サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

「花とアリス」や「リリィ・シュシュのすべて」など岩井俊二作品で注目を浴び、11月には舞台の主演も控える郭智博。彼のツイッターのプロフィール欄には、役者であることや出演作の紹介はなく、ただこう書かれている。“I love Liverpool Football Club. You'll never walk alone!!”。

サッカーとなかなか向き合えない少年時代

リバプールファンとツイッターのプロフィールにも書いているんですが、ファンになったのは比較的最近。2004-2005のチャンピオンズリーグ、「イスタンブールの奇跡」と呼ばれるACミランとの決勝戦からなんです。あの試合を観て好きになった人はたくさんいるんじゃないですか? サッカーは、Jリーグが開幕した小学校3年生の頃からずっと観てはいたんですが、どこのチームが好きという贔屓がなくて、前園さんや三浦淳宏さんが好きでフリューゲルスの試合はよく観に行っていました。それが、「イスタンブールの奇跡」以後は完全にリバプールファンに。
小学校のときからキッズモデルとして仕事をしていたので、怪我をしてはいけないという理由で母親からのNGがあって、チームには入れさせてもらえなかった…。実は、内緒でヴェルディ・ユースに電話をかけたりもしていたんですけどね(笑)。しっかりサッカーをプレーし始めたのは、中学の部活に入ってから。仕事をしながらだったんですが、さすがに親も中学の部活は仕方がないだろうとOKをもらえました。やりたくてもやれない小学校時代があったので、すごく楽しかった。ところが高校は仕事のこともあって芸能コースで部活に入れず…。何だか、子ども時代はいろいろな制限に付きまとわれたサッカー人生でしたね(笑)。

いまはフットサルを時々やっています。入ったのは、2年くらい前。高校の同級生で作ったチームなのですが、芸能コース卒業のメンバーなのでみんな忙しくて全然集まらない(笑)。だからコンスタントにはできていないのが現実です。なので、いま個人参加できるフットサル場とかあるじゃないですか。今度、フラッと行ってみようかなと考えてます。

どうでもいいけど、どうでもよくないサッカーツイート

サッカーの試合を観ていてツイートすることがあるんですが、本気のサッカー話しを書くとフォロワーの方々が引いていく現象がある(笑)。サッカーがわからないフォロワーの方たちにも楽しんでもらえるように、あの選手が誰々に似ているとか気になる髪型とか、どうでもいいけど、ちょっと笑えるようなことをつぶやいています。とはいえ、わざわざやっているかというとそうでもなくて、実際すごく気になっているんです。たまにいま言ったようなことを全然気にせず、リバプールの補強について本気でつぶやいたりもしてますけどね(笑)。

実際につぶやいたツイート
「個人的にMr.インクレディブルのダッシュがなんかルーニーとかぶる。」
「今のアロンソはスターウォーズのジェダイ役でも違和感ないな。オビ=ワン・ケノービ役いけるな。」
「デ・ロッシ選手見てると中田選手を思い出す。試合中、遠目だと本当似てる。」

試合を観る時は、選手にツッコミや文句を言わずに黙って冷静に観ています。ひとりの時もみんなの時もあまり変わらないですね。通ぶっていろいろ語るタイプの人が苦手で…。自分がそう思われたくないということでもあるのかもしれないですね。海外サッカーは実況もいいんですよね。西岡さんと倉敷さんの実況は大好き。スポーツバーもたまに行ったりするんですけど、実況が英語なので、倉敷ファンとしてはあの語りを求めてしまいます(笑)。

「You'll never walk alone」とともに

リバプールを観てきて、「イスタンブールの奇跡」のジェラードのゴールと、その後のパフォーマンスが忘れられません。スアレスのリバプールデビュー戦でのゴールもたまらなかった。マンU戦でキャプテン(ジェラード)がFKを決めた試合も最高だった。リバプールって、ビッグ4との試合は強いんだけど、勝って当然だと思うようなチーム相手には、どうもダメなんですよね。ここ何年かはハラハラするシーズンが続いて、安心して観れていない気がします。チェルシーとかマンUファンであれば、ゆったり背もたれに寄りかかって観てられるんでしょうけど、それでも好きなのは、ダメなやつほどカワイイという感覚があるんでしょうね(笑)。
リバプールのいいところって、試合開始前に大の大人たちが「You'll never walk alone」を大声で謳うところなんです。あの歌をあれだけ全力で歌う人たちは、世界を見てもそうそういない。あの一体感のすごさ。プレミアは情熱が試合を動かすことが多いと思うんですね。リバプールへの愛は、プレーだけでなくチームを取り巻くファンの熱意や空気を含んでいます。好きな選手はど真ん中過ぎて恥ずかしいのですが、やっぱりリバプール一筋で戦い続けてきたジェラード。最近たまに考えるのですが、もしジェラードがどこかに移籍したらリバプールを好きでいられるのかなって。想像ができなくて結局答えはでていないんですが、どうなんだろうな。
プレースタイルで言えば、スペインサッカーのような華麗なパスでつなぐサッカーが好き。プレミアのクラブ単位で観ているとファンタジスタ的な選手のほとんどをスペインの選手が担っていて、イングランドの選手はテクニック的にはどうも上手くないんですよね。縦に縦にという感じにどうしてもなっちゃう。それがよさでもあるとはいえ、もうちょっと想像力溢れるプレーを!と思ったりもするんですけど、やっぱりかわいいんですよね、その不器用さが(笑)。顔もダイナミックな人が多くて、細かいパスが苦手そうに見えますしね(笑)。

