サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

モデルでタレントのJOY。長身でかっこいいのに、モノマネや変顔が得意。彼のイメージはこうしたところかもしれない。でもサッカーを語る彼は、こうしたイメージとはまったく違う真摯でサッカーへの愛を感じさせる熱い男だった。

サッカーを辞めたのは、人生で一番大きな後悔です。

中学3年の終わり頃、サッカーの練習中に怪我をして、「今までみたいにはできないよ」と病院で言われました。振り返ってみれば、「なんでそんなこと子供に言うんだよ」と思うんですけど、頑張れば続けられたはず。高校もサッカー推薦で入ったものの、さっきのようなことを言われ、時間をかけてリハビリをしなかったので結局痛くてプレーできませんでした。自分より下手なやつが試合に出ていたし、「うまいって言われて入ってきたのに下手じゃん」と言われる毎日。今思えば逃げていただけなんですけど、戦う気になれなかった。「サッカーを辞めるなら、学校に行っている意味もない」と思ってサッカー部を辞めると同時に学校も辞めちゃったんです。
サッカーを辞めたのは、人生で一番大きな後悔です。それは、プロになれなかったからとかそういうことじゃなく、単純にサッカーをやり切れなかったこと、サッカーと100%で向き合いきれなかった自分に対して。「もし続けていたら」というのは絶対どこかにあります。あんな簡単に逃げる必要はなかったと思いますし、悔しい。その時はサッカーが大っ嫌いになりました。道具も何も見たくなかったし、ユニフォームも全部友だちにあげて、靴も捨てたり、箱にしまったりして見えないようにしていました。
怪我をしてサッカーを辞めるまでは、「サッカーしかない」という気持ちでやっていたし、サッカー選手になると信じていました。すごく自信があったわけじゃないけど、3歳で始めてサッカーしか知らなくて、「他のことはできないだろうな」と勝手に思ってもいました。それが人生の全てだったんです。練習はずっと楽しくて、持久力がなかったので走るのはすごく嫌いでしたけど…。点を取ることが楽しくて、当時の自分はチームプレーはほとんど考えられていませんでした。俺が決めればいい、チームメイトが決めても嬉しくない、と思うくらいに…。メンタル的にはダメなプレーヤーだったと思います。すごくひとりよがりで、いろいろなことが足りていなかった。しかも当時はピッチを出ても自己中だったんですよね…。大人になるにつれて空気を読まなきゃいけないとわかり、少しずつ自意識過剰が薄れていきました。それが良いのか悪いのかは分からないですけれど。
アーセナルユースの練習に参加をするためにイギリス留学した時は、どの選手もみんな自分が決めるという選手たちばかりでした。結局自分が結果を出さないとのし上がっていけないわけで、パスもこちらから出していかないと回ってこないし、ガツガツ度が日本とまるで違う。こういう国が勝つのかなぁと当時でも思いました。技術は日本人の方がうまいと思ったんですけど、彼らは最後に決める力がすごくて、「下手くそだけど、いつも最後に決める」という選手が多かった。うまいというより、強いサッカーという感じ。ある意味で「自分が今までやってきたサッカーは間違ってなかったな」とも思ったんですが、それでもチームメイトや相手のサッカーを理解する必要はあって、ひとりよがりの中にもちゃんと柔軟性があって、パスを出せるとこは出して動き方を変えていく必要もある。その柔軟性を持った上で、根っこに「自分が」という気持ちがないと最終的にフル代表レベルになった時に差が出るんだと思います。W杯を観ていても、エースが決めていましたよね、結局。

