サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

「Jユニ女子会」主宰者の一人である幸菜さん。女性それぞれが応援しているチームのユニフォームを着用し、サッカーについて語り合う。当初は5人のスタートだったが、SNS効果もあり、気がつけば500人規模のコミュニティーにまで発展した。「女性がサッカー観戦を楽しむというライフスタイルをもっと日常化していきたい」。日本サッカー文化の新しい一面が見えてくる。

5人から500人へ。Jユニ女子会、拡大するコミュニティー

2016年1月に活動が始まったJユニ女子会は、クラブの垣根を越えて、Jリーグを好きな女性たちがサッカー愛を共有するコミュニティーです。始めたきっかけは、プロ野球チームのファンが男女を問わずユニフォームを着て“野球愛”を語る会がある、という記事を読んだことでした。別のきっかけで仲良くなったもう一人の主宰者である木下紗安佳さんと、「ほかにも同じサッカー好きな女性がいたよね?」と話題になり、Jリーグ好きの女性5人が集まってひたすらサッカーを語る会を始めたことがそもそものスタートでした。男性は日常会話の中でもスポーツの話題が出てくるものですが、女性がスポーツの話題を出すとマニアックだと思われがちです。でも、いざそういう会を始めてみると、こんなにもサッカーが好きであることを分かち合いたいという女性が周りにいるんだなと驚きました。
定期的に5人で集まって食事会を開いている中で、その内容をSNSなどにアップしていると、「私も入りたい!」と次第にコメントが付くようになりました。そして参加希望者の方たちとメッセージのやり取りをしていく中で、その人数が10人、20人と次第に増えていきました。それからはJユニ女子会のGoogleフォームを立ち上げて、遠方の人とも交流できるコミュニティーにできればと次第に全国規模に拡大していくと、当初からのメンバーとは「1年で100人ぐらいに広がればいいね」と話していたJユニ女子会が今では500人規模のコミュニティーになっています。
これまでも何度か一人でも多くのメンバーが集まれるようなイベントを開催してきましたが、最大のイベントは約60人が集まりました。ただ地方のメンバーは参加できないため、2016年の忘年会イベントでは、大阪と福岡でも同日開催し、スカイプで各地をつないでやり取りをする機会も設けました。意外に活動を始めると、思ったよりもJリーグ好きの女性が多く、その輪が広がっていきましたね。一時期は3カ月に一度のペースで運営側主催のイベントを開いてきましたが、今ではJユニ女子会のメンバー間で様々なスピンオフの企画を実施しているメンバーもいます。
今ではメンバーが500人規模になってきたため、自主運営での大掛かりなイベント企画もなかなか難しくなっていますが、『Jユニ女子会』のコミュニティーをフックに、メンバーそれぞれが自発的にそれぞれのJリーグの楽しみ方を発信する機会も増えてきました。
 

