サッカーを愛して止まないあの人の ゆめのはなし

スポーツ業界への転職や就職支援をサポートしている池上達也さん。働く場所の一つとして「スポーツを仕事にする」選択肢があることを広めるために立ち上げたサービスは、2018年で10周年を迎える。そんな池上さんが、サッカーにハマったのは中田英寿を知ってから。1998年以降に行われた日本代表戦は全試合視聴するほどサッカーに魅せられている。

スポーツ業界を志す人と企業をつなぐ人材エージェント

私は2008年に「スポーツゲート」を立ち上げ、スポーツ業界への転職や就職を考えている人の支援をしています。求職者の方が今までどのような仕事をしてきて、これからなぜスポーツ業界に入りたいのか、どのような仕事をしたいのかなどの話を伺い、求人企業からの要望と照らし合わせ、人と企業をマッチングしてご紹介する、という形です。
一般的な求人サイトでは、求人企業が求人情報を掲載し、登録者がサイト上で案件を検索してエントリーをしますが、私たち人材エージェントの場合は、エージェント自身が求人案件と求職者をマッチングします。それをスポーツ業界に特化して行っています。
新卒で入社した会社が人材ビジネスの会社だったことや、私自身が一転職者として、アスリートマネージメント会社に転職した際に苦労した経験などもあり、このサービスをスタートさせたのですが、今年で立ち上げてから10周年を迎えました。
 

「なぜスポーツを仕事にしたいのか」を考え抜いて

スポーツ業界を志す人は、「なぜスポーツを仕事にしたいのか」「スポーツを仕事にする必要があるのか」を、とにかく考え抜いて欲しいです。スポーツと関わりながら生きていく方法は、たくさんあります。例えば、週末にスポーツをする、徹夜してでも海外スポーツの試合放送を観る。他にもスポーツへの関わり方はいくらでもある中で、転職をしてでもスポーツを仕事にしたいのかをまず一番に考えて欲しいです。「なぜスポーツを仕事にしたいのか、しなければいけないのか」という目的をしっかりと考えることが大切です。
また、スポーツ業界は、他の業界よりも年収は下がる傾向が強いです。ですが、それを補い余るくらいのやりがいを感じられるかもしれません。例えば商品開発に携わって、そのスパイクを履いた選手がゴールを決めて、それが勝利につながったらすごくうれしいですよね。下がってしまう年収分は、精神的なやりがいや充足感で相殺、むしろお釣りがくるという考えで転職する方が多くいらっしゃいます。目的がしっかりとしていることは、スポーツ業界への転職において非常に重要です。
 

中田英寿に影響を受けてサッカーに興味を抱く

元々サッカーをやっていたわけではない私がサッカーにハマったのは、中田英寿さんの影響が大きいです。各年代の日本代表でプレーし、20歳でフル代表に選出。グラウンド内では臆せず先輩を呼び捨てにし、刻一刻と状況が変わる試合の中で『“さん”を付けているその1秒がもったいない』と考える選手だったようです。
ジョホールバルの歓喜(97年11月16日イラン戦)でも、あの劇的な決勝点につながるシュートを打ったのは彼でしたし、セリエAという当時世界ナンバーワンのリーグで「厳しいだろう」という下馬評をはね返して、開幕戦(98年9月13日ユベントス戦)で2ゴールを決めたのが強く印象に残っています。彼よりも前に海外でプレーしていた選手はいますが、実質的にその道を切り開いたのは私の中では中田英寿さんではないかなと思っています。そこから完全にサッカーにハマっていきました。W杯は世界で最も大きいスポーツ大会の一つですし、国の威信を背負って戦うその様は、サッカーの醍醐味の一つだと思います。
1998年以降の日本代表の試合は、親善試合や強化試合も含めてすべて観てきていると思います。日本代表を20年間見てきた中で、最も印象深いのは2010年のW杯南アフリカ大会。2006年にイビチャ・オシムさんが監督に就任し、「日本サッカーの日本化」という魅力的でわかりやすいコンセプトとともに順調にチーム作りが進んでいましたが、オシムさんが倒れられて、岡田武史さんに白羽の矢が立ち、無事にW杯出場を決めた大会でした。本大会を前に試合が思うようにならずに批判や不安の声が多くなり、大会直前の強化試合でも結果が出ませんでした。そんな中で、選手起用や戦略を大幅にリセットして、勝つことのみに焦点を当てた結果、他国開催では初のベスト16進出、歴代最高の実績を引っ下げて帰ってきた大会です。
今回の2018年W杯ロシア大会ももちろん注目しています。本番2カ月前にハリルホジッチ監督が解任され、厳しい状況には違いありませんが、チーム一丸となって、残りの時間で最善の準備をして大会に臨むことを願っています。
もう一つ、私は長崎県出身です。2017シーズン、V・ファーレン長崎が初めてのJ1昇格を果たし、2018シーズンからJ1で戦っています。「ジャパネットたかた」の高田明さんが同チームの社長に就任されてから、チームはより強くなりました。また、ホームスタジアムの場所はとても重要です。クラブは、スタジアム移転の動きを取りはじめており、もしかすると県の中心地に移転が決まるかもしれません。長崎にもようやく誇るべきプロスポーツチームができて盛り上がっているところです。
 

