サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

女性フットサルプレーヤーのために、静岡で開催された「第1回スルガなでしこフットサルカップ」(2016年12月4日(日)開催)で、見事初代MVPに選ばれたVEEX TOKYO LADIESゴレイロの森知美選手。競技人口は増えつつある女子フットサル。アジアの中でもトップレベルの実力を誇るにも関わらずプロすら存在しない現状の中で“競技”としてフットサルに向き合う彼女は何を想い、何を目指しプレーを続けるのか。そこには想像を超える大きなフットサル愛が存在した。

サッカーを続けようとは深く考えていなかった

サッカーを始めたのは小学1年生。幼稚園の先生が親に「サッカーをやらせた方が良いですよ」って言ったのがキッカケでした。元々、休み時間にボールを使って遊んだり、サッカーをしていることが多かったからで、深い意味はなかったと思います。たまたま通ってた小学校にあったクラブチームで6年間男子に混ざってサッカーを続け、中学校は女子のクラブチームに入り、高校は女子サッカーの強い村田女子高等学校で続けました。

GKになったのは中1の終わりくらいですね。たまたまGKをやっていた子がやめてしまったので。最初は他の子がGKをやり始めたんですけど、その子はサイドバックの子だったのでフィールドでやってもらった方が才能を活かせるし、私は当時フォワードだったのですが、特にフェイントが使えるとか足元が上手いタイプではなくて、ただボールを持ったらゴールへ一直線っていうスタイルのそれしか出来ないフォワードだったので、自分から「やるやるー」って言いました。GK自体は小学校の時からたまにやっていたので特に抵抗なく始められましたね。

高校くらいまでは上のレベルでやりたいなと思っていましたけど、特にサッカーを続けようとは深く考えてなかったです。勉強が嫌いだったので、高校進学時もサッカーで高校行けるなら万々歳って感じでした。

高校3年間はサッカーに本気で打ち込んでいましたけど、卒業と同時にサッカーはやめました。元々卒業したらやめようかなーって考えていたので。声がかかったら上へ行って続けようかなとも思っていましたが、キーパーっていう特殊なポジション柄、身長が低いというのが唯一のネックだったんですよね。11人並んでも1番小さいのがGKの私という時もありましたし。なでしこリーグ、なでしこジャパンのGKを見ても最低でも160cm以上はあって、私は160cmもないので。そんな時、卒業する少し前くらいに中学校の時のチームメイトに遊びでフットサルしようよって誘われたのがキッカケでフットサルと出会いました。「GKいないからきて」と誘われただけなんですけどね。

フットサルを自分から取ったら本当に何も残らない

遊びで始めたチームがいつの間にか都リーグへ参戦することになりました。始まりは2004年にFリーグのペスカドーラ町田の前身のCASCAVELっていうチームだったんですけど、中学の時の友達で集まっていたチームが、友達が友達を呼んでという形で、気付いたら競技志向のチームに変わっていきました。元々、競技でするつもりがあったわけではなく、自然とひゅーっと流れていった感じです。そのチームで6年間プレーし、2010年からファンレディース、そして今のVEEXとフットサルに転身して12年が経ちます。

プロもない、交通費にしても自己負担で続けることが大変なフットサルを今もなお続けているのは、単純に「フットサルが好きだから」それだけです。

中学2年生の時にちょっと色々あって、その時にサッカーが自分の居場所だったんです。それがあったから道を外さずにすんだかなって思いますね。一緒にボールを蹴る仲間だったり、当時は“サッカー”っていう存在が支えでした。サッカーや今だったらフットサルを自分から取ったら本当に何も残らないです。それしかやってないし、本当に楽しいからこの歳になっても続けられていますし。チームメイトやフットサル仲間を見ても皆が続けているのは純粋に好きだから。好きじゃなきゃ続けていけないと思うし、女子フットサルはどれだけ真剣に取り組んでいても、プロがない以上他の人から見たら趣味の延長って思われてもそれが現実だと思うし、じゃあそれでもなんで生活を犠牲にしてまでやるのかって言われるかもしれないけど、やっぱりそれは好きだから。本当にそれだけなんです。チームメイトの中にはフットサルの為に仕事を選んでいる子もいますからね。

どれだけ盛り上げられるかがこれからのフットサルにとって大事

競技の年齢層はだいぶ若返ってはいるけど、自分より歳上の選手もまだまだいます。競技人口は増えていますが、競技レベルの上と下の差が開いている気がしますね。それは環境面が少なからず影響していると思います。

やっぱりプロではないので活動費、遠征費を捻出することがネックであり、最大の課題。それぞれの地域リーグを運営するにあたっても費用はかかってしまうので、そういう支援をしてくださる企業だったり応援してくださる会社の為に認知度を上げていくっていうのも地域リーグを戦う自分達の使命なのかなとも考えています。それこそ今はネット社会なので上手く利用して情報を発信していくとか。あとはとにかく会場に足を運んでいただけるようにしたいです。プロでやっていける環境が今の日本にはないし、サッカーと比べるとマイナー競技なので、男子を見てもFリーグとJリーグだったらJリーグの方が盛り上がりますし。なので、今はプロうんぬんより女子フットサルの認知度、どれだけ会場に来てもらうか、女子フットサルだけではなくフットサル全体の認知度、どれだけ盛り上げられるかがこれからのフットサルにとっては大事だと思っています。