人生で最もうれしかった瞬間は、2015年逆転勝利でのJ1昇格

サッカーが私の中で日常化するきっかけとなったのは、小学校2年生の時にJリーグが開幕した時。昼休みも放課後も、学校のクラブ活動も女子サッカー部に所属し、サッカーで“遊ぶ”ことが日課でした。サッカーはボール一つで、いつでもどこでも、男女や学年関係なく楽しめる、コミュニケーションツールの一つでした。
私がサッカーを観ることにハマったきっかけは、2002年の日韓W杯です。この盛り上がりに触発される形で、代表の試合がある時だけ盛り上がる、いわゆる“にわか代表ファン”になったのが始まりでした。ただ、当時は高校生だったので、みんなでお店や友人の家で集まって観戦したり、成人してからはスポーツバーで代表戦を見る程度でした。Jリーグの初観戦は、2011年です。幼馴染の同級生に誘われて、大宮アルディージャのホームスタジアムであるNACK5スタジアム大宮で観戦した名古屋グランパス戦でした。当時、ピッチでプレーしていた名前を知っている選手は田中マルクス闘莉王選手と玉田圭司選手ぐらい(苦笑)。スタジアム観戦について“壁”のようなものを感じていた私が、いきなり飛び込んだ世界が大宮のゴール裏でした。「どうしよう……」と思っていると、周りの大宮サポーターの方が優しく接してくれました。「応援歌が分からなくても大丈夫。タイミングを合わせて手を叩いてください」と言っていただけたので、見よう見真似でやっていると、次第に心地良さを感じるようになって。ゴール裏を取り巻く空気感が好きになりました。
サッカーを見ている自分はすごく自然体になれますし、あれだけ喜怒哀楽を表現できる場所はなかなかありません。子どもの頃のような素の感情でいられるんです。しかも大宮のゴール裏はアットホームで家庭的な雰囲気。今は家族のような空気感を作り出している大宮アルディージャと大宮サポーターが大好きです。
大宮のサポーターになってから最も思い出に残っていることは、2015年のホーム最終戦・大分トリニータ戦です。54分までに2点をリードされる展開でしたが、69、81、87分に大宮がゴールを決めた大逆転勝利の試合です。この勝利で大宮アルディージャはJ2優勝とJ1昇格を決めました。この試合のことを話しているだけで今にも泣き出しそうなくらいです。0-2になってからは、これまで積み上げてきた想いやプライドがズタズタに切り裂かれた思いがして、人生が終わったみたいな心境になりかけましたが、不思議と大宮サポーターは全然あきらめていませんでした。69分にムルジャ選手が1点を返して1-2になった時点でこれは逆転までいけると思いました。勝利の瞬間は今までの人生の中で一番うれしい瞬間だったかもしれません。私がサッカーでここまで感情が揺さぶられるとは……思ってもみませんでした。人のために涙を流すことがあるなんて、そうあることではないですよね。
大宮のサポーターになって、そしてJユニ女子会での活動を通じて、日常生活の中にサッカーがあることで今はすごく幸せです。これからも女性がサッカー観戦を楽しむというライフスタイルをもっと日常化していきたいですね。いつしか、サッカーを文化として楽しめるような環境になるための力になりたいと思っています。Jユニ女子会が日本のサッカー文化を盛り上げる意味でも良い存在になっていきたいです。
 

幸菜が選んだベスト11

私が大宮サポーターになってからのベスト11

加藤選手はチームを盛り上げる存在としても欠かせません。2017 年のチーム成績は低迷したものの、加藤選手のファインセーブがDAZN週間ベスト5セーブに選ばれることも多かったです。
下平選手は2年の在籍期間で横浜FMへ移籍してしまいましたが、忘れられない存在です。大宮のCBはキク(菊地光将)とコウモ(河本裕之)以外は考えられません。菊地選手はキャプテンでもありますし、責任感の強い選手。パワープレーでも力を発揮してくれることも頼もしいです。河本選手は普段の姿は穏やかですが、試合中は熱い選手。点を取れることも魅力です。右SBは奥井選手。2018年も共にJ2を戦ってくれることがうれしいですし、豊富な運動量を活かして粘り強くチームを守ってくれる献身的なプレーが好きです。
中盤のアンカーには横谷選手。チームを救うプレーが多い選手です。サイドの泉澤仁選手はドリブル突破が魅力です。マテウス選手はここ一番に強い、ひたむきなプレーが好きです。決してあきらめずに最後まで走り切る姿勢もすごくいい。さいたまダービーなど重要な試合で点を取れますからね。そして中盤の真ん中は家長選手。あまり大きな声では言えませんが、大宮に加入する前も去ってからも、華麗なプレーが本当に大好きで今も応援している選手です。いなくなってあらためて存在のすごさを感じています。この選手なくして、大宮の歴史は語れません。
FWはラファエル選手とムルジャ選手。実はラファエル選手は私が大宮サポーターになって最初に名前を覚えた選手なんです。さいたまダービーでゴールを決めて浦和に勝つシーンをたくさん見せてくれました。まさに大宮の魅力を感じさせてくれた選手です。最後のムルジャ選手はプレーはもちろんのこと、人柄が素晴らしいです。退団セレモニーで泣いた姿を見て、大宮のことを本当に好きでいてくれたことがうれしかったです。
 

幸菜 プロフィール

幸菜(ユキナ)

幸菜プロフィール

東京都出身・埼玉県育ち。『Jユニ女子会』主宰者の一人。SNSを活用したプロモーション事業に従事する傍ら、美容関係の執筆・編集業にも携わる。小学校時代は女子サッカークラブに所属し、2002年の日韓W杯でサッカー観戦に目覚め、2011年から大宮アルディージャのサポーターに。1年でのJ1復帰を願い、2018年も熱く大宮をサポートする。
 

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