スポーツを仕事にする選択肢を常識に

私には夢があります。スポーツは、みる、やる、応援するだけではなく、「スポーツを仕事にする」という選択肢もあるということが、もっと世の中で普通になる世界を作っていきたいですね。それが今の夢です。
スポーツビジネスが強くなれば、日本のスポーツが強くなると思っています。履くスパイクの性能が向上すればパフォーマンスも上がるでしょうし、グラウンドの環境が改善されれば負傷も減るでしょう。戦略分析のスペシャリストが増えれば、よりよい戦略が立てられることにつながります。日本のスポーツビジネスを強化できれば、それがチームや選手に還元されてプレーのパフォーマンスが高まり、日本のスポーツが強くなる、それを見てスポーツをやる子どもたちがもっと増える、という好循環につながる。そのために何が必要かを考えると、優秀な人材が一人でも多く日本のスポーツビジネス界に入ってきてくれることが、根幹にあると考えています。
プロのサッカー選手に誰でもなれるかといえば、そうではありません。だからといってスポーツの世界に関わることをあきらめるわけではなくて、後方からプレーヤーやチームを支えることもできるわけですから、スポーツを仕事にするという選択肢があるということをもっと広めていきたいです。スポーツも他のあらゆる仕事と同じで、プレーヤーだけではない多くの人の関わりや支えがなければならない世界なのです。
 

10年間のすべてを詰め込んだ著書

このたび『スポーツを仕事にするという選択』という本を出させて頂きました。2019年にラグビーW杯、2020年に東京オリンピック・パラリンピック、2021年にワールドマスターズゲームズ関西という世界規模の大会が日本で続きます。スポーツゲートも10周年を迎える節目で、「このタイミングかな」と思って出版しました。
スポーツを仕事にしたいと思った方に読んでいただければ一つの手引きになると思います。純粋にスポーツが好きな方にも読んで欲しいです。また、履歴書や職務経歴書の書き方や面接の受け応え方といった、どの業界にも汎用的に通用するノウハウも記してあるので、就職や転職を考えている方、企業の採用担当の方にも読んで欲しいです。これまでの仕事で培ってきたことを一度本にまとめたいというのも、私の一つの夢でした。
 

池上 達也が選んだベスト11

2010年以降の日本代表ベストイレブン

テーマは、2010年以降の日本代表です。システムは4-2-3-1です。
ゴールキーパーは川島永嗣。「ここぞ」という場面でゴールを守ってくれる、シュートを止めてくれる、とても頼りになる選手です。センターバックは2010年の南アフリカ大会でコンビを組み、4試合でPKを除けば1失点に抑えた中澤佑二と田中マルクス闘莉王の二人です。守備はもちろん、得点力もあるので、攻守に渡って心強い二人です。サイドバックには長友佑都と酒井宏樹。長友に関しては実績十分ですし、説明不要でしょう。酒井はサイズがあってヘディングも強いですし、彼の高速クロスと日本人の俊敏性との親和性が高いと思っているので選出しました。
ボランチは安定感抜群、鉄板の遠藤保仁と長谷部誠のコンビ。トップ下は中村俊輔にしました。彼は努力を惜しまない攻撃の天才だと思いますし、セットプレーのキッカーとしてもワールドクラスです。左右のサイドハーフは一番悩んだのですが、中島翔哉と久保裕也を選びました。久保に関してはスナイパーみたいなイメージで、決定力も高いですし、今まであまりいなかったアタッカーという印象です。中島は上背のある外国人からするととても嫌なタイプの選手だと思いますし、局面を一人で打開できるドリブルやテクニックがあります。
1トップは本田圭佑。決定力と勝負強さを持つ本田がゴールの最も近いところにいると何より相手にプレッシャーをかけられますし、彼にボールが収まったときに周囲の選手もうまく使えるのでFWで起用します。
そしてこのチームを監督として指揮するのは“カズ”こと、三浦知良選手。ご存知の通り、三浦選手は51歳にして今でもバリバリの現役です。現役の選手を監督に据えるのは、気がはばかられる部分もありましたが、カズさんには、どういう形であれ、何がなんでもいつか必ず「W杯の地」を踏んで欲しいと強く思っています。「将来、日本代表監督として、W杯に出場して欲しい」そんな願いも込めて、監督に選出させて頂きました。
 

池上 達也 プロフィール

池上 達也(イケガミ タツヤ)

池上 達也プロフィール

ディスタコンサルティング株式会社 スポーツゲート事業部 事業部長
1973年生まれ。長崎県出身。青山学院大学経済学部卒。大手総合人材会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)、アスリートマネージメント会社プロフェッショナル・マネージメント(後のジャパン・スポーツ・マーケティング)などを経て、2008年に、スポーツビジネス企業に転職、就職したい人材を、採用したい企業に紹介する支援を専門に行う「スポーツゲート」を立ち上げ、現在に至る。著書『スポーツを仕事にするという選択』。

スポーツゲート:www.sports-gate.jp

メール:info@sports-gate.jp

Twitter:@sports_gate

 

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