが何かと言えば、ゴール前の攻防や、ゴールにつながるプレー。フットサルは相手がいる競技ですから、すべてが理詰めというわけには行きません。最後の最後に個人の感覚が生かされるような、研ぎ澄ましたゴール前の攻防は、本当に見応えがありますよ。そしてもう1つは、選手生命がサッカーよりも長いこと。現在のFリーグ最年長はペスカドーラ町田でプレーする甲斐修侍選手(38歳)ですが、動けて、体のケアが行き届いていて、点が取れる選手なら40歳になってもプレーできると思います。
フットサルは選手交代が自由ですから、ポイントごとにベテラン選手の経験が生かされる場面が多い。これもベテランの活躍を後押しする理由の1つですね。

フットボールは1つ

ヨーロッパや南米の人々は、フットサルとサッカーを1つの「フットボール」として見ています。競技の違いはあっても、そこに区別はないんですね。わかりやすい例が、名古屋オーシャンズに所属するリカルジーニョというポルトガル人選手。いまFリーグで得点ランキングトップを走る選手です(2010年12月22日時点)。彼は幼少期からフットボールのスキルが高かったのですが、体が小さいというだけの理由でサッカーを諦めざるを得なかった。でも、彼はフットサルに転向して、“ヨーロッパナンバー1プレーヤー”の地位にまで登りつめました。だから、フットサルだからとか、サッカーだからとか、そういうことを僕は誰にも言わせたくないんです。壁はいますぐにでもなくしていきたい。そのためにも、Fリーガーには自覚を持ってプレーしてもらいたいと思っています。実際のところ、いまでもFリーグという華やかな舞台に酔っている選手が一部にいます。でも、Fリーグってたくさんの情熱家の汗が作り上げたものなんです。そういう思いを背負ってピッチに立てる選手が増えていってほしい。Jリーガーだって、きっと同じですよね。本当の一流選手はすごくまじめ。だから、Fリーグにもそういう選手が一人でも多く出てくれれば、これからもっと発展していくと思っています。

Fリーグからフットボールを盛り上げる

数年前、FリーグではU-23のサテライトチームを持つことが各チームに義務づけられましたが、シュライカー大阪では、それ以前からU-20のカテゴリーを作り、セレクションを行ってきました。そこには中高生も参加します。数は多くはありませんが、中には光るものを持っている選手もいますよ。この年代の選手に関してうちのチームのコーチが言うには、「初めは“超ヘタクソ”。でも吸収力が半端じゃない」と(笑)。なんとなくサッカーをやってきた素材に、徹底的に競技としてのフットサルを指導したときの成長のスピードには目を見張るものがあります。うちのU-20には中3の選手も所属していますが、あらためて年齢を聞いたときに驚きましたよ。なにしろ15歳ですからね。「15のときにこんなんあったら、俺も経験したかったわ」。そんな話をしました(笑)。僕が若い頃になかったようなものを、いまの若い選手たちに与えてあげることが、僕がいますべきことかなっていう気がしましたね。それと、これはあくまでも個人的な希望ですが、「月収20万・20歳以下のプロ選手、必ず一人獲ります」というセレクションをやってみたいんです。月20万でもプロはプロですからね。Jリーグを目指している中高生たちが一気に関心を寄せると思います。年俸240万円の20歳以下のプロ選手。いいじゃないですか。いまの中高生には、もっとリアルな数字をもっと出すべきだと思っているんです。セレクションには100人以上は来ると思いますよ。活きのいい選手がどんどんFリーグに入ってきますよね。そうやって日本人を育てる。そして、いい選手はJリーグのクラブに売る。先が見える情報こそ、第三者が関心を持ち、意味があるニュースになる。そういう情報をもっと発信していきたいですね。Jリーグではできないようなことが、Fリーグではできるかもしれない。Jリーグの真似をするのではなく、身の丈に合ったFリーグオリジナルを考えて行動することが、FでもJでもなく、フットボール界を盛り上げることにつながるんだと思っています。

上口直也が選んだベスト11

ベスト5でない、“Fリーガー”でベスト11

フットサル選手が、もしもサッカーでガチに勝負するならこのメンバーかな、と思って考えてみました。フットサルでは“やべっち(矢部浩之)”が“通”ですが、サッカー通の中でも最高の有名人が指揮してくれたりなんかすると、サッカーとフットサルの距離もまた近づくような気がします。というわけで、監督は“さんまさん”にお願いしてみましょう。なかなかいい勝負をするように思うのですが…。

上口直也 プロフィール

上口直也(ジョウグチナオヤ)

上口直也プロフィール

1977年9月26日生まれ。兵庫県出身。大学4年までバリバリのサッカー部員として活躍。大学で学んだスポーツマネジメント理論を、卒業後にフットサルビジネスの世界で実践。フットサルコート支配人などを経て、2006年12月にシュライカー大阪の事務局長に就任した。Fリーグ初年度にシーズン最多観客動員記録を達成、今季はリーグの1試合最多観客動員を更新した“やり手”だが、仕事の流儀は「根性!」だという。

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