サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

天皇杯の醍醐味であるジャイアントキリングを起こし、その象徴たるゴールを表彰する「SURUGA I DREAM Award」。第97回大会では2回戦のベガルタ仙台戦で2得点を挙げて勝利に貢献した、筑波大学の三笘薫選手がチームメイトの中野誠也選手と共に選出された。王者フロンターレに強化指定された東京五輪世代屈指のチャンスメーカーの夢を聞いた。

フロンターレ下部で意識した、ボールを運ぶことの大切さ

6歳の時にさぎぬまSCというクラブでサッカーを始めて、小学校2年生でセレクションを受けてフロンターレに入団しました。さぎぬまSCでは中心選手だったと自分では思っていたのですが、フロンターレの1学年上には三好康児選手や板倉滉選手がいて、彼らに比べると僕なんか普通の選手、特徴のあるプレーヤーではなかったです。
それでも技術練習の大切さやサッカーの本質を徐々に学ばせてもらって、中学2~3年生あたりで、身体が小さかったこともあり、技術を伸ばそうと意識するようになりました。ボールを運ぶ、ドリブルで突破することにこだわりを持ち始めたのはこの頃だったかもしれません。
ユースに行くと、それまではボランチや中盤の低い位置でゲームを組み立てるポジションが多く、その役割も好きだったのですが、高校2年生くらいからサイドでも使ってもらえるようになってきて、自分でも1対1のトレーニングを増やすようにしました。今でもサイドでプレーすることは多いですが、真ん中とは違った面白さがあるので「どっちが好き」とも言えないですね。
トップ昇格の話もいただいたのですが、自分は選手としても人間としてもまだ未熟だと思っていましたし、両親も「自分で決めなさい」と言ってくれたので筑波大学進学を選びました。その判断は自分でも良かったなと考えています。
 

先輩の質の高いフリーランで生まれたジャイキリ弾

「SURUGA I DREAM Award」ありがとうございます。トロフィーは思ったより重く、すごい賞をいただいたんだと実感しました。
ノミネートされたベガルタ仙台戦(2回戦/2017年6月21日/ユアテックスタジアム仙台)の先制点ですが、ボールを持って、後ろから来た一枚目をはがすイメージまでは持っていました。その先は、相手陣内に進むと(中野/FW)誠也さんと(北川/FW)柊斗さんがいいランニングをしてくれたので、「行こう」と決めていたというより「空いた」と判断して入っていった感じでした。試合の序盤で隙を突くことができたし、あのゴールでチームに勢いをもたらせたんじゃないかなと思っています。
ただ、欲を言えばフィニッシュが甘かったです。もっと強いボールをサイドに蹴れるようにしないと。
というのも、その先の大宮アルディージャ戦(4回戦/2017年9月20日/カシマスタジアム)で、決定力の差を感じたからです。チャンスの数はそう変わらないように思えたのですが、大宮アルディージャと僕らではゴール前の質がやっぱり違いました。サッカーはそこで勝負が分かれるスポーツですので、そこを高めていかないといけない。新チームの課題のひとつです。
そういう意味でも、あの試合の誠也さんの同点ゴールは素晴らしかったですね。普通の選手だったら、触ることはできてもボールは上に飛んでしまうと思うんです。でも、誠也さんは身体を一回ねじってしっかりと抑えて撃っている。あれに反応して決めるというのはやはりストライカーの素質です。他の人にはできないゴールだったと思います。
 

まずは2018大学三冠を そして2020東京五輪へ

今年は3年生になります。チームの中心選手にならないといけない学年ですし、相手チームから「こいつはヤバい」と警戒される存在にならないといけません。2017年は強い筑波を見せることができましたが、これを継続できないと意味がないと思っています。
特に10番の柊斗さんや、17年に20得点してくれた誠也さんが抜けた穴は大きいですが、「4年生がいなくなって点が取れなくなった」とは絶対に言われたくないので、数字にもこだわりたいです。17年は僕は4得点6アシストしか残していませんが、18年は10得点10アシストを狙っていきたい。昨年以上の得点力を示した上で堅い守備もしっかりと作っていきたい。目標は総理大臣杯、関東大学リーグ、インカレの三冠です。
まずは大学でしっかり結果を残して、個人としては大学での安定したパフォーマンスをベースに、フロンターレの試合に絡めればいい形になるのかなと思っています。あとは年代別代表に継続して呼ばれて、オリンピックに繋がる年にしたいですね。
そのためには足りないものがまだまだあります。先ほど挙げた最後のシュートの技術や、走力ですね。ベガルタ仙台戦のああいうトップスピードでのプレーや、スプリント、連続した動きは、本当は何度も繰り返すことができないといけないんです。初速の部分はある程度通用した部分もあったので、質の高いランを継続すること。それは個人の課題になってくると思います。フィジカルとスプリントを強くする意識をしてさらに成長したいですね。
チームとしても、来年もどこを相手にしても臆さずに自分たちのプレーができるように、また天皇杯でトーナメントに残れるようにトレーニングを積んでいきたいと思います。
 

三笘 薫が選んだベスト11

自分が選ぶ歴代最高のワールドイレブン

フォーメーション:3-4-3 監督:ジョゼップ・グアルディオラ
GK:
ジャン・ルイジ・ブッフォン
DF:
アレサンドロ・ネスタ、セルヒオ・ラモス、ロベルト・カルロス
MF:
ボランチ:アンドレア・ピルロ
右:シャビ
左:ネイマール
トップ下:アンドレス・イニエスタ
FW:
リオネル・メッシ、ロナウド、クリスティアーノ・ロナウド
 
 
自分が観てきた中であんまりポジションに関係なく、本当にすごい選手を集めました。バランスは考えていません。めちゃくちゃ攻撃型です。
GKは年齢に関係なくずっとビッククラブでプレーし、ビッグセーブを連発できるブッフォンですね。右に守備の達人のネスタ、中央は多少荒っぽいですけど個人的に世界一のセンターバックだと思っているセルヒオ・ラモスを。左にはFKのキッカーとしてもロベカルを。あの足の筋肉はヤバいっす。
ボランチにキックの質が高いピルロを置いて司令塔になってもらって、頭も良く総合的にサッカーが世界で一番うまいと僕が思っているイニエスタをトップ下に。そのイニエスタと相性でシャビを右に。左のネイマールは一番好きな選手なので自由にやって欲しいですね。
最前列は右に宇宙人、真ん中に怪物、左にオールラウンダーを並べてみました。どこからでもゴール狙えそうでワクワクしますね。
しかし、このチーム、相手にしたくないっすね。どの局面に入っても自分が突破できるイメージがまったく湧かないです。
 

三笘 薫 プロフィール

三笘 薫(ミトマ カオル)

三笘 薫プロフィール

1997年神奈川県出身。さぎぬまSCからフロンターレのアカデミー、U-15、U-18を経て筑波大学に進学。大学サッカー界でも出色のシャドーストライカー、あるいはドリブラーとして高い評価を受け、東京五輪でのメダルを目指す森保ジャパンにも選出され、2017年のJFA・Jリーグ特別指定選手にもなった。第97回天皇杯では2回戦のベガルタ仙台戦で先制点と決勝点の2得点を挙げSURUGA I DREAM Awardを受賞。178cm、66kg。
 

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