サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

時代を切り取る確かなセンスとその独自のアイディアを生かしカフェをプロデュースする三浦武明。現在は、都内にある「TOKYO FAMILY RESTAURANT」の経営者として、多忙な日々を送っている。そんな彼にとって「活力になる」というのが、心の底から愛してやまないサッカーである。熱く語るその姿に耳を傾けていると、カフェとサッカーの中に面白い共通点が見えてきた。

アスリートっぽくないメンバーにひかれた

サッカーとの出会いは、高校3年(93年)のときにアメリカW杯予選のドーハの悲劇を見て、高校を卒業したときにJリーグが開幕して…という時代背景が大きく関わっています。96年のアトランタ五輪のときは、同じ年だった五輪代表の伊東輝悦(現甲府)選手ら同世代の選手たちが見せる、良い意味で人間くさい、アスリートっぽくない雰囲気を持ったメンバーたちにひかれていきました。彼らが世界に立ち向かって28年ぶりに五輪出場を決めただけでなく、本大会でサッカー王国のブラジルを倒したときは興奮しましたね。サッカーの魅力はもちろんスポーツとしての面白さもありますが、五輪に出るという偉業を達成した選手たちが同世代だったことで、僕のハートはガッチリつかまれました。

カフェとサッカーの共通点

カフェを経営している中で、サッカーと似ているところがあるなと日々感じています。サッカーではピッチに立つ11人のそれぞれの特長や武器、そしてキャラクターがあるように、カフェもまさに同じなんです。あらゆる分野における仕事のレベルが高く、クリエイティブな違いを生み出せるスタッフもいれば、オシャレなパスは出せないけど日々変わらないリズムでチームの足腰として貢献できるスタッフもいる。そして、ちょっとミスは多いけどお調子者でみんなを元気にしてくれるスタッフ…といろんなタイプの人間がいるんです。いろんなスタッフがいて初めて一つのチームなれるんですが、これはまさにサッカーにも言えて、同じような特長のある選手が11人いても機能しない点と似ているんです。サービスという視点で考えても、カフェにはサッカーのようにチームプレーが必要です。今、お店の状況がどうなっていて、それに対して味方(スタッフ)が何を考えていて、何をしようとしているのかどうかをお互いが理解していない限り、チームは機能しないんです。だから、周りをグッと俯瞰できる、いわゆるゲームメーカータイプのスタッフがいると、そのお店のチームはものすごくうまく回ります。逆にどれだけスタッフの人数をそろえても、アイコンタクトができずに状況を把握できないスタッフが多くなると、現場はバラバラになります。サッカーのピッチで起きていることとカフェの中で起きていることはとても近いんですよ。

サービスの仕事は特にムダ走りが必要で、いいタイミングでオーダーを取りにいく、いいタイミングで下げ物ができるかどうかはとても大事ですね。これはよくスタッフに言うのですが、「トライした上での失敗はないから。それでお客様と気まずくなってもいいからやりなさい。こうしたらいいかなと思ったんだけど、ためらったらそれが失敗だ」と。それこそサッカーで言うと、攻撃参加したSBが相手DFとの1対1になったときに勝負をしないのと似ているのかな(笑)。失敗は周りがサポートすればいいけど、どこかでだれかがリスクを冒さないとお客様に届くサービスは生まれないんですよ。

東京を楽しくしたい

夢は、今のお店を長く続けることです。初めて来たお客様が2回目、3回目と来てもらえたときにもっと使い心地がよくなるお店を目指しています。スタッフの人間的な成長なしにお店の成長はないと思っているので、時間をかけてみんなで大切に育てていきたいです。もちろんその過程で、新しいチャレンジもしていきたいですね。まずは自分が生活している東京を楽しくしたいというのが一つ。みなさんが日々口にしているものが安心であり、安全であることについて、もう一度自分たちのなかでしっかり考え直したいんです。お客様が安心して、安全なものが食べられることを当たり前にしたい。それが高級でなければ食べられないとか、特別なことであること、我慢しなくてはいけないことであるというのは違うんじゃないかと。ひとつひとつ丁寧に作られたものだけを集めたお店を東京でやりたいというか、やらないといけないと思っています。

あとは日本以外の土地でも仕事をしてみたいです。脈絡のない土地に行って、一つの飲食店という場所を通じて今まで知らなかったことを知ることもできるだろうし、新しいことを感じてみたい。「ビジネスチャンスがあるからシンガポールにお店を!」という考えではなく、自分が好きな土地でお店を開きたい。あとはやっぱり2014年のブラジルW杯に行きたい!一度きりの人生、サッカーの魅力にハマったらみんな行きたいですよね(笑)。

三浦武明が選んだベスト11

名づけて、ちょっと荒れみなベスト11!

ベストイレブンは、僕と同じ世代のアトランタ世代を中心に選びました。この世代は洗練されていないというか、やんちゃというか、角がとんがり過ぎたままというか。この11人だと絶対にチームにならないけれども、あの頃の世代のよさとか、みんなとにかくうまかったんですね。期待の大きさほど活躍できなかった選手もいるけど、みんな記憶に残る選手でした。同世代の人がこのメンバーを見たら話が弾むでしょう、きっと。「石塚がさー」「前園がさー」って(笑)。監督は選手を選んだ自分自身と聞きましたが、このチームの監督はできません(笑)。個性の強い選手ばかりで、とてもまとめられません。というわけで、どんなことが起きても動じない釜本さんにお願いします。ちなみにタイトルは「ちょっと荒れみなベストイレブン」でいいですか。これはテレビアニメで放送された『キャプテン翼』のオープニングテーマの『燃えろヒーロー』という歌の歌詞からきています。知っている人も多いと思いますが、「♪ちょっとあれみな~」っていうフレーズがあるじゃないですか。あの部分、最初は「荒れている」という意味の「荒れみな」だと思っていたんですけど、不安だったので調べてみたら「あれ見な」という意味だったんですね。ずっと勘違いしていたんですけど、これはこれで面白いかなと思って「ちょっと荒れみなベストイレブン」で掲載してください(笑)。よろしくお願いします!

三浦武明 プロフィール

三浦武明(ミウラ タケアキ)

三浦武明プロフィール

74年、東京都出身。カフェブームを牽引した「HERE WE ARE marble」の立ち上げ、フットサルコートを併設したカフェ「KEL」等のプロデュースを経て独立、06年に世界20ヶ国以上の料理やビールを提供する「TOKYO FAMILY RESTAURANT」をオープン、多目的レンタルスペース「playroom」も併設する。外部ブレインとして「SUNNY TABLE」「八十八夜」「Glorious Chain Cafe」等の企画・開発に参加、専門学校での講義等も行っている。
www.familyrestaurant.jp

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