目指すのは日本一

最近の結果だと2016年10月の末にあった全国大会で、予選リーグ敗退でした。チームの得点力不足が課題となりましたね。2勝1分け、負けなしで予選敗退。得失点も並んだので総得点で1点足りず敗退となってしまいました。

私は、チームの中で良くも悪くも目立つタイプですかね。年齢は上から2番目。ムードメーカーと思われるけど実際は全然違います。プレーでは試合中コーチングの声を止めることはないですね。自分にはそれしかないと思っていますので。なるべく前向きな声かけしかしないように、特に試合中はマイナスなことは言わない様に心がけています。熱くなるととっさにわーって出てしまうことも稀にありますけど、チームメイトの気持ちが下がる様なことは言わないようにしています。

最近チームに中学1年生13歳の子も入って、そうなると一回り以上離れているんですよ。すごく新鮮。私がフットサル始めた時は1番下で、上の人たちの中でやってきて、ついに私にもそういう日が来たか……と(笑)

年齢的にはチームを引っ張る側になったけど、歳上ぶることはなくてむしろ精神年齢は同じくらいなので楽しくやっていければと常に考えています。上と下の垣根はない方が良いし、下の子はどうしても上の人に気をつかってしまいますし。気を使われるのとか本当に嫌で、敬語を使われるのとかも大嫌いなんですよ。本当にフラットに、「チームメイトなんだから」という気持ちで接していますね。31歳にもなってこんなことして遊んでるのかっていう位のこともたくさんしています。本当にバカだなーとも言われますし、その位ふざける時は年齢関係なく全力で遊びます。

チームメイトとは住んでる場所がバラバラなので、プライベートで常に一緒というわけにはいかないですけど、先日一緒にフットサルを観に行きました。日本女子プレリーグを観るためにエコパ(静岡)まで。自分たちが参戦してないリーグの雰囲気やレベルも気になりますし、プレとはいえ現状日本のトップリーグという位置づけなので、自分たちのいる関東リーグとはまた違う雰囲気なんだろうな、一度観てみたいなと思いまして。そして観た時に「この舞台でやってみたいな」と改めて思いました。負ける気はさらさらないです。でも、まずは目の前の関東リーグをしっかり勝って地域チャンピオンズリーグの出場権をとりたいですね。目指すのは日本一。日本一をこのチームでとるまではやめられないです。やめたくないとは思いますけど……なんせ年齢が年齢なので(笑)

オスカー(監督)が大好きだからこのチームがある

あるキッカケから、今のVEEXとして活動することになった時にエントランスリーグ(東京都の一番下のカテゴリー)からのスタートになったのですが、それは今でも思い出したくないです。メンタル的にも本当にキツかったので。そこから順調に昇格してきましたが、関東リーグに参戦できるようになって4年目となりました。下のカテゴリーに落ちてしまったということより、関東リーグに残れなかったということが辛かった。今はやっと関東リーグに戻ってこれて、地域チャンピオンズリーグへの出場権獲得のチャンスもあります。関東リーグを優勝しないと得られない出場権ですし、下のカテゴリーにいる時は出ることができないですからモチベーションも違いますね。プレリーグにもいつか自分たちのチームも参戦したいという気持ちはもちろんあります。そのためには準備など色々と必要なのでなかなか簡単にはいきませんが、出来るならいつかあの舞台へ。

監督とは普段から何でも言い合える関係なので改めて言うことはあまりないのですが、オスカーが大好きだからこのチームがあると思っています。私自身も、そしてチームの皆もエントランスからスタートになっても、やっぱりオスカーと一緒にフットサルがしたいという気持ちでここまできました。私の中で大きかったのは飾った言葉でも何でもなくて、試合前にオスカーから「信頼してるよ」って。たった一言ですけど、最高の褒め言葉ですよね。

やっと関東リーグまで戻ってくることが出来たので、オスカーの為にも、自分、そしてチームの為にも関東リーグ自力優勝。さらなる上の舞台へオスカーを連れて行きます!

森 知美が選んだベスト11

サッカー人生で最も影響受けた選手達!

岩清水、永里はU18東京選抜で一緒にプレーして本気ですごいと思った。横山は教え子でしたけど当時から別次元でしたね。
 
監督
眞境名オスカー
FW
横山久美 永里優季
MF
澤穂希 名波浩 中村俊輔 明神智和
DF
長友佑都 井原正巳 岩清水梓 坪井慶介
GK
川口能活

森 知美 プロフィール

森 知美(モリ トモミ)

森 知美プロフィール

東京都出身。小学生で始めたサッカーでは女子サッカーの強豪・村田女子高等学校に進み東京都選抜にも抜擢される。2004年からフットサルへ転身。2007・2010・2011年は日本代表にも選出され、現在はVEEX TOKYO LADIESに所属し関東リーグでプレーをしている。

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