自分とサッカー選手がダブる瞬間

野球は三回アウトで攻守が交替して、流れが止まりますよね。サッカーは開始の笛がなったら終わるまで止まらないし、タイムもない。それって芝居とけっこう似てるんです。舞台の経験が多いわけではないのですが、舞台作品は幕が開いたら終わるまで止まらないですよね。そこに似たものを感じることがあります。何が起こっても止まらない、容赦のなさ。舞台上の立ち位置や役割とサッカーのフォーメーションがどこか似ているという感覚もあって、セリフのない役者が動きでアシストしてくれて、助けられることってあるんです。物語の重要なことをセリフのない役者がさらっとやっていたり。作品に入る前にしっかり準備してコンディションを整えてという感覚は、サッカー選手が毎日練習をして、体調管理をしてというのと似ている気がします。仕事が来て出させてもらったら良い芝居をする。それでまた次に声をかけてもらうという循環もサッカーと同じなんです。
サッカーは、無駄になるかもしれない一瞬のスキのために常に全力で走る男たちの姿がたまらない。たぶんそれって、少年時代もお金を稼ぐようになってからも変わらないことだと思うんですね。そう思って観ていると、走る選手とその選手の少年時代がダブって見えてきて、グッとくる。昨シーズンの後半くらいからリバプールの若手が出るようになって、チャンスを活かすために一生懸命やっている姿が自分とどうもダブってしまいます。もうひとり、若手じゃないですが、スピアリングという中盤の選手が怪我のルーカスの代わりに出ているんですが、彼のずっと日陰な部分もまた自分とダブる。僕自身、芸歴は長いんですけど、実績を凝縮させればそんなに大したことはない。逆に芸歴が長いことがコンプレックスだったりもするんです。それがサッカー選手を観ていて、仮託しちゃうのかもしれませんね。

Jリーグのプレミア化?

Jリーグに世界中から選手が集まって、プレミアリーグみたいになればいいなと思います(笑)。まぁこれは無理だと思っているので、ほんとの夢ですね。やる側としての夢は、アンフィールドで蹴ること。もう一歩引いて、実現可能そうなところだと、大声で歌われる「you'll never walk alone」をアンフィールドで聞きたいですね。聞いたら何かが変わる気がするんです。
あとは、プレミアになってからリバプールはリーグ戦を優勝していないので、ジェラードが現役のうちにカップを掲げさせてやりたい。あと、アロンソがいなくなったせいでダメになったんだというところからいいかげん卒業したい(笑)。

郭智博が選んだベスト11

ベストイレブン

自分が考える、こういうリバプールだったらいいなというリバプールです。改訂2012年版リバプール。ファルカオ・ガルシアが柔らかいのでヘッドでもキックでもいけるし、前後左右全体からガルシアにボールを集めて打つなり、二列目に落とすなり。かつてのトーレスもそういう感じでしたね。ちなみにケリーは、50年代の不良グループにいそうな顔で、「バック・トゥ・ザ・フューチャー 1」に出てきそうです。

フォーメーション:4-5-1
監督:郭智博

FW:ファルカオ・ガルシア(アトレティコ・マドリード)
MF:ガレス・ベイル(トッテナム)/ダビド・シルバ(マンチェスターC)/マチュー・ヴァルブエナ(オリンピック・マルセイユ)/スティーブン・ジェラード(リバプール)/シャビ・アロンソ(Rマドリード)
DF:長友佑都(インテル)/アッガー(リバプール)/ガリー・ケイヒル(チェルシー)/マーティン・ケリー(リバプール)
GK:レイナ(リバプール)

郭智博 プロフィール

郭智博(カク トモヒロ)

郭智博プロフィール

1984年9月5日生まれ、東京都出身。2001年に岩井俊二監督の映画『リリィ・シュシュのすべて』で映画デビューを果たす。同じく岩井監督による『花とアリス』では蒼井優、鈴木杏から想いを寄せられる宮本先輩役を演じ注目を浴びる。その他の主な出演作に映画では『夜のピクニック』(06年)、『天国はまだ遠く』(08年)、『心中天使』『君の好きなうた』『家族X(エックス)』(11年)、ドラマでは「七瀬ふたたび」(08年/NHK)、「カーネーション」(11‐12年/NHK)、「ハンチョウ5警視庁安積班」(12年)などがある。今後は、『大奥~永遠~ 右衛門佐・綱吉篇』が12月22日より公開予定。

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