サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

6人組男性アカペラグループ、RAG FAIRの一員として活躍するかたわら、昨年からTTREとしてソロ活動も開始している土屋礼央。ミュージシャンとしての顔を持ちながら、Jリーグをこよなく愛する、熱狂的なFC東京サポーターでもある。飾らずにサッカーを熱く語るその姿が、実に魅力的に見えた。

マラドーナが好きでした

FC東京を好きになったのは、2003年か2004年だったから、『RAG FAIR』としてデビューしてからですね。テレビのスポーツニュースを見ていたら、ゴールを決めたときにサポーターがFC東京の選手たちのところに下りていって、わーって、なっている感じがいいなって。あとは原(博実)監督の初年度のとき、鹿島との開幕戦で圧勝した試合をテレビで見て、FC東京は面白そうだぞと。当時、ケリーという外国人の選手がいたんですけど、その試合の解説をしていたのが、ヴェルディの監督をしていた松木(安太郎)さんで、「ケリーはいい選手ですね。僕も本当は(監督当時)獲りたかったんですよ!」って(笑)。「あ、ケリーってやっぱりいい選手なんだな」と思ったりして。もともとマラドーナのように真ん中でパスを出す選手が好きだったので、ケリーが好きでした。気がついたらFC東京のタオルマフラーを買っていたんです。観客動員がすごく伸びているときで、2004年のカップ戦で優勝したくらいのときにサポーターがドンドン増えていく感じが面白くて、「きっとこれはトレンドになるな」と。

サッカーって、たとえ1-0で終わったとしても、そこにいくまでのストーリーを知っていたら、その1点の価値や素晴らしさが分かるから面白いんです。そこが分からないと、「0-0や1-0の試合はつまらない」と言われてしまう。「なんだ1点しか入らないじゃん」て。そうではなくて、サッカーにはアナザーストリーがあるんです。そこまでの歴史や過程を知っているから楽しいんです。音楽もそれと同じです。新しい曲ができると、『サビ、聞かせてよ』と言われるのですが、音楽好きの人はイントロ、Aメロ、Bメロという過程があるからサビが気持ちいいという感覚を持っている。サッカーもキックオフというイントロがあって、Aメロというパスがあって、Bメロというクロスがあるから、最後のゴールが気持ちいいんです。作りが音楽と似ているからサッカー好きのミュージシャンが多いのかもしれません。

週末の雨は困るんです

Jリーグは、“地域密着”という理念のもと、それぞれのクラブが活動しているので、サポーターやファンからすると、おらが町のチームが苦しいときほど「応援しないといけない!」っていう感覚があるんですが、それはバンドのファンの方も同じで「いま私らが…」って、なんか広報部長にでもなってくれたように「私も多くの人に広めないと!」って考えてくれるんです。自分だけがその音楽を聞けばいいというのではなく、“このアーティストが大きくなるために貢献したい”という気持ちになってくるんですよ。だから僕がFC東京をアーティストととらえたとき、僕はファンになるので、僕は自分のファンの方と同じ気持ちになれます。僕がFC東京に感じる気持ちを僕のファンの方も感じているかもしれない。だから、僕がFC東京を応援しようと思い続ける部分は、自分にも取り入れようと。言うなれば、FC東京みたいなアーティストになりたい(笑)。だから、自分のためにもFC東京を応援したいですね。

FC東京がアウェイで圧勝するとき、若干心が痛むんです。ホームチームを見に来た夢を持っている子どもにホームチームのふがいない試合なんて見せたくないじゃないですか。でも、こっちも負けたくないので、できれば3-2で勝ちたい(笑)。相手も盛り上がって、ホームの子どもたちにサッカーの魅力を伝えて、勝つのは自分たち。だから、アウェイで無失点試合は複雑です。自分のチームのことだけを考えればうれしいんですが、Jリーグ全体のことを考えると、FC東京だけがすごくなればいいとも思っていません。だから(試合がある)週末に雨が降るのも困るんですよ。観客動員をチェックするのも好きで、各クラブの平均の数字はずっと見ています。ドイツW杯で、なでしこも世界一になってサッカー界は盛り上がるだろうから、さすがに今季のJリーグは増えるだろうと思ったら…。みんな選手たちはヨーロッパに行っちゃうんですよね。リーグの底辺が頑張らないといけないというよりは、個人的にはもっと上が頑張らないといけないと考えています。やっぱり、浦和レッズとFC東京がその存在を担っていかないといけないと思うし、責任を感じています。これって、とてもサポーターのコメントではないんですけど、切実なんです。継続してJリーグファンを増やしていきたいのですが、グレーゾーンが少ないですね。ディープな人はたくさんいるのですが…。民放でオリンピックのサッカーを見ている人が、お金を払ってJリーグを見に来るかというと、なかなか…。ただ、これだけJリーグ自体は盛り上がっているし、今日という一日を使って、サッカーを見て、みんなでご飯を食べて…というイベントっぽく、『土日はサッカー行こうぜ!』っていう空間を作ることはできると思うんですよね。そのためにも、アジアの世界でトップにならないと。ここ数年のアジアチャンピオンズリーグの日本勢は、いい成績を残せていない。僕も今回、初めてFC東京が出場権を獲得できたので、プライベートで韓国とのアウェイ戦に行ってきたんですが、ヨーロッパのUEFAカップみたいなものもやれたらいいなって。リーグ戦の4~6位くらいの東アジアで集まって、ガチンコで戦う。ACLという体験はクラブとしても選手個人としてもこれからに生きてくるから、強い選手が生まれると思います。でも、そのためにはJリーグの年間スケジュールを変更しないといけないんですが、こういう日程調整をするのが趣味なんです(笑)。僕がチェアマンになったら、ここをオフシーズンにして、ここからカップ戦を始めて、J2のクラブとJ1の強豪を対戦させて…とかカップ戦の方式まで考えますね。