最近ですよ、「サッカーをちゃんとやりたいなー」と思えるようになった

怪我で辞めてからの5年間くらいはサッカーに興味を持てませんでした。日韓W杯が17歳の時で、観てはいましたけど、どうでもいい感じ。時間が経って、20歳くらいかな「もうサッカーを観たくない」というテンションが緩んできて、観るのは楽しいなと思い始めるようになったんです。まだ辞めたことに対する悔しさはすごくありましたけども、「やっぱりサッカーが好きだな」という風に思えてきたんですよ。怪我後もプレーという形じゃないにしても、サッカーと関わっていきたいという自分はいたし、「趣味はなに?」と聞かれたら、「サッカーを観ること」と言っている自分もいましたから。フットサルはやっていましたけど、最近ですよ、「サッカーをちゃんとやりたいなー」と思えるようになったのは。昔ほど動けないし、プレーも下手になっていますけど、サッカーの見方って大人になるにつれて変わってくるじゃないですか。戦術的なことを考えたり、ポジショニングが理解できていたり。だから、今の自分だからこそできるサッカーもあると思うんですよ。それをやりたい。体でやるというより、頭を使って、うまくサボりながらできるんじゃないかなと。(笑)

今回のW杯は、一番おもしろかった!

W杯は見られない試合ももちろんありましたけど、基本的に生でほとんどの試合を観ました。今回のW杯は、逆転も多くて、僕がリアルタイムで観てきた中で、いちばんおもしろかった! 日本を始め、アジア勢が1勝もできず、アジア枠が減っちゃうんじゃないかという怖さもありましたけど、W杯全体としてはすごく楽しかった。強いところもどんどん負けていきましたしね。
サッカーって、点がどんどん入るスポーツじゃないけど、ピッチ上で同じ動きがふたつとないんですよね。それがまずおもしろい。レフェリーのジャッジひとつ取っても、100%正確じゃないことも含めて勝負になるのがいいんですよ。今回も誤審か否かがニュースになりましたけど、そうしたジャッジも含めて実力になる世界に個人的には楽しさを感じています。
これはプレーヤーとしてやってきたことよりも、芸能界に入ってサッカー番組に呼ばれるようになって、ちゃんと世界のサッカーを観るようになった中で気づいたことだったりします。もちろん誤審は少ないほうがいいし、課題だとも思うんですけど、もし完璧になくなったらドラマが生まれにくくもなって、つまらなくなる部分もあると思う。そういう間違いにまつわるストーリーって過去のサッカーにたくさんあったし、それがまた素晴らしい試合や伝説をいつしかまた生むわけですからね。

選手や監督だけの問題ではなく、サッカー協会も変わるべきだと思う。

日本代表の今回のW杯は、ちょっと守りに入ったのかなという印象です。それはメンタル的な部分です。コロンビア戦は4点取られましたけど、吹っ切れていたよかったと思います。あれはリスクを負って前に行ったことでの失点なのでしょうがない。でも1、2試合目、特に初戦は行ききれなかったというか、監督がちょっとかわいそうだなと思って見ていました。というのも、戦術を決めるのは監督だけどやるのは選手なわけで、選手のメンタルが大きく影響しちゃいましたよね、あの試合は。みんな「自分たちのサッカー」とあれだけ言い続けて、本番でそれをやれなかったのは残念でした。今までの代表より大きな目標を言っていた分、ある意味口だけに見えた部分も…。今までやらなかったパワープレイを試したりするシーンもありましたけど、あれはザッケローニの中では前からやりたかったことだったわけですよ。でも、本田とかが言うことを聞かずに横パスを続けたら、監督と選手がやりたいことが違ってきてしまう。監督より選手が偉くなっちゃったらダメ。それが、去年から感じていて、本当にザックがやりたかったことができていなかったのではないかな、とか。
選手や監督だけの問題ではなく、サッカー協会も変わるべきだと思う。ザックが辞めるんだったら原(博実)さんも辞めるべきだと思うんです。「ザックのサッカーを続けていくべきだ」と言っていましたけど、それだったら協会が口出さないで、監督のやりたいようにやらせる風にしていかないと変わらないじゃないですか。興行的なこともあるし。そうじゃないとお金が集められない、というのもありますけど。本田というちょっと王様的な人がいて、すごく効いていた部分も大きいですけど、全体で見た時にやっぱりよくなかったんじゃないか。あそこが憲剛だったらもっと良かったんじゃないか、とか思うし。スピードが必要なサッカーで、あれだけテンポを落としちゃったらダメじゃないですか。期待し過ぎだったし、日本がW杯に出るのが当たり前になっていますけど、一度そうじゃないってことを思い出さないといけないと思います。やっぱり世界に出ていったら弱いし、戦い方を変えなきゃいけない。

