サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

1995年、テスト生として浦和レッズに加入。正確なボールコントロール、テクニカルなドリブル、卓越した戦術眼を生かしたプレーで観衆を魅了すると、大卒1年目からレギュラーとして活躍し、実力でプロ契約を勝ち取る。サッカーと人間形成の結びつきから、現在の活動拠点である母校・青山学院大サッカー部の指導者として、第二の人生をスタートさせている福永泰の現在に迫る。

現役引退後に訪れたチャレンジ

2004年にプロサッカー選手を引退してから、フットサルの現場には関わっていましたが、サッカーとの関わりがなかったんです。そうしたら一昨年、OBの方から「青山学院大のサッカー部を見てくれないか?」という話を頂いて…。良いチャレンジの機会でしたし、気持ちを固めました。そして、昨年からは練習メニューやメンバーを決めたり、実質的には監督としての仕事がメインで活動しています。最初はコーチとして呼ばれたので、技術的な指導が多かったですが、今はチームを率いる立場、責任も大きいです。埼玉の自宅から練習場がある神奈川の淵野辺まで片道2時間、週5日です。週に2回はガソリンを入れています。

考えて克服していくということ

小学生のときの夢は蕎麦屋かおもちゃ屋でしたね。好きだったんですよ。でも、サッカーを初めてからは、どんどん好きになって、中学の頃には桐蔭学園高校に誘われるまでに。ところが、いざ練習になると、なかなか練習に参加させてもらえなくて。声を出すのが苦手だったんですが、「声を出せないなら帰れ!」と怒られる毎日…。でも、これではうまくなれないから、何でもいいから声を出していくようになると、今度は出さないことでは怒られなくなったんですが、声の中味が合っているのかということになって…。そうしているうちに、試合でチャンスをもらえたんですが、すぐに交代させられました。左足でボールを蹴れなかったんですよ。それから、左足のキックを毎日練習して…。半年後の全国大会では5点取りましたが、そのうち左足で3点を決めました。こういう努力の積み重ねで、青山学院大へは推薦で行けて、その後はプロへの道も開けました。考えて克服していく――。私のサッカー人生はプロになってからもこの繰り返しでした。日本サッカー協会主催のユメセンというプロジェクトやサッカースクールの現場で子どもと触れ合うこともあるんですけど、今の子どもって、あきらめやすいみたいで。「俺には無理だ」とか、あっさり言うんですよね。そういうときには、「やってもいないのに、そんなこと言うんじゃない」と怒ります。子どもたちには、「まずやってみよう」ということを考えてもらいたいですね。「失敗してもいいから」と、後押ししてあげないと。 

絶対に味わえない指導者としての緊張感

指導者として一番大事にしていることは…大学でサッカーを終えて、社会に出て行く学生が多いので、社会に送り出す前にどう自立していくかということです。社会人になると、いろんなことを自分自身でつかみ取っていかないといけません。もちろん、チームとして良い成績を収めることも大事ですが、まずはサッカーで言えば、個人戦術の部分。『うちのチームじゃないとできません』とか『こういうやり方じゃないとできません』という選手ではなく、相手がいて、味方がいて、いろんな状況があるなかで、あらゆる状態に対応できるような選手…。自分で切り開ける、打開していく力がある選手…。どうコントロールして、自分がもしくは自分たちがイメージをもってプレーできるかが大事です。個人で打開するのか、グループで打開するのか、いろんなことを含めてあらゆる状況でベストな判断ができる選手は、社会人としても高いレベルで生きていける。グラウンドの上だけでなく、グラウンドの外でも何をしないといけないのかが分かるような人間になってほしいですね。今の夢は…サッカーに関われているというところでは充実している部分は多いですが、周りには、不動産、トラックの運転手といったサッカーと関係のないところを仕事にしている人もいます。サッカー界にも多くの仲間が残っていますが、まったく関係ない仕事が果たしてやりたいことなのか、ただ仕事としてやっているのか、稼げるからやっているのか、何をもって仕事をやっているんだろうとはいつも考えています。そうやって思いをめぐらすと、やっぱり今はチームを指導できる現場がある幸せを感じています。チームを一緒になって作り上げていく楽しさはほかではなかなか…。学生と日々真剣に向き合っていくなかで、「次の試合、どうなるんだろう?」というこの緊張感は現場にいないと味わえませんからね。自分と同じで、「プロサッカー選手になりたい」という教え子がたくさんいるのですが、彼らがプロ選手になれたら…未来のプロサッカー選手を育てられたら…。こんなに幸せなことはないですね。

福永 泰が選んだベスト11

岡野には前線を動き回ってもらって

ベストイレブンは、一緒のチームでプレーしたことがある選手のなかから、福永泰のプレーを分かってくれる11人を選びました。ちゃっかり自分も入っていますが、プレイングマネージャーということで。選んだ条件ですか?これだけのメンバーが集まれば、自分自身が動かなくてもボールが回ってくるからね。岡野には前線を動き回ってもらって、スペースを作ってもらえれば、あとはみんな足元がうまい選手ですから、ガンガン守備をしてくるチームと対戦したら面白い試合になりそうですね。バインは天才。彼こそがホンモノのパサーです。
彼のパスを受け取れなかったときは「自分の動きが悪かったんだな」と思える唯一の選手ですね。他の選手では絶対に思わないですが。キッカー?直接で狙えるFKは、全部、自分が蹴ります(笑)。

福永 泰 プロフィール

福永 泰(フクナガ ヤスシ)

福永 泰プロフィール

1973年3月6日、38歳。東京都町田市出身。桐蔭学園高、青山学院大を経て、1995年に浦和レッズに加入。FWからボランチまでこなす攻撃的なプレーヤーとして、01年までプレー。02年からはベガルタ仙台でプレーし、04年に現役を引退。引退後はサッカー解説者をはじめ、サッカースクールのコーチ、フットサルの指導者として活躍。2009年からは母校である青山学院大サッカー部の指導者として、学生の育成に力を入れている。

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