FC東京の中に入る?

ミュージシャンとして、たとえば1曲の大ヒットを生むのも一つの喜びかもしれないけれど、僕は“土屋礼央”が動くと、これだけの人数の人がそこに足を運ぶということが自分の幸せなんです。自分が何かをすることで、みんなにワクワクしてもらうのが好きなんです。Jリーグと同じで、週に1回、味の素スタジアムに足を運ぼうというノリでいいんです。具体的には、自分の音楽をエンターテインメントとして、味スタでライブをやりたいですね。もちろん、Jリーグサポーターとして、芝生は使いません!味スタでやるときは、トラックを使います。「芝生は使いたくないんです!」ってマイクでみんなに叫ぶ!別にあそこでライブをする人に敵対心があるわけではありません。でも、サポーターとして芝生の上でライブをすることは快く思えないところがあります。でも、そうするとど真ん中が空くから、殺風景にならないかが心配(笑)。

Jリーグ好きとしては、表に立っている仕事をしているので、なんとかJリーグサポーターの拡声器のような存在になれるようになりたい。もちろんミュージシャンとしての夢もあるのですが、FC東京の中に入るのも面白いんじゃないかと。もちろん名前は伏せます。そうして、ある日、味スタが満員になるんですけど、その動員成功の仕掛け人が実は“土屋礼央”だったって(笑)

土屋礼央が選んだベスト11

Jリーグを愛してくれたベスト11

というわけで、イルハン(元神戸)やべベット(元鹿島)は入ってきません!まず、GKはヴァンズワム。日本人ばかりの磐田の中に一人だけ外国人。“あの人は一人で寂しくなかったのか?”。あと、ブッフバルトも外せません。トーレスも、お別れの試合の肩車が忘れられない。モネールもよくぞアルゼンチンから来てくれたなと。ちなみにFC東京の外国人選手はあえて外しています。だって入れたら、みんなそうなっちゃうから(笑)。ボランチはサンパイオですね。1998年のW杯フランス大会で挙げた得点を見て、Jリーグの選手が点を取ったんだと。サンパイオのW杯のゴールは多くのJリーグに関わる人に勇気を与えてくれました。そして闘将・ドゥンガですね。あ、やっぱり4バックにしていいですか? 両サイドバックにレオナルドとジョルジーニョと、ぜいたくに起用します。真ん中はストイコビッチ。プレーヤーとして一番素晴らしいときに日本にいてくれたので。サイドは敬意を表して、ノ・ジュンユン。「韓国からレベルの下がる日本に行くとは何事だ?」という当時の空気感のなか、日本に来てくれた愛は素晴らしい。あの時期に来てくれたのは愛以外の何物でもないでしょう。そして1トップはスキラッチ。W杯の得点王になった直後に日本に来てくれたんですから!

土屋礼央 プロフィール

土屋礼央(ツチヤ レオ)

土屋礼央プロフィール

1976年9月1日生まれ。東京都国分寺市出身。愛した物、人、アイディア、すべてをエンターテインメントとして表現していくことに喜びを感じる。特にFC東京、埼玉西武ライオンズ、ダイヤ改正、Appleを深く愛する。2011年6月1日からソロプロジェクトTTREをスタート。TTREはToday Tsuchiya Reinvent Entertainmentの略で、今日土屋礼央がエンターテインメントを再発明します、という意味。当たり前を当たり前と思わずに常に新しい「おもてなし」をお届けしたい、という気持ちが込められている。2012年3月21日にTTRE名義で初のオリジナルアルバム「humour」をリリース。2012年9月1日は「TTRL2012」と称してShibuya-AXにてライブを開催。
TTRE:http://ttre.jp/
RAG FAIR:http://www.ragfair.jp/info/
ズボンドズボン:http://zboned.com/blog/

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