小野伸二はめっちゃすごかったし、いまだにすごい

「このためにサッカーを観ている」という瞬間は、やはりスーパーゴールでしょうね。僕の目を覚ましてくれる瞬間をいつも待っています。サッカーで一番必要な能力って、創造性や意外性だと思うんです。「そこに出すの?」「そこでそれ?」みたいなことを、メッシやネイマール、クリスチアーノ・ロナウドを見ているとたくさんやってくれる。日本人に圧倒的に足りない部分じゃないかと思います。型にはまり過ぎているというか、パターンが決まっているというか。子供の頃からの教育問題や文化もあると思うんですけれど、小野伸二はめっちゃすごかったし、いまだにすごいし、ああいうことだと思うんです。小野レベルの選手がいれば、ペナルティエリア付近で意外なパスを出してもっとゴールが決まっているはずなんです。他には日本人っぽくないシュートを打つと思うのは宇佐美。パスのセンスでいうと中村憲剛。意外性とは違いますけど、パスを短距離、中距離、長距離全部通せる能力が高くて、視野が広い。ああいう選手が若手で出てきて欲しいです。

ネガティブなこと、悪いことを言っちゃいけないという空気が出来上がっている。

メディア上で色々なサッカーの仕事をさせていただいていますけど、正直ちょっと気持ち悪いなと思うこともあります。ネガティブなこと、悪いことを言っちゃいけないという空気が出来上がっている。多少の指摘はいいけども、核心を突いちゃいけないというか、気をつかわなければいけなくなっているとは思います。W杯前の予想でも、みんな2勝1分けの予想をしていましたけど、そんな中で「現実は厳しい。2敗1分けじゃないですか」という人もいなきゃいけないと思うんですよ。でも、今回これだけ負けて、そういう部分から変えなきゃいけないと思った人も多いんじゃないでしょうか。国民が「日本代表は強い」と思っていたのが、ある程度メディアの意図的な戦略だったということに気づいたというか。それが選手を調子に乗らせてしまった部分もあったんじゃないかな。海外を見てみると、試合に勝てばもちろん持ち上げるけど、負けたらボロクソじゃないですか。それでいいと思うんですよね、本当は。

みんなの目が肥えていけば、自然と日本のサッカーが強くなると思う

これだけワールドカップで盛り上がったので、その根本である日本のサッカー、Jリーグをもっと好きになって盛り上げてほしい。きっかけはなんでもいいんですが、そこから本当にサッカーを好きになってもらって、みんなが冷静な目で日本のサッカーを見るようになったらいいな。メディア的な「絶対勝てる」とかじゃなく。みんなの目が肥えていけば、自然と日本のサッカーが強くなると思うんです。だからサッカー好きが増えて欲しいというのがいちばん大きいですね。日本代表戦であれだけの熱を持てるんだから、負けても騒ぐスクランブル交差点みたいなことをしなくなった時に、日本がW杯でベスト8、4と勝ち上がっていけると思うので、選手の成長ももちろんですが、僕ら観る側、応援する側も成長していくというところに期待したいです。まずは自分が率先してですが。
 

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JOY プロフィール

JOY(ジョイ)

JOYプロフィール

1985年4月15日生まれ、群馬県出身。高校生の時にスカウトされてファッション誌「men's egg」のモデルとしての活動を開始。ファッションショーなどにも多数出演しており、渋谷ガールズコレクションでは男性モデルとして3年連続抜擢された。最近ではテレビのバラエティー番組で活躍するほか、音楽活動も活発に行うなど活動の幅を広げている。

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