サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

第94回天皇杯。大会の醍醐味であるジャイアントキリング(以後、ジャイキリと表記)を起こし、その象徴たるゴール表彰する「SURUGA I DREAM Award」に奈良クラブの岡山一成選手が選出された。地域リーグがJ1を破る値千金のゴールを挙げた岡山選手は来季もジャイキリを狙って早くもギラついています。

ジャイキリを果たしたゴールは「完全に何か降りてきました」

「SURUGA I DREAM Award」ありがとうございます。もちろんチームのみんなのおかげですけど、選手個人として表彰されることはほとんどなかったのでめちゃくちゃうれしいです。
でも布石は去年の天皇杯にあったと僕は思ってます。去年は2回戦でヴィッセル神戸と対戦したんです。Jクラブに勝ちたい、ジャイキリを起こしたいとチーム全員が思っていたのですが、3点取られてしまって。0-3の状況で僕が途中出場したんです。とにかく1点、と思っていて試合終了直前に取れたんです。
奈良クラブがJクラブから公式戦で得点したのがおそらく初めてで、僕は「歴史、作ったで!」という感じでゴール裏に走ってサポーターと騒いでいたんですが、するとチームメイトが「オカさん、何してんの! 早く戻って!!」と怒られたんです。まだ1-3でもうアディショナルタイムに入ってるのに、彼らはまだ勝利を目指していたんですよね。反省したし、彼らを尊敬しました。
その時ですね、Jリーグのチームと対戦することや、プロとアマチュアが同じピッチに立てるこの大会の意義を知ったのは。同時にこのチームで勝ちたいと強く感じました。
それがベースとなって、今年のベガルタ仙台戦(2回戦/7月12日@ユアテックスタジアム)です。トーナメントを見た時にイメージは湧いてました。なんとかユアスタまで辿り着いて仙台に勝つ。僕とシュナ(GKシュナイダー 潤之介)は仙台に所属していましたから特に燃えてましたね。ありがちな「善戦して負けて『よく戦った』みたいな拍手をもらう」みたいのは嫌でした。
実際、前半を1失点でなんとか耐えて、後半に1点とってくれて1-1。途中出場の僕にとっては最高の舞台です。
あの決勝点は思い出すと不思議ですね。アシストしてくれたMFの鶴見聡貴がボールを出す前くらいから映像がスローモーションになって、打つ前に「あ、これ入るな」と確信を持ったような…そんな感覚でした。
その感覚を「ゾーンに入る」と表現する人もいてますね。僕も実はヘディングなら、妙に全身が冴えて、GKの動きもボールの回転も何もかも見えて、打つ前から「あ、入るな」という感覚を抱くことは何回かあったんです。でも足のシュートでは初めてでした。完全に何か降りてきてました。
インサイドで真っすぐに決めた僕も驚きましたし、若い選手もみんな「オカさん、そんなの持ってるんですね!?」と言ってましたから。20代の頃にもっとああいうのが降りてきたらなあ、とちょっと思いましたが、まあサッカーの神様が諦めずにサッカーを続けてきたご褒美をくれたんだと思っています。

来季は大仏ダービー&鹿ダービーに注目!?

いま、奈良クラブで矢部GMを中心に「リアルさかつく」をやっている最中です。まだまだ足りないものは多いですが、でもそんなクラブでもトップリーグのチームを倒すこともあるんですから、サッカーって本当に面白いですよね。
正直、天皇杯って苦い思い出のほうが多かったんです。どっちかというとジャイキリされるほうが多かったですし、Jクラブにいる時は出られることが当たり前やし、アマチュアチームと当たる時はターンオーバーを敷くようなこともありましたし。
でもそれはアマチュアになってまったく発想は変わりました。Jクラブと真剣勝負するためにアマチュア選手がどんな思いでこの大会に臨んでいるのか、どれだけココに賭けているのか、分かりました。
ジャイキリについては負けたチームに「情けない」と言う人もいますが、それはちゃうと思います。「SURUGA I DREAM Award」をとっても、去年のAC長野パルセイロ、一昨年の福島ユナイテッドFC、その前のまだJFL時代の松本山雅FC etc.…。そこらじゅうでジャイキリは起きているんです。それはトップリーグがダメになっているのではなく、裾野が広がっている証明だと僕は考えています。
今年、仙台に勝てた僕らだって、奈良代表になるために奈良県代表決定戦の準決勝で天理大学さん相手に延長戦までいきましたし、ディアブロッサ高田FCさんとの決勝もどっちが勝ってもおかしくない試合でした。どのクラブにも可能性はあるんですよね。だから1コ上のカテゴリーに勝つくらいじゃ、ジャイキリと呼べなくなる時代もすぐそこに来ているのかもしれません。
だからこそ来年以降の天皇杯は本当に楽しみです。来年のトーナメント表、見るのが楽しみですね。個人的には湘南ベルマーレとの大仏ダービー、鹿島アントラーズとの鹿ダービー、そういう面白い試合ができるなら、僕もまだまだ引退できません。あとは娘・花音(かのん)はまだ2歳なので、彼女が「パパがサッカーやっている」と認識するまで、スパイクは脱ぎません。またスタジアムでお会いしましょう!
 

岡山 一成が選んだベスト11

共にプレーしたベスト11

GKはプロ生活で最初に出会って、そのままずっと僕の中で最高峰の守護神であるヨシカツさん。最終ラインにはアジアの壁とピッチ内外でお世話になった兄貴分のマツ君。右サイドは仙台時代の弟分・菅井君ですね。左サイドには「困ったら預けておけ」とかなりの頻度で頼っていたアツさん。中盤は要求は厳しいけど、「あいつのパスをもっと感じることができてたらなあ」と今でも少し後悔するシュン。選手としての能力も当然ながら僕が選手として接した1000人くらいの中でもいいヤツの1番と2番に入るモリシさんとケンゴ。CFには憧れの城さん。シュンのボールをあんな風に受けていれば…と思います。最前列の右には家族さえそばにいれば最強の外国人ジュニーニョ。左は永遠のやんちゃ小僧、ヨシトですね。彼のプロ初ゴール、あれは僕が頭で落としてアシストしたんですよね。それは密かな自慢で、ヨシトが忘れないように会う度に「お前のプロ初ゴールはオレのアシストやで」としつこく言っています。けっこう豪華なメンバーになりましたね。彼らに負けないように僕も頑張ります。

岡山 一成 プロフィール

岡山 一成(オカヤマ カズナリ)

岡山 一成プロフィール

1978年大阪府出身。初芝橋本高校卒業後、横浜マリノス(当時)と契約しJデビュー戦から3戦連続弾を決める。川崎フロンターレ、柏レイソル、ベガルタ仙台、コンサドーレ札幌などでもプレーし、特に川崎や柏などで試合後、サポーターを前にマイクやトラメガ片手にサポーターと共にコールをする「岡山劇場」は各スタジムで名物に。12年シーズンで一時はピッチから離れるも、13年夏に奈良クラブで現役復帰。岡山劇場は奈良で開演中。詳しくは奈良クラブHP(http://naraclub.jp/)または「オカヤマガ行ク!」(http://www.okayamakazunari.net/)を